《瞑想小説 狩人》

瞑想

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蟲責め

蟲責め 其の13

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…そのムスメは
 どう、なったのだ

…は…い
 その美しい娘は
 《土牢》に監禁されます
 朝陽はささず、月も見えず、
 どれだけの時間を
 ここで過ごしているのか
 それが全く、解らなくなるのです
 牢獄の中、鉄球に繋がれ
 入れ替わり立ち替わり
 ひたすら、
 ひたすら、
 ただひたすら、
 蛮族の性を満たす華となすのです
 :
 《土牢》の中には
 オトコ、
 いつもオトコ、
 いつも複数のオトコ
 性癖も様々で
 求める体位の違うオトコが
 彼女の身体で、様々な遊びをするのです
 :
 前を好むオトコがおり
 陰核を噛むオトコがおり
 後ろを求めるオトコがおり
 熱いロウを垂らすのが
 趣味なオトコも多かった
 :
 《オンナは耳だけで達するのか?》
 《脳波の変更で、オンナは達するのか?》
 《最も恥ずかしい体位はどんなものか?》
 そんな実験の素材ともされました
 :
 実験結果は記されます
 貴重な、
 貴重な、資料として…

《オンナは
 耳たぶだけで絶頂し
 電気刺激で至ることもできるもの也》

《最も被虐的な体位は
 「恥ずかし固め」という
 アーサナであることを付す
 近距離から、
 中距離から、
 遠距離から同時に
 視姦することで被虐は極まる》
 
…嗚呼
 時間、
 時間、
 どのくらい
 時間が経ったのだろう
 夏の宴はもう、
 とっくに終わって
 しまったのかしら
 それとも、
 今、
 まさに、
 宴の最中
 なのかしら…

 彼等、蛮族には、
 時間という概念がなく、
 その言葉すら存在しないのです
 半人半獣の王、
 彼女が股ぐらにキスをした
 その存在が時間を消したとのこと
 そのオトコは言います
 力強く、
 はっきりとした、言葉で

《時間、
 時間を無くそう!
 先ずは言葉から!
 言葉が無くなれば
 時間、そのものもなくなるだろう
 我々には、現在しかない!
 今、
 今、
 今、に集中するのだ
 蛮族の民よ、聞け!
 今、
 今、
 今、に集中しろ!
 :
 お前達は疎まれ
 虐げられた存在
 私はそれを許し、
 ここに住むことを認める
 :
 今、
 今、
 今、この瞬間に身を投じ
 現在だけを意識するのなら
 お前たちはここに居る価値がある!
 過去を語るな!
 未来を予想するな!
 身体の感覚に集中しろ!
 没頭、
 没頭、
 そう、
 没頭、するのだ!
 それが、生
 それが、生きるということ
 ここで産まれた者ども
 迫害され、流れ着いた者ども
 :
 好きに生きるがいい、この場所で
 回顧する過去もなく、
 心配絶えぬ未来もなく、
 ここには今、しかない
 現在に没頭し、
 好きに、生きろ、
 魂の望むまま、生きるのだ!
 :
 芸術に没頭するも結構!
 盤上の勝負に身を投じるのも良い!
 音楽を奏でることに集中しろ!
 瞑想に耽るのも良い!
 ひたすら唱え
 虚空蔵求聞持法を求めるも良い!
 時間の概念を忘れ
 ひたすらここで
 没頭するがいい
 この場所は
 《器》だ
 お前たちの生
 これを全うさせる《器》
 :
 しかし
 この場所にも
 唯一の欠点がある
 :
 オンナが
 居ないことだ
 ここが唯一の欠点
 オンナを手に入れることを
 恐れてはいけない!
 それはオトコの本質なるぞ!
 :
 オトコの活力は3つある
 1つ、没頭
 2つ、目的
 3つ、オンナ
 他の村々から手に入れてこい
 手法は問わん、手段は問わん
 力を行使することも、全く構わん
 今、
 今、
 今、に集中せよ
 我々は、生を全う、する!》

 そのオトコ
 半人半獣のオトコは
 どこからともなく食料を入手し
 どこからともなく飲み物を調達する
 そんな術を身につけております
 生ける永久機関
 そんな、存在
 ある種
 絶対的といえる
 カリスマ性を具備した彼の
 言葉の影響力は凄まじいものです
 :
 彼の言いつけ通り
 蛮族らは時間を忘れ
 自らの成すべき事に没頭し
 《過去》《未来》《時間》
 その3つの言葉を無くしました
 語るものは語り続け
 読むものは読み続け
 歌うものは歌い続け
 そして、探求するものは探求する
 そんな日々が続きます
 時間の概念が、ないのですから
 日々というのもおかしいですが…
 :
 程なく「類は友を呼ぶ」というように
 幾つかのグループが出来上がります
 特筆に値するのは2つ
 1つは
 《虚空蔵求聞持法》を求める集団
 もう1つは…そう、
 《オンナを生きがいとする》集団
 :
 《虚空蔵求聞持法》は
 その穴蔵の中でついに
 本当の完成を迎えます
 過去に高僧が学んだものよりも深く
 もっともっと、具体的な手法で
 :
 見たものを忘れず、
 聞いたことを忘れず、
 求める答えを中空から引き出し、
 チャクラを、無理やりに覚醒させる
 そんな手法を手に入れたのです
 虚空蔵求聞持法、
 これには欠けている部分があったと
 その集団はのちに語ります
 マントラは同じ、でも
 アカシヤと繋がる方法に
 問題があったとか、何とか…
 :
 一方、オンナ攫いの蛮族は
 別の手法で生きることに没頭します
 他の村々に旅立ち
 一介の旅人の振りをして
 村一番の美しい娘を攫っていくのです
 :
 攫ったオンナは土牢に入れ
 時間
 時間、
 そう、
 時間の感覚を麻痺させ
 身体の感覚を麻痺させたのち
 自分たちの性の糧とするのです
 :
 嗚呼、彼女が可哀想…
 終わり見えぬ陵辱の嵐が吹き
 水平線のない性欲の海に浮かぶ舟
 処女膜に守られていたのは
 ついさっきまでだったのか
 遠い昔の話なのか
 
《ノウボウアカシャ
 ギャラバヤオンアリキャ
 マリボリ、ソワカ》

 詠唱が止むことはなく
 虚空蔵求聞持法の集団は
 さらに
 さらに
 瞑想を深めていきます
 :
 彼女はふと
 思うのです
 そう、
 そうだ
 この詠唱の回数
 虚空蔵様への詠唱の回数を
 数えることに集中してみよう
 それがこの
 無限地獄から脱出する鍵になる
 何となく、
 何となく、
 そんな気がする、と

《かの娘、
 旅先深い、
 穴の底、
 散る華あれど
 咲くも真なり》
 
…続けろ

…は…い

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