《瞑想小説 狩人》

瞑想

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蛇責め

蛇責め 其の2

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礼拝が始まる
朝の儀式が、始まる

…さて、と
 昨日は随分と
 お騒がせに
 なりましたので、ね

赤目が囁く
声は鋭く
尖っており
威圧し、突き刺すような、声

赤目の瞳は
昨日よりも更に紅く
黒の要素を幾分か
多く含んでいるように見える

…先ずは子猫ちゃん
 貴女の声を
 封じ込させて
 いただくわ

緑目が続く
狡猾で
淫乱な匂いがする

その匂いは
彼女自身のものであり
ポーチに潜む
蛇から発せられる
ものではない

…猿轡って
 知ってるかしら
 それを改良したものよ
 永久機関内蔵の、ね
 先ずは声を
 出なくしてあげる

…ほら
 見て
 御覧

…?!

…素敵でしょ?
 この棒を咥えてね
 ほら
 ほら
 逃げない、の

…い、嫌…

…これには、ね
 《発声キャンセル機能》
 が付いてるの
 貴女の発する声の
 周波数と
 逆側の周波数を
 即座に作り上げるの、よ
 ほら
 ほら
 咥えなさい

…嗚呼…っ

…口を開けて
 ほら
 噛みなさい

…嫌
 嫌
 嗚呼…

…そう
 そうよ
 バンドはね
 後ろにまわして
 固定するの
 そしたら…
 ほおら
 これで完成

…もう
 声を、出しても
 いいわよ
 きっと誰にも
 聞こえないから

:::::::::::





声、



…随分と
 被虐的な
 感じね

…お似合い、よ
 綺麗だわ
 可愛いわ、よ

…さて、と
 手を後ろに
 回しなさい
 動けないように
 暴れないように
 おねえさん達が
 縛ってあげるから

…動いちゃ駄目よ
 暴れちゃ駄目よ
 この《蛇》はね
 噛みつくことだって
 あるんだから
 
…気をつけてね
 飼い慣らしてあるから
 大丈夫だとは
 思うけれど
 敵だと見なされたら
 その限りではない、からね
 





: 




猿轡を装着され
声はくぐもり
微量の吐息が
漏れるだけ

発声キャンセル機能により
君の言葉は
かき消され
「あ」と「は」の中間
「う」と「く」の中間くらいの
微量な振動が
伝わるだけ







ね、
が、



きゅ
きゅ
ぎゅう

縄の走る
音がする
縄目のこすれる
感触がある

彼女らは
この手の遊びに慣れている
手つきは滑らかで
素早く正確
熟達者
職人の技、そのもの

いつの間にか
後手に拘束される
か細い腕

《後出で合掌》の
アーサナに近いカタチで
縛られた君から
吐息が漏れる

口には猿轡
そのか細い腕は
見事な後手縛りに
まとめあげられ
蛇責めの準備は整った

礼拝堂の朝は
少し寒い
只、全身の皮膚が
泡立っているのは
この寒さのせいではない

未知が、迫っている
すぐ其処に、
すぐ隣にいる
ニセの祈り女の
ポーチの中に

赤目と緑目は
それぞれのポーチの中から
もう一度
蛇を取り出し
君に見せる









め、



声は見事にキャンセルされ
微量な振動を聞き取れるのは
その周囲に居る3人のみ

赤目の持つ蛇は
主人と同じ色の目をしており
身体は、黄色
舌先は大きく
2つに割れており
スペルYに似たカタチ

毒はあるのだろうか
毒持ちの蛇と
そうでない蛇の見分け方は
えっと…
ええっと…

そうだ
頭が3角形か
そうでないかで
判断できるはず
何かに書いていた

残念ながら
赤目の蛇は
見事な3角頭をしており

口から覗く
数本の牙から
謎に包まれた
液体が垂れ
地面を濡らすのを見る

緑目の蛇は
同じく緑の瞳をしており
しゅー
しゅー
しゅーと
今にも飛びかからんと
鎌首をもたげている

舌先は2本
頭は3角

大きさは
一般的に子供が
ちゃんばらに使う
小枝と同じ位のサイズ

2匹は
お互いの存在を確認し
早くじゃれつきたいと
息を荒くする

仲の良い友だち同士、
長い休暇に
親に内緒で旅に出る
その打ち合わせを
している様で

オスとメス、
引き剥がされた
恋人同士が
1年に1度の
秘密のデート
お出かけは
彼の車で
そんな様子で

はしゃぐ
はしゃぐは
2匹の蛇よ

その中間地点に
黒いワンピースを纏った
祈り女がおり
恐怖にわなわな
震えている

先ず
放たれたのは
赤目の蛇

両手で抱え上げ
落とさぬように
細心の注意を払い
君の首もとに
近づける

赤目は蛇に
行き先を告げる
狙いを定めなさい
朝食は
そこに、在るわ
あわてず
ゆっくりと
味わうことよ

ゆっくり
ゆっくり
首から
ワンピースの中へ
背中のほうへ









け、



ぞく
ぞく
ぞく
ぞくり

君は背中に
這い回る蛇の
気配と感触を感じ
吐息を荒げる

吐息は猿轡に
かき消され
助けを求める
声は見事に
キャンセルされる
見事な
見事な
永久機関の働き

未知への恐怖
おぞましい感触

しゅー
しゅー
しゅー

礼拝堂の一角に
赤目の蛇が
舞い降りた

《すべすべ、おはだ
 けさの、えものは
 いのりめの
 せなか、むなもと
 その突起》

::::::::::::
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