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交差
奴隷市場 一切皆苦
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ハイライト
奴隷市場の
御主人が
隣の男と
談笑している
妖精の
羽根が焼かれて
股座に
振動球体
添えられながら
逝く逝く様ぞ
眺める獣
七ツ星
隣の男は聞いている
不無・不無・成程
其れで・どうした
妖精は
背中・弓なり
何度でも
何度も何度も
峠を・越えて
赤・黒・青・緑
其々(それぞれ)違った
振動と回転数を
具備しておるので
弓なりに
なった背中は
軋むのだ
其の所作が
興奮・坩堝へ
誘うのだ
其の色が
艶に変わって
变化(へんげ)して
魑魅魍魎が
眼を覚ます
其の身体
燃えゆく身体を
眼にしても
談笑出来る
男は・死神
::::::::::::
…不無
…不無
…不無
ある夜半
ドアの外から
こんこんこん
幻聴か
嫌・嫌・違うぞ
現実だ
誰かが居るのだ
何かが居るのだ
寝室の
外から聞こえる
其の音に
疑問が・湧いた
こんな夜更けに
誰が来た
また死神か
嫌、違う
人の気配だ
呼吸は不規則
「誰だ」…俺は言う
「こんな夜更けに」…と続ける
「そして、何用だ」
3つの質問を宙空に投げる
答えは直ぐに帰ってくる
俺は沈黙がもう少し
続くものだと思っていた
割と返答が早いことに
少々・面食らったよ
…
「……おれ・だ」
…
聞いたことのある
声色・音色
何時か、何時か
何時の時だったか
思い出そうとするが
寝起き間もない頭の回転では
其れを思い出すには至らず
呼吸は乱れていない
深夜、突然の来訪者に対峙する瞬間
至極冷静・至極冷徹
俺の頭の中は凍てついているのか
極寒の土地で生まれたが故
脳内を凍てつかせる術を
自然に身につけてしまっているのか
「…知らんな、誰だ」と答え
「…名を名乗れ」と続け
「…名乗らぬのならば、帰れ」と付す
少々長い沈黙は
ベッドを軋ませる
空気が重くなる
雰囲気が重くなる
暖炉の音は遠く
部屋の隅から隅までの
距離感が遠くもなる
通常を「3」とすれば
其処は「6」
嫌・足して「9」
嫌・倍して「18」
沈黙が「パチパチ」という
暖炉の音を変化させる
528ヘルツという有用なものが
丹田に届かなくなるのが解る
金言が脳内を駆け巡る
「沈黙は金・雄弁は銀」
どちらが優位であるのかは
時々によって変化する
沈黙が第一位に座する場合もあれば
雄弁が其の座に取って代わる場合もある
もう少し様子を見る
「見」の位置取りが正解だ
「……お前なら」
:
「……解ると…思ったのに」
暫しの沈黙の後
其の様な答えが帰ってくる
雨が降っていたな
今夜の様に激しく
今夜の様に冷たい雨だ
…
…
…父の・声
…父親の・声だ
数年前に他界した筈の
父の声に他ならぬ
しかも其れは全盛期をとうに過ぎ
死の枕に伏して久しく
抗おうとするも上手くいかない
力の無い「終期」の声だ
「……俺だ・解るか」 もう一度
:
「……俺だ・解るか」 続く・声
不思議なことは
この世にままあるだろ
そう思わないか
そう思うだろ
そう信じているんだ
「心底」という言葉が在るが
俺は本当に心の底から
そう思っている
俺はお前も知っているとおり
ヨーガも仙道も禅も
全て深く、深く学んでおり
其処にストア哲学の概念と
フロー理論の概念を
結びつけようとしている男
此の程度の出来事で
呼吸様式が変容することは無い
俺の呼吸は平然としていたな
泰然自若というヤツだな
吐いた分だけ戻ってくる
乱れぬ呼吸、「泰然自若」
俺は平静だ
「もう一度聞くが」答える
「何用だ」答える
「要件を知りたい」続ける
ドアを開くことはしない
愚の骨頂だ
俺は常識には一切・縛られないが
死者を招き入れる程・愚かではない
「…助けが欲しい」 ドアの外
:
「…助けて欲しい」 続く返答
:
「…苦しいん・だ」 そうか、そうか
此の手の問答か
平時と変わらんな
深夜・ドア一枚隔てての
死者と対峙の瞬間ですら
平時と何ら変わる事は・無い
此の手の問答に対する
俺の答えは決まっている
「一切皆苦」
「諸行無常」
「諸法無我」
「涅槃寂静」
此の4つを巧く並べて答えること
何に由来する言葉なのかは忘れたが
其れで大概の質疑の答えは出るものな
七ツ星
お前も知っていることだと思う
お前は此の世界での
唯一無二の俺の友だからな
「…苦しいか
…悲しいか
…助けが欲しいか
…不無
死してなお、魂までも痛むとは
何とも遣る瀬なく悲しいものぞな
先ずは一句、送るとしよう」
《死の準備
怠り死にゆく
其の身かな》
《魂の
成長する術
知りてせぬ
怠惰に係る
因果・応報》
…苦しいか
…悲しいか
…助けが欲しいか
獅子舞が夜な夜な舞えば
雷神の怒りすら買うぞ
…初戦に失敗し
所詮の事柄に
初心を忘れ
傷心となる悲しい者よ
::::::::::::::::
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