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交差
奴隷市場 相縁奇縁
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一点…
丹光に集中しろ、中秋の名月よりも鮮やかに
其の光を誘え、先へ先へ、もっと先へ
集中を切るな、嫌、切れても構わんが
直ぐに中心軸に戻れ
死神よ…此れが俺の瞑想だ
お前が惚れた男、其の瞑想の深さはどうだ
サーフェイスウェブの波立ちを越え
ディープウェブの2重手錠を外し
マリアナウェブの3重固定の鍵を持つ
其れが俺、奴隷市場の王であり
底辺を彷徨う蛇の群れを統率する者
一点…
心を揺らすな、心のざわめきを切り取り
海中深く、深く沈めてしまえ
其処には悩みは無く、苦しみは無く
怠惰は無く、色欲も無く、承認欲も無く
只、一つの俺の居場所が有る
其れがニルヴァーナ、其れがフロー
其れが涅槃、其れが「無」
無は全てを含有し無限大と同意語
一点…
誰かが俺の脳内をノックする
どん・どん・どん・どん
酷く五月蝿い音で鳴らす
死した父親の再訪か…?
気配が違う、父の其れではない
死神が俺と戯れたがっている…?
違うな、お前は嫉妬しているだけだ
俺が狙いを定めた根幹作業に
お前の助力も必要なんだ
其の理解をしてくれ、恋人よ
…………「狩人」…………!?
一点…
其の集中を妨げる者はお前か
66人が間違えた十字路を
事も無げに正答した知恵の者…
十字路と此の村の中間で
一瞬だけ其の影を踏んだ人間
一点…
妖精の要請を受けた守り人かと
俺はそう思ったが敵意は無く
只、七竈(ななかまど)の樹の下で
座ったいたお前が…何故…
此の俺の精神世界に入り込む?
一点…
痩果(そうか)草加(そうか)挿花(そうか)
お前は…同類、同累、同琉衣
お前は…俺と一緒の者
根幹たる魂…其れが一緒の者
察するに貴様も…死を非常に異常に
近しい存在として居る者に違い無い
「今宵の虎徹は血に飢えている」
東洋島国の件(くだん)の男が
虎徹一閃、襲いかかったとしても
泰然自若、平時の呼吸と死の覚悟…
何となくだが、そんな気がする
何となくだが、そんな気がするのだ
…俺に友は一人しか居ない筈だった
遠くの村に住む「七ツ星」
セブンスターを常時携帯し
情事にすらぷかぷかぷかり
意識の目覚めのレヴェルが一緒だと
感じる唯一の友は彼だけだった
今の、今までは
……………狩人……………!!
お前は俺と一緒だ
同類酒、同琉衣首、同類の獣
一点…
死神の誘惑に負けず
雨ニモマケズ風ニモマケズ
絶世の美女の誘惑ですら
貴様をかどかわす事は出来ない
努力勃起にも飽き飽きしているのだな
興味が湧く
興味が湧くぜ
嗚呼・興味が湧くぜ
何と新鮮な…興味が湧くぜ
妖精の村の踏破
妖精の捕縛、市場への帰還
其の旅路が終わったなら・ば
次はお前だ…お前を知りたい
集中を切るな、切るな、切るな
一点に集中しろ、彼の何が見える…
名も知らぬ…大弓を抱えた狩人
俺は一瞬の交差の瞬間に思いを馳せ
其処に心のときめきを知る
一点…
糞、糞、糞…
時間が惜しい
此のタイミングだ
殺るぞ、殺る
…誰を?
自分を、其の大腿部に短剣を
…何故?
妖精の村に到達するため
…方法?
そう、此れが唯一無二の方法
…手段?
そう、その他の選択肢は無い
…何故?
ええい、自問自答はもういい
鎮まりたまへ、沈みゆきたまへ
充分だ…夕焼けの刺す今が
一点…!
今が頃合い、邪魔だてするな
::::::::::::::::
雪は冷たいのだろうが
俺はもう何も感じない
周囲の温度は低いのだろうが
俺はもう何も感じない
此れが集中の極みの領域
大腿部に短剣を振り下ろす
一撃目は大腿直筋と内側広筋の間
深さは6センチメートル程度
此れでは人は死なない、死ねない
末端の血液が異常事態を告げる
俺には幸いにして右手の指が
複数本無い為、其の血流の変化を
敏感に感じ取れる
……………狩人……………!
……………狩人……………!
意識の変化を感じる
脳内で逃走・闘争ホルモンが
活発に働き始めるが…
二撃目の準備に入る
腰部後方から膝まで長く延びる筋繊維
人体で最も長い縫工筋に狙いを定め
其処の中央をがちりと握りながら
もう一撃を振り下ろす
…一点
此れで良い、此れで良い
脳内の丹光に集中して居れば良い
痛み…そんな物は無い
苦しみ…そんな物は無い
死……其の気配は濃くなる
死神よ、出番が来たぞ
此処に瀕死の旅人が居る事を
妖精の村の尖兵に告げて来い
…一点
まあ、そう悲しそうな顔をするな
此処で死ぬなら其れも定めさ
今まで有難う…有難うよ
其の時は側に居てくれよ
永久凍土で産まれて今まで
お前と一緒に歩んで来たんだ
「死」の濃度が増しているだけさ
只、それだけ
:::::::::::::::::
奴隷市場は乱痴気騒ぎ
春は来れども歪な如月(きさらぎ)
娘の可憐な身体は向日葵(ひまわり)
「嗚呼」「嗚呼」「嗚呼」
其の悶え声が告げる頂(いただき)
参加者全員、食する合図
其の羽根見事にお皿に乗って
全員合唱其の声「頂き」(いただき)
宴に絡み絡んだ柵(しがらみ)
弓なり・弓なり・弓になる
絶頂佐印をタンスに収めて
::::::::::::::::
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