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交差
奴隷市場 純情可憐
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背中を俺に向け自慢の羽根を御披露なさる
半透明と透明の中間の色合い
其れは娘を基底から既定するもの
ヒトガタたる我々が終ぞ持ち得なかった
大空を飛翔する為の2枚羽根…
知っているぞ、俺はお前を知っている
俺が其の姿を見る為にどれだけ
時間と労力と金品を投じたと思っている
機会は慎重に選ばねばならん
「どの様な敵にも打ち克つ事が出来る
正しいタイミングさえ捉えれば」
誰の名言・名句・金言だったかは
最早忘れてしまったが、其の言葉が
現在時分にぴたり、当て嵌る
時機・弁えた言葉を選ぶ事
時機・相応しき言葉を使う事
時季・相応しき花言葉で誘惑する
次期・頭領を狙うナンバー・ツーの如く
「…君が……これを……」
そうさ…有り難うよ…お前が此の傷を
直接的に癒やした訳ではないにしろ
有り難い、有り難い、有り難いぜ
本当に有り難い…将棋なる東洋の盤上遊戯
其の感覚で此事(こごと)を小言で表すなら
お前は「歩」也
ゆっくりと重ねた歴史の中で
飛翔する行為を想像したが故
其の美しい2枚羽根を持つに至った
歩みは「歩兵」と同等の小さな歩幅也
お前は「香車」…香りの車
其の香りは癒やしのかほり
知っておるか…人と人とが睦み合う
魅惑原料の発生は耳下三寸に在る
小さな小さな穴の中から発生している事を
お前は如何に転がる車ぞな
エンジン・ルームを俺が見分してやる
オートマチック・オイルの粘土をな
ステアリング・オイルの年度までもな
お前は香車、香り高い香車
お前は「桂馬」に非ずと付そう
飛び跳ねるにしては若過ぎる
嫌・もっと言えば幼すぎる
幼稚な遊び「てんてんてまり」に
満面の笑みを浮かべている程度がお似合いだ
跳ねる…跳ねる…跳ねる…
其の無垢なる身体を嬲る時
どの様に跳ねるのか見分させろ
桂馬…俺の桂馬になるがいい
右斜め、左斜めへ縦横無尽
其の身体を存分に跳ねさせてやるから
………痛む?………
俺は首を横に振る「…君の御陰で随分と…」
浪漫座で口が滑ったヒキガエルの様な口ぶりだ
此の答えは正解といえば正解、嘘の中の嘘
娘、正しくはな…瞑想の深い深い意識状態の中
集中さえ切れなければ痛みなぞ入り込む隙は無い
故に、此の年功序列の軟膏が効いているのか
又は、其の大名行列乱舞するが如く湧く
鱗粉の効果に依るものなのかは
7日後にしか理解できぬと思考する也
お前は「銀」と成れ
沈黙は金であり雄弁は銀であるとふ
其のおしゃべりな口から
あへぎの声のみが漏れる哀れ極まる
奴隷市場の供物として俺が連れ帰る
更に「金」と成れ…金銀財宝の頭文字
市場で俺と契約を結び契るのだ
サインは勿論、お前の直筆とする
古語の明朝体が相応しいか
アルファ文字の筆記体でも良いが
右手指の先にナイフを突き刺し
「嗚呼」と小声とともに悶える出る
血を付した血判としよう
:::::::::::::::::::
「嗚呼……」
責め手の親分格が小型球体を
全て其の股座から引き抜かれたのを確認する
「嗚呼…っ」
少女は小さな球体が引き抜かれる度
安堵とも苦悶ともつかぬ声を上げ
背骨の軋む音とともに菩提樹の裾野を
三歩進んで更に三歩進む散歩を強要される
コンクリートで出来た市場の一角に
少女の握りこぶし程の大きさを誇る
巨大な黒色体が円柱状に鈍く光り
少女の内部への侵入を試みるが
奇妙なサイズ感の不一致を貫通できるのか
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