《瞑想小説 狩人》

瞑想

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地下牢の娘

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「…お、は、よ」
「…お目覚めかしら」

声がする
多分…
女性の声だ

祈り女は
うすらぼんやり
目を覚ます

ソファに座っているのか
それとも座らされているのか
ふわふわ浮いている様な
寝起きの猫の様な感覚
定まらぬ、何もかも…

頭がぼんやりしているのは
きっと噛まれた毒のせいだ
陰核を噛まれ、膣内を噛まれた
あの毒が残っているのだ
解毒時間は如何程なのか
身体も痺れ、動けそうにない
夢か現(うつつ)かまだ解らぬが
此処はどうやら牢屋の類

裸の女性が視界に入る
冷たい部屋の中央に在る
大きなベッドに居る彼女
四肢を大きく広げられた状態で
拘束具に繋がれているのが見える

赤目の女と
緑目の女が
ベッドの女性に
何か一言かけると
びくり、目を覚ます

「嗚呼…ここ、は…?」

ベッドの女性から発せられた
声は涼やかなれど弱々しく

君は思う、
赤目と緑目はきっと
ベッドの女性に何がしか
助平な悪戯をするのだろう
其れでなくては裸に剥いて
ベッドに拘束する必要もないのだから

ベッドの女性は
華奢でか細く
ショートカットの黒い髪
少し癖っ毛、私に似ている
腰は見たこともない程に細く
足はすらりと形良く
柔らかさを携え其処に在る

光の刺さない
地下牢を模した部屋
4方向に燭台が在り
長くて太い蝋燭が
妖しく室内を照している
目が慣れるまで
耳が慣れるまで
幾分かの時間が必要だ

しゅー
しゅー

…?

部屋の片隅、
ソファの上から
目を凝らして良く見れば
ベッドは紅く血液に近い色
女性を捕らえた拘束具は
何処までも冷たい銀色模様

しゅー
しゅー
しゅー

耳も概ね慣れてきた頃
何処かで聞いたことのある
不吉を孕む吐息が聞こえる
君も彼女もそれに気づいた
美しく可憐な緊縛姫
その周りには…

右に、蛇
左に、蛇
胸元にも
耳元にも
壁紙の継ぎ目にまでも
至る処に、蛇が居る

緊縛姫は状況を理解すると
悲鳴を一つあげるとともに
身体をじたばた、動かした

「嫌!
 嫌!
 誰、か…
 たすけ、て…」

藻掻き騒げど
拘束されたその身体
一切動かず、働かず
鉄の鎖と首輪が無常に
じゃり
じゃり
じゃりと
乾いた音を立てるのみ

「続きを、しましょ」
 赤目が囁く

「あの程度で終わったとでも?」
 緑目は意地悪く

「嫌…、嫌…、もう…」
 彼女は鳴いた

背景は解らない、が
悲痛な声から察するに
話の流れを汲み取るに
随分なことをされてきたのだろう
無数の蛇が彼女を囲み
出発の号令を待っている

色の無い蛇、其の数59
色の有る蛇、其の数7
合計まとめて66匹
それらは互いを牽制しあい
姫の身体をうっとり眺めた
餌だ、給餌だ、早うせい

嗚呼
色の無い蛇は、丸い頭で
毒を持たない従順気質
色持ちの蛇は、3角頭
毒蛇、毒持ち、気をつけて

「…さあ
 餌のお時間ですわよ
 先ずは突起を
 乳首を目指して…」

「美味しく喰べてね
 さあ、どうぞ」

「嗚呼!
 お願い、
 お願い、
 や、め、て…!」

号令一下、一斉に
無数の蛇が襲いかかった
緊縛姫の上半身は
あっという間に肌色無くす
両の乳首に群がる蛇と
悶え暴れる緊縛姫

ちろ
ちろ
ちろり

べろ
べろ
べろん

「嫌
 嫌
 止め、て…」

胸の突起は渋滞しており
辿り着けぬ蛇は
背中に周り
うなじを這い
腰骨に周り
唇を奪おうともする

くちゃり
くちゃ
くちゃ

音が鳴る度
乙女は喘ぐ

「葉ぁ…
 葉ぁ…
 葉ぁ…っ」

吐息の色は何とも艷やか
男性諸氏のみならず
女性の受けも良さそうな
鈴の音の様な喘ぎが漏れる

君はといえば
緊縛姫を助けようとし
右手に力を込めてはみるが
毒にやられた身体動かず
諦めざるを得なかった
左手も動かない
気がつけば…
声も…
出な、い

蛇が絡むは
緊縛姫の
胸の突起とその周り

ぴくん
ぴくびく
ぬるり
ぬるぬる

無数の蛇が
絡みつく身体は
グロテスクではあるものの
絵画の様に美しい

「やめ、て
 何で…こんな…」

身体の動きに
合わせて、じゃらり
鉄の鎖の音が鳴る
姫は拘束されており
群れ成す蛇のされるがままに

「口のきき方に気をつけることね」
「貴女は、私達の?何だったかしら?」

語尾きつく
2人が問えば

「…嗚呼
 は…い
 申し訳、御座いません
 私、は…」

緊縛姫は答える
頼りなく弱々しく

「貴女は?」
「私達の?」

「は…い
 オモチャ、
 で、御座います
 宇、宇…」

嗚呼…
彼女も
私と一緒ね
2人の玩具
毎日、毎日
こんなことを
されているのかしら
可哀想…

「いけない娘には
 お仕置きしなきゃ、ね」
「そうね、きつーい
 お仕置きを、ね」

赤目は部屋の隅に飾られていた
身の丈以上ある長さの
なめし革を手に持つと

ぴしり
彼女に打ち付けた

「…!!」

泣きわめく女性の声
明らかに痛みを伴っているものの
どこか甘美に聞こえる不思議

先が6つに割れた鞭
軽く振るえば、それだけで
しなやかな皮目は打撃力を増す
何かのシンボルのような赤さが
乳首とその周囲に残された

「踊りなさい
 あの時の、ように」

緑も同じく鞭を振るう
突起の周りで数匹の蛇が
潰された状態で息絶えた
拘束された美女の胸まわりに
鞭の打痕と
蛇の血液が
混じりあって奇妙な色をつける

仲間が死んだ
其れでも蛇は止まらない
むしろ空き在り
好機とばかり
さらに乳首が
舐められ襲われ
無数の舌に
絡め取られる

ちろ
ちろ
ちろり

はむ
はむ
ぱくり

嗚呼、可哀想
角度を変えて
強度を変えて
舌先の粘液を添えて
緊縛姫の弱点を
あぶり出そうとする其の動き

気をつけて
何匹かの3角頭が居るわ
其れは毒持ち、毒蛇よ
噛まれればきっと…
私のようになってしまうわ

助けなけゃ
助けてあげたい
右手は動かず
左手も同じく
声も出ないし
足も…動かず

3角頭の蛇が7匹
象徴的な色を付けている

赤色の蛇が
股ぐら這って
ぺろ
ぺろ
ぺろりと
陰核、転がし

「そ、そ
 そこ…は…」

牢屋に響くは
乙女の喘ぎ

オレンジの蛇が
臍下を這えば
ぬめぬめ
ぬめぬめ
音が鳴る

「嗚呼…
 嗚呼…
 噛まない、で」

黄色の蛇が
可愛いヘソに
入ろうとするが
残念、其れは穴ではないぞ
しかしその蛇、諦めず

「そんな、とこ
 無茶、しない、で…」

時折彼女に
鞭が飛ぶ

びし
びし
ひゅん
ひゅん

「嗚呼っ!
 痛…い!
 やめ、て
 くだ、さい…」

緑の蛇は
可愛い乳首の中心に
毒牙を突き立て脅しにかかる
これが全ての中心部
牙の形はハートの様だ

「こんなところ噛まれたら…」
「心臓が止まっちゃうわね」

「そんな
 嗚呼…!
 御免な、さい
 何でも言うこと
 聞きます、から…」

「駄目、よ」
「貴女は私達のオモチャなの
 提案するような権利は、無いわ」

薄い青蛇
最も綺麗な
美麗な蛇は喉元這って
斜角筋に口づけを
「嗚呼…っ」
美麗な吐息が
漏れるたところで
蛇は満足、にやりと笑う

藍色の蛇
紫の蛇が
頭の周りで
踊って揺れる

「毒は毒を持って制する
 昔から言うじゃない」

「嗚呼…
 駄目、です…っ
 一体、何を…」

じゃり
じゃり
じゃり

《てつぐさり
 くびわそえられ
 ろうやぜめ
 きんばくひめの
 すがたさらせば》
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