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交差
奴隷市場 琴線感覚
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俺の前に被座馬づく娘を見下ろしながら
固くも無く、柔らかくも無いベッドの傍ら
指と指が触れ合う恋人の距離で
肩と肩がすれ違う親友の距離で
薬膳球体を手渡す彼女に従う素振りを見せる
内包されているのは極ありふれた物々
①蓬(よもぎ)②蓮(はす)③水(みず)
④そして全てを内包し把握するアカシヤ
1番から3番までは俺が口にするには
一向に構わないものであるのだが問題は
4番に付された文字の内包する意味・意味・意味
其れを口にしてしまえば…
痛みを痛みとして・認知出来なくなる
苦しみを苦しみとして・探知出来なくなる
自らを自らとして・存置出来なくなる
其の薬膳球体を口に運ぶのは簡単だ
其の薬膳球体を飲み込んだ様に見せ
実は違う事実をなぞる事こそが難しい
手渡された球体を口元に運ぶと
「つん」という音が奇妙な建築に響き
其の美麗・華麗・聡明なにほひに心奪われる
「…一点」事物単純
集中しろ、複雑な事など何も無い
事物は複雑に込み入った路線の様にみへて
其の一点に鋭利なメスを入れた瞬間に
綺麗で美麗で秀麗な断面を見せるもの
同断面から滴る蜜は其れを識る者のみが
普遍的な価値として味わえる最高のえくすたしー
「…一点」集中ノ色
其れは萌葱色、許色であり蠍色(さそりいろ)
一切皆苦は此の世の数少ない絶対的真実
其の隙間に常に悪魔の微笑みが内在している
悪魔を押し出し・圧し出し・四つん這いにし
其の正体を暴くためには集中力を限界まで
高め・高め・視線は鵜目鷹目(うのめたかのめ)
目線を平行四辺形の上端側からとし
下方に火砲を浴びせるかの如く絶対的集中をする
娘のワン・ピースの裾から
可憐極まる突起が覗く
其れは橙(だいだい)
其れは季色(ときいろ)
其れは千草(ちぐさ)
其れは百草(ももくさ)
更に・八千草(やちぐさ)
ワン・ピース
花柄,薄紅、艶やかに
マイ・ペース
崩されまいぞ、時を待て
オン・コース
未知の道のり、進むのみ
水ホース
誰ぞ在る在る、冷やしたもう
死媚薬(です・そーす)
燃える心は、摂氏・四十度
癖や習慣といふのは恐ろしいものだな
俺は危うく空いた左手で直線を描き
其の可憐な突起を捕まえるところだったぞ
そうしたら現在時分の様に「嗚呼…」と
美麗なあへぎ声を上げるのだろう
ともあれ俺は其の黒色球体を口に入れ
前歯と八重歯と奥歯を器用に起用し
唾液とともに別の経路に流し込む
異様な作戦に取り掛かる獣と相成る
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