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交差
奴隷市場…熱射回廊
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市場は冷え〃とした倫理を踏み外す
踏み切れなかった陰の韻が印を残す
其れは一番線に入り切れなかった船
其れは真理追求者に背理を告げる鐘
其れは変化を恐れる者に向かい別離を告げ
娘を淡い迷宮組曲かつ名峰一座へ導く獣の咆哮
奇経八脈が抒情的な波を打つ
どく/どく/どく/どく
総頚動脈が慶大出身者を笑い
どく/どく/どく/どく
市場の王の煙玉が宙空に霧散し
もく/もく/もく/もく
部屋の隅の灯籠が娘,恋しと鳴く
ゆら/ゆら/ゆら/ゆら
部屋に内包された空気感の変容
同部屋の4隅に配置された燭台が告げる
[次は熱射病の男の出番である]と
[一度冷えたものは温めるべきだ]と
[温めるといっても加減を知らぬがな]と
[嗚呼…嗚呼…嗚呼…]娘は四つん這い
[嗚呼…嗚呼…嗚呼…]リードを引かれ
[嗚呼…嗚呼…嗚呼…]鉄の十字架が鳴る
[嗚呼…嗚呼…嗚呼…]3人目は熱射病の男
[葉あ…葉あ…葉あ…]其の眼前に引廻される
[葉あ…葉あ…葉あ…]吐息青,吐息桃,吐息橙
当時の御主人様は冬至を越へる瞬間
猛々しく陰から陽への変遷を語ったといふ
同文言(もんごん)は彼の無双原理の一節にして
此の世界の全てを内包するおおひなる言葉だった
陰極まりて陽となる,陽極まりて陰に転ずる
時空は螺旋を描きながら△を綺麗に歪ませ
右周回する醜悪な蚯蚓に▽を合わせ完成する
[……先ずは御挨拶を]
鉄鎖及び赤首輪を支配する男は見事に屹立し
娘は雌犬の格好で3人目の支配者に告げる
同アーサナはラージャ・ヨーガに記載されぬ
服従のポーズであり福寿のポーズであり
奴隷のポーズであり川味のソースでもある
[…嗚呼…一体…何を…]
娘の肩甲骨から既に失われた象徴たる二枚羽根
其の削られた柘榴の様な印が生生しく淫靡
熱射の男は其の残渣を背面で捕獲し鹵獲し
第一指と第三指を複数回,鳴らしてみせる
[一体何を]…良く〃考えて欲しいものだな
此処はお前が所属していた妖精の村ではない
物語の中枢であり淫靡を完備する綿密な市場
完全な契約書を4聖獣に守護させた奴隷市場
[…次の客への御挨拶を]
娘の前に一枚の帆布が差し出される
其れを詠めといふ彼もなかなか風情豊か
其れを音読せよといふ彼は真読者の一人
[…わたくし,は…わたくし,は…]
鉄鎖が引かれ娘を左後方に引き込む
じゃらりと音が鳴り,同音階は告げる也
…早く読め,次,次,次とリズミカルに
…早く読め,継,継,継と荒行続きだが
…早く読め,引継,引継,息継ぎは許さん
[嗚呼…熱射回廊にお連れくださいませ]
[嗚呼…其れが私の本懐であり本願で御座います]
[嗚呼…熱射回廊にお連れくださいませ]
[嗚呼…是非甘美なる刺激を私にくださいませ]
[嗚呼…熱射の砲塔を浴びさせてくださいませ]
[嗚呼…今宵の浮かれ熱を消すほどに熱く]
[嗚呼…模型(もがた)様が腹腔内で暴れています]
[嗚呼…其の電気的コーラスを消滅させる刺激を]
[嗚呼…是非お与えくださいませ,かしこみ,かしこみ]
[嗚呼…是非私を熱射回廊にお連れくださいませ]
[不無]
男は舞台袖から搬送された種々色合ひの蝋燭を
鉄バケツの中から選定する作業をしつつ
娘の御挨拶に御満悦な様子で頷いた
蝋燭は同市場最下層の部屋4隅に配置された
揺蕩う燭台とは大きく趣(おもむき)を異にし
縁を廃棄し其の相似性を享受しつつも
其の明示性は定時制に近いものであると告げ
低姿勢な娘を更に低空飛行に近い格好へ矯正し
先ずは一本目…最も低音で溶ける色の蝋燭…
[紫]…繋がりの科学色に黄燐マッチの火が移る
[…!…!]
四つん這いの姿勢でも其の気配を察知できる
娘は不吉な気配に怯えながら細い腰を絞り
腹腔内を徘徊する模型(もがた)の責め苦で
一先ず軽度の峠越へを強要させられ弓になる
[…嗚っ…嗚っ…嗚呼…]
直後に廃棄文書が脊柱起立筋の中央部を襲う
其れは熱砂の摩天楼を鏡写した網羅的刺激
其れは熱射の非玄昉を蘭舎に付した手紙
其れは感謝を忘れた非常な絵画対象の布石
ぽた/ぽた/ぽた/[嗚呼/嗚呼/嗚呼]
非情かつ秘帖な畳が運ばれるのは何故か
嗚呼…東洋由来の責め苦をより際立たせる為
上級紳士の低級な嘘を見破れぬ哀れな目を
見開かせる為の熱射の宴,始まりと相成らん
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