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交差
奴隷市場 融通無碍
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隣に佇むのは少女だった
童と見紛う程の小さな娘
森には熊が居り、猪が居り…
やはり居たな、2枚の羽根を持つ妖精
何故妖精と瞬時判断が出来るのか
其れは俺の知識とぴたり、
一致するからに他ならない
第一に肉体の大きさについて
人間の半分程度のサイズだと
「究極の心と身体」其の本に
記載されていたのと完全に一致する
第二は纏い物について
肩が大胆に露わになった黄土色のワンピース
雪交じりの季節にも此れ一枚で過ごすという
何故、寒さを感じないのだろう
そして其の顔には微小な微笑が
温もりとともに広がっているのを見る
第三は其の存在を規定する羽根について…
想像よりも遥かに大きいのだな
体躯とほぼ同等の大きさの2枚羽根
葉脈の様な筋(すじ)が入っていること
そして周囲が透け見える…つまり色無し
此の羽根に「色」を付す事は
出来ないと言う事になるのだが
「禁色」「許し色」其の2つの色の
何方かに染めてやるのが
俺の狙いである事を此処で知られてはいかん
あくまで手負いの旅人であり
あくまで深い傷を負った瀕死の
「ヒトガタ」である素振りを
完全体で実行しなくてはならない
さて…さて…
さて…さて…
目的の一つは無事に達成された
薄目越しの邂逅ではあるが
旅の目的・目標である
「妖精を此の目で見る」事は達成出来た
鼓動は高鳴りの方角へ移動しようとするが
俺は其れを統制する…消氣が先だ
氣を失うのが先、そうせねば
妖精の村中には決して侵入できぬ
此の先は悪魔の迷路、妖精の村の周囲は
特殊な周波数帯で守られている
其れは女王の仕業である事も俺は知っている
何せ…天候変化兵器を産み出し
世界にバラまいた大罪人の集う村
其の頂点に居る存在の創る瞑想区間を
2本の足だけで踏破出来る筈もあるまいて
其れを知るのは極、極、極一部の者
地底でひっそりと、地底でしっとりと
我々よりも遥かに長い歴史を
脈々と続けてきた民の一部は知っている
そして戦闘民族・人間の雄の中でも
経済を循環する事にしか意識を向けぬ
愚か者の王にして血流賢者たる一部の者も
又は…………
瞑想を深め、物質的な図書館以外から
物質的な本以外の物から知識を得る術を
知る事が出来た、又は知ってしまった者も居る
俺は概ね・此処に属する訳だが
………狩人…………!
………狩人…………!
妖精との遭遇を果たしたぞ
次は「此の娘の捕縛」を狙う
そして次は…お前だ
お前は一体何を知っている?
旅の途中、交差の瞬間は一瞬だが
俺は感じる、お前と俺の運命は再び
此の道程で交わる事になるだろう
::::::::::::::::::
…手当てを
娘は2枚の羽根から当然の様に
金色(こんじき)の鱗粉を生成し
俺の大腿部に充ててみせる
声は鈴が鳴る様に優しい
…痛みは?
痛みなぞ最初から感じてはいない
俺は死神…永久凍土で産まれ
間もなく手指の数本を根本から失い
母の作る出来損ないのスープと
畳を突き破る茸で命を繋いだ者
此の程度の地獄は何時もの事也や
手つきは妖精の様に可憐だ
まあ・当たり前だが
…どうしましょう……
…困った・わ…………
此のタイミングだ
戦闘と一緒、凍土の狩りと一緒
物事には呼吸が在る
機を逃す事無く…
俺は奥歯に仕込んだ毒の一部を
がじり、噛んで、意識を、失った
…其の後の事は知らん
…村で目覚める時の事までは、知らん
…死んでいたのかも知れんし
…半死半生であったのかも知れん
…只、気分は高揚していた
…其の事だけは覚えている
::::::::::::::::::
奴隷市場では羽根食宴が続く
最も金持ちな旦那には
多くの部分が振る舞われ
「不無、此れは美味い
若さが漲ってくるようだ」
一番高級なネックレスを身に纏う
其の金持ちの連れ、マダムには
次に大きな皿が運ばれる
「嗚呼、美味しいわ
白髪も黒髪に戻ってきたわよ」
界隈の教育を担当する
とある村のお偉い様には
根本の部分が振る舞われる
「此の感想を本に記そう
其れが私の生きる意味だったのか
有難う、美味であった」
最も性欲に長けた親分・子分は
其れには目もくれず
只、股座一本線の内部構造を
掌握する事に精を出す
「嗚呼」「嗚呼」「嗚呼」
弓なりに為る彼女を
たっぷりと・じっくりと
とっぷりと・はっきりと
更なる泥沼に引き込む為の
努力を惜しむ輩ではない
「もう…っ」
「駄目……っ」
雨・雨・大粒の・雨
雨・雨・悲しみの・雨
雨・醒め・喜怒哀楽の・哀は娘
醒め・駄目・喜怒哀楽の・楽は皆
此れは宴だ、此れは祭りだ
奴隷市場の王は過去を反芻しながら
もうひとりの娘を膝に乗せ
胸の突起に縦横無尽
器用な手つきで刺激を加える
「嗚呼」
「嗚呼……っ」
桃色突起は紅色突起となり
雨・雨・雨は降る
喜怒哀楽の内の何が
彼の胸中を満たしているというのか
妖精との接触及び捕縛
其の邂逅は・・・続く
::::::::::::::::::
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