《瞑想小説 狩人》

瞑想

文字の大きさ
上 下
246 / 585
交差

奴隷市場 焼き加減

しおりを挟む

::::::::::::::

《奴隷市
 2枚の羽根は
 フライパン
 其の中混じわる
 奴隷と親方》

《ひと括り
 括り抓って
 弄ぶ
 焼いてしまおう
 此の・渦の中》

溶ける錠剤
緑の・色剤
怪しい食材
罪を・贖罪
私に・頂戴
嗚呼解毒剤

掲げよ献花
遠くで戦火
主砲の落下
此度は鎮火
怒りは烈火

円安・ドル高
価値なし銅貨
日々此少子化
歌うは・短歌
夏にはスイカ
日本の・文化

弐枚羽
焼いて電撃
其の身体
此処は真っ赤な
フライパン・也

::::::::::::::



…氷山

大きな氷の大地があり
其処を犬ぞりが滑っている

余程寒いのだろう
吐く息が白い

白いという表現などできない
大気は乾燥し
冷たく輝き
全ての分子運動を
止めようとしてくる

《息を吐いた
 その切っ先で
 呼気がその運動を停止する》
が相応しい表現なのだろう

寒い
寒い
何もかもが
凍てつき
凍りつく

此の寒い地域に特化した
犬達は逞しい 

彼等は知っている
頭の中などという
あやふやで頼りない
場所でではない
身体で・知っている

此の寒さをやり過ごす術は
纏った毛皮の中にはない
答えは運動を続けること

分子運動を絶え間なく
続け、止まらないこと

発熱させすぎず
周囲の環境と調和する
そんな運動量を保つこと

冷却もさせすぎず
発熱もさせすぎず
四本の足に荷重を分散し
「動くと休む」
此の二つを同時に実施すること

犬ぞりは行く
大陸の中心にある
大穴に向かって

そりの上には
小屋のようなものがあり
そこから麻のロープが
9本・延びている

麻のロープは
犬の首輪に
連結されており
容易な力では轢断できぬよう
三編みをもう一度・三編みにし
更ににもう一度
三編みにされていた

《そり小屋》の中の住人は
一向に手綱を握ろうとはしない

行き先を命じることもなく
優しく犬達を撫でることもせず
委ね、任せる

当然
《YA!YA!》
などと叱咤することも・ない

:::::::::::::::::

犬ぞりは行く
寒冷地の中の
寒冷地
絶対零度に最も近く
分子運動が最も小さい
そんな場所で逞しく

完全に一致した歩幅で
完全に一致したフォームで
只、走る
走ることを止めない

走ることを止めないのには
幾つかの理由がある

先ず1つ
目的が明確であり
そこに向かう意味を
知っていること

次に2つ
そのことを数字で理解しており
フィードバックが早いこと

犬達はある種
絶対的なフロー状態の中に在る
其れは我々が目指したとて
到底、及ぶものではない

圧倒的な寒さの中では
休むこと・止まること
休憩することは許されぬ
9匹のうち
誰かが脱落することも
許されぬ

犬達は
互いを補完しあい
それぞれの得意
不得意を知っている

一匹が脱落すれば
それはたちまち
バランスを崩し
一気に勢いを無くし
冷気に取り込まれて
しまうだろう

完全体

彼等は9の数字で纏まっており
それ以上でも、
それ以下でも、
上手く行かないことを
知っている

小屋の中の住人は
彼等に任せ
何もしない

小屋の中の住人は
叱咤せず
褒めもせず
休みもせず
眠りもせず
只・其処に居る

彼・なのか
彼女・なのかも
一体・どんな風体なのかも
知るものが居ないままだ

:::::::::::::::

犬達は旅の意味を知っていた

「南極大陸、未踏の地
 空白の100マイル
 犬ぞりに乗って」

そんな標記題名で世界に
ライブ中継されるという

そのモチベーションは
彼等を鼓舞し
永遠の活動を続ける
強大なパワーの源となる

脳内を覗いてみれば

他の犬達がおり
其の集団に属していること
其処からオキシトシンを補充する
際限・なく

リズム運動が的確に
繰り返される
早くもなく、遅くもないペースで
其処からセロトニンを補充する

目的があり
その目的を知っており
それに一歩づつ
近づいている実感がある
これでドーパミンを補充する

限界を迎える筋肉と
完全に眠る筋肉に
全身を上手く分割し
《活動しながら、休める部分は休ませる》
という究極の歩行法を
後天的に叩き込まれている
其のことで
エンドルフィンを補充する
際限・なく

「死」
活動を止めると
其処はたちまち死の世界
よって
常在戦場の境地が続く
逃走・闘争ホルモンは
活発に働き
脳から肩、
肩から肩甲骨及び鎖骨、
肩甲骨から末端神経にまで
行き届く

死を近くに置いている
故に彼等はこのように
動き続けることが出来るのだ

最後の力は…
《観測》

世界にライブ中継されていることを
賢い犬達は知っている

観測され続け
中継され続けることで
人の目があることで
身体の反応が変化する
彼等はそのことを理解している

:::::::::::::::

犬ぞりの
大陸駆ける
中継は
妖精奴隷の
胃の中・眼の中

「嗚呼」「嗚呼」「嗚」
鳴け・鳴き喚け
もう直ぐだ
哀れな羽根焼き
挿し込み串焼き

「もう」「止め・て」
じじじじじ・じじ
電撃を
更に苛烈に
加へてみれば

焼き加減
お好みでどうぞ
塩加減
お好きにどうぞ
雨降りです・故

:::::::::::::
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...