《瞑想小説 狩人》

瞑想

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蟲責め

蟲責め 其の19(終演)

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…お前は?
 何だ?

…わたし、は
 ねこ…

…敬語を使え

…わたし、は
 ねこ、で、す

…誰の?

…貴方、の
 ちょうろう、さまの
 ねこ、です…

…猫は、ペットだ
 愛玩動物だ
 そうだな?

…は…い
 わたし、は
 ペット…

…敬語を

…わたし、は
 貴方の…
 ペット、で、す
 嗚、呼…

…綺麗になったものだ
 ブラッシングは
 どうだったかな?

…は…い
 わたし、は
 しっぽ、と
 おみみ、を
 ブラッシングされまして…
 嗚呼…
 恥ず、かしい

…言え
 どう感じた?

…とても…
 被虐的な…
 きも、ち…に

…もう、
 トドメを挿してほしいか?

…わかり、
 ません、が
 このたいせいが
 つらいの、です
 もう…
 許して…

…舐めろ
 もっと
 猫の様に

…は…い

 ぺろ
 ぺろ
 ぺろ

…どんな気持ちに、なる?

…ほんとう、の
 ペットに
 なったような…
 きも、ち…
 嗚呼…

…もういい
 やめろ

…?

…そのままにしていろ…
 トドメを、さしてやる

…?

…四つん這いのまま
 動くでないぞ…
 まあ、
 拘束されておっては
 動けんか…
 この《針ブラシ》を使って
 今宵の幕引きとしよう

…?!

…随分と長い
 夜となったものだ
 輪番の祈り女よ
 そろそろ引き際
 長い長い
 蟲責めの章に
 一本の線を引こうではないか



…耳から侵入した蟲は
 随分とお前に
 たくさんの
 映像を見せた、な
 随分と長い
 夜だった、な
 宵は深くなり
 草木も眠る頃合い
 我々の睦み合い
 といっても
 一方的なものに過ぎぬが…
 これもそろそろ
 終わりとしよう
 明日になれば
 また明日の責め苦がある
 今夜はこれで消えてしまえ
 この針ブラシの
 刺激とともに、な

…なに、を

…このブラシ
 世界で一番細い
 針のついたブラシで、
 お前の猫耳を
 かき回してやる
 
…!?

…心配には及ばん
 古くから美顔器として
 育毛のためのものとして
 重宝されてきたブラシだ
 まあ
 人外の耳に使用された
 ことは無いとは、思うが、な
 
…や
 め
 て…

…お前がどう
 反応するか
 それが
 見たくて、な
 
…嗚呼
 駄目…

…怖いか?
 何をされるか、が?

…は…い

…未知への恐怖?

…嗚呼
 は…い

…始めよう
 このローラー部分を
 耳に、
 あてがう
 この
 ように…
 ほれ

…!
 !
 嗚呼っ!

…このローラー部分には
 何百もの
 細い
 細い針が付いている
 これを
 回していく
 わけだ
 この
 ように

…!
 !
 !
 嗚呼!
 や!
 め
 て…

…お前は?
 私の?
 何だった?

…ペット、で、す
 嗚呼っ!
 おかしく、なる

…それはお前の耳ではない
 カチューシャから生えた
 人外の耳
 猫耳
 なの、に

…嗚呼っ!
 嗚呼っ!

…まだ、外回り
 だけではないか
 そう、慌てるな
 内部粘膜
 そこまで
 ゆっくりと
 侵入してやる、から

…宇!
 宇!
 宇っ!

 ピク
 ピク
 ピク
 ピク

……

……

…達した、か?

 ぴく
 ぴく
 ぴくん

…達した、な?
 気をやるな
 しっかりしていろ
 まだ、責めは残っている
 針ブラシでの絶頂
 針ブラシの感覚
 これをしっかり
 覚えて、おけ

 ピク
 ピク
 ピク

…そうだ
 快感を逃がせ
 頭頂部、から
 お前の得意な
 クラウンチャクラから

 ぴく
 ぴく
 ぴく

…気を失うなよ
 もう一度、
 もう一度、
 外を一周、
 今度は、逆の耳を

…嗚!
 呼!
 駄!
 目…

…まだ
 中にも入っておらんぞ
 耐えろ
 まだ
 まだ
 《針ブラシ責め》
 随分とお気に
 召したようだな
 ほれ
 ほれ
 ほれ

…宇!
 宇!
 宇宇っ!

…いい反応をしおる
 焦らし続けた
 甲斐があったと
 いうもの

 ぴく
 ぴく
 ぴく

…背中を揺らせ
 快感を逃がせ
 どうだ
 針ブラシの
 感想、は?

…嗚呼
 もう…

…感想、を

…葉…
 葉…
 葉…い
 これ、は
 悪魔の代物
 脳天に穴を開け
 中枢をちょくげき
 する、
 よう、
 なっ
 嗚呼っ…!

…そうか
 そうか
 そんなにも
 良いか
 では
 な
 中を
 耳の中を
 擦ってやるとしよう

…嗚呼!
 駄目!
 おね、が、い
 やめ、て

…駄目だ
 お前は?
 私の?

…嗚呼!
 嗚呼!
 宇、宇!

…言え
 お前は
 私の?

…ペット
 で、すっ
 嗚呼!
 お願い!

…そうだ
 な
 果てろ
 中の粘膜で
 耳の中の粘膜で
 見えない針に刺され、ながら

…おね
 が、い…
 
 ぴく
 ぴく
 ぴく

 ぴく
 ぴく
 ぴく 

 ばたり

:::::::::::::::
:::::::::::::::

長い
長い
蟲責めの夜は終わる
君の消気とともに

眠りを司り
メラトニンを支配する
その松ぼっくりは
蟲に喰われ 
正常になったのか
異常になったのか

《蟲いづこ
 消えるものかな
 この余韻
 夜は更け行き
 乙女は果てる》

蟲は消えるのか
夢の中で見た
数々の映像は
本当のものなのか
架空のものなのか

君が過去世で経験したものなのか
俺の願望の一つひとつなのか

《艶姿
 見るも無惨な
 踊り子の
 今宵見た夢
 久しきもの也》

輪番はまだ
終わらない
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