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蟲責め
蟲責め 其の6
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舞台は古い一軒家
三角屋根に
瓦が敷いてある
外壁は最近、塗装されたようだが
その北面の一部はあえて
そのまま残すよう
この家の主から
言い伝えられた
外壁の一部には
古い傷がそのまま、残り
築何十年以上経過したその証を残す
…《古民家》
という表現がマッチする
風情のある
佇まい
中は小綺麗に整えられている
居るのは2人
1人はオトコ
1人はオンナ
…オトコは秋なのにシャツ一枚、
大柄で逞しい身体
オンナは秋なのに
華奢な身体に
身の丈ほどの長いダウンを纏い、
さらにその上に
大きめなストールを羽織っていた
小綺麗な家だ
むしろ
何もないと言ったほうが
表現としては相応しい
彼等はこの居を
構えるにあたり
《無》から
スタートすることにした
…何もない状態
《無》が在る
そこから始めよう、と
お互いに納得のうえ
秋に入居した彼等は
何もないことに
とても
とても
とても満足していた
…秋の風の音が聞こえる
秋の虫の声が聞こえる
…大きな窓が強風で
若干揺れるものの
それを風情、と、できる2人故
このような始まりを
良しとできたの、だろう
何より気に入ったのは
テレビがないこと
新聞がないこと
周囲がある程度
開けた場所に立地していること
…ない、
何も、ない
空白があり
空間があり
無が、在る
ここからスタートする
そんな始まり
そんな旅立ち
そんな第2の人生
嫌
第3の人生の始まり
…その目的は
《如何に死ぬか》
彼女は言う
…冬が来る前に
暖房器具をお買いに
なりますか?
…嫌
あえて
そのままにしておこう
あえて
あえて、だ
冬は寒くなるだろうな
いくらこの平野部に於いても
…しかし
しかしだ、
先ずは
寒くて
寒くて
どうしようもなくなろう
…そこから考えよう
2人で
…あなた
らしいわ、ね
…そうさ
皆が持っているから
なんていう
小賢しい理由は要らないよ
《寒くって、どうしようもない、から》
それを体感したうえで
吟味して、
購入するとしよう
…何、心配するな
蓄えはある
何、心配するな
見入りは十分にある
…お前は何も
心配しなくていい
…はい
::::::::::::::::
玄関は広く
上がりかまちには
彼のものとおぼしき
大きなサンダルが3つある
全てが同色で
全てが同じ製造メーカー
《気に入ったものは複数、持つ》
《メンテナンスが容易であること》
《いつも、そこにあること》
《心地よいものであること》
彼の価値観は揺るがない
彼は29センチで、
彼女は23センチ
その大きさで
一目、瞭然
これなら
どの靴がどちらのものか
迷うこともないだろう
彼女のクローゼットは
不思議な佇まい
《春》
《夏》
《秋》
《冬》
とゾーン分けされており
そこには幾つもの
同じ服があった
全てが同じ製造メーカー
彼と違うのは
複数の色違いが
そこに在ること
《気分が変わるから》
それが理由らしい
クローゼットの中
《通年》と書かれた
その場所には
SSサイズの
ヨガパンツが並べられ
薄い青が4本
薄い紫が4本
全く同じ形状を
保っており
全く同じハンガーに
吊るされていた
…同じ
価値観を持った2人
同じ
世界線を生きる2人
何より
静かな家なのが良い
テレビがない、
静かな家
……
彼は時々、
瞑想に耽る
…内壁の一部を凝視し
真剣な表情
この彼に声を掛けることなど
出来ない
集中するオトコに
野暮な声掛けは
したくない
何年、年十年経っても
なお、そう思う
…肩甲骨と鎖骨を
回し
首を大きく一巡させたのち
随分と長い
瞑想に耽る彼
…彼女は彼の行為を
ごく
自然なことのように眺め
本を読んでいる
…彼女の手中にはいつも
《薬草学》が握られていた
…時間を忘れ
お互いに没頭している時間を
共有する
澄んだ空気が
ここまで伝わって、くる
彼女はある時
入籍について
彼に聞いてみた
…同居する
に
あたり
籍はどうします?
籍入れをせねば
何かと
面倒か、と
…何が?
面倒だと?
俺は役所に行って
面倒な手続きをして
面倒な披露宴なんぞやって
面倒な食事を食う
そのほうが
余程面倒に
感じる、が
どうかな
…そう
ね
そうかも
知れない
必要が出てきたら
届け出れば
よいのかも
しれないわ、ね
このままで、
自然なままで、
良いのかも
しれないわ、ね
…賢い娘だ
そう
そう
そうだ
それより大事なのは…
…?
…お互い
行き先を告げずに
家を出る
習慣付け、だ
今日も買い物に
お出かけするんだろう?
少し離れた
《こだわりや》だったか?
自然由来の
ものを並べているあの店に
なら、
ならば、
こうしてくれ、
…良く聞くんだよ
行く時には、
出かける時には、
な
俺に何も告げず
黙って出ていくんだぜ
練習だ、
習慣付け、だ
…?
…俺は君を束縛するために
この家を構えた
わけじゃあ
ない
わかるか?
…は、い
では
そう
致します
…そうだ
それでいい
賢い娘だ
一冬を越え
彼等は直接的に炎を扱える
随分と手間のかかる
大きな
そして高価な
暖房機器を調達した
その選択にも
随分と大きな理由があったようだ
選択は慎重で
時間のかかるものだった
…《直接的な炎のゆらめきは
精神を安定させる》
また
炎は現象に過ぎないのであって
実態があって
ないようなもの
そのような根源的なものを
是非、手元に置いておきたい
…彼は哲学のような
問答で
彼女に「それでいいか?」
と訪ねたが
彼女は黙って
その華奢で
可憐な首を
縦に振るだけ
…貴方に、間違いはないわ
私は安心していれば良い
只、貴方を支えているだけでいい
…間違った選択なら
貴方は直ぐに修正、してくれるもの
その火で
その力で
私を温めて、欲しい
もし
それでも寒ければ
布団を近づけるわ
貴方は発熱しているもの
…いつも、
いつも、
発熱しているもの
そしてそれが
私を芯から
温めてくれる
…そうか
俺は
俺はな
熱くて仕様がない
冬でも
冬でも、な
丹田から発する
エネルギーが止まらないんだ
その一部
君が吸い取って
くれれば有り難い
そう
そう
そうだ
これで俺も
安眠できるというもの
::::::::::::
春を迎え
少しづつ周囲の環境が変わる
芽吹きの時、だ
彼も
彼女も
満足している様子
…綺麗だ
綺麗
何もかもが
こんなに
綺麗
無いこと
《無》
無が在る
そんな暮らしに
本当に
満足している、様子
なんせ
この家には
テレビがなく
新聞もない
必要な情報は
他者様から
教われば、いい
2人には共通した
ある行動パターンがあった
友人
知人
その場であった人
会話の中で
《知ったかぶり》の逆の行動をとる
《知らない、振り》をすることだ
賢い2人だ
只、黙って
人の言うことを聞き
どんなに長い会話でも
口を挟まず
既知のことであっても
口を挟まず
…《成程
これこれ
かくかく
しかじかで
こういう、ことですね》
と、最後に要約する
という会話を常とした
その習慣が
彼等をより
聡明に、
美しく、
逞しく、させながら
年月が、過ぎる
…朝早く
彼は公園に出かける
そこで何をしているのだろう?
彼女は思うが
何となく
何となく
聞くのも野暮な気が
するが故
何も聞かない
…彼は昼に
《鍛錬場》と名付けた
場所に出向くらしい
そこで
何をしているのか?
それを聞くのは
何となく
何となく
野暮な気がする故
彼女は何も聞かない
彼女がそれを知ったのは
同居が始まり
2年を経過した頃
共通の知人を介して、だった
…《彼のパーソナルは…
素晴らしい、ですよ
ええと…
何というか
芸術というか
引き出しが多いというか
そうそう
その人に合わせて
カラダに合わせて
心に寄り添って
そんなことを
彼は言っていました
何ともはや
良い旦那様、ですな》
とのこと
その日の夕暮れ
彼は少し
興奮しているようで
彼女は
いつもの膝枕タイムで
随分と大きな
嬌声を上げる
彼を優しく撫でていた
…もう
本当に
変わらないわね
一途、
一生懸命、
一心不乱、
謙虚、
貴方は
変わらない
のね
何時でも
何時でも
変わらない
…貴方は有言実行
他の人とは違うわ
でも
気をつけてね
やりすぎて
怪我をしてしまわないでね
お願いよ
…私より先に
この世界から
居なくならないで、ね
…なあ
…は…い
…もう少し
このままで
いいか?
…は…い
彼女の膝に
ぐりぐりと
顔を押し込んでくる彼
彼は言う
ここが俺の居場所なんだ、と
彼は言う
ここが俺の還る場所なんだ、と
さらに言う
人は、人に還るものだ、と
…嗚呼…
そんなに
ぐり
ぐり
と
されましたら…
…興奮、してくる?
…は、…い
…そうか
…嗚呼…
彼はその後、
少々の夕寝を済ませ
書斎にこもり
筆に向かう
何年前からになるのか
執筆と
電子執筆の両輪を
回すようにしている、とのこと
…何を書いているのだろうか
そのことに
興味は尽きぬが
何となく
何となく
聞くのは野暮な気がする故
只、見守るだけにした
…執筆の間
ブツブツと何事か呟き
その声が漏れてくる
《これは、究極の心と身体
永遠に続く、マコトの知恵の
執筆、なり》
…そんなことを何度も繰り返し
言っているものだから
すっかり、覚えてしまったわ
…でも気をつけてね
貴方は
やりすぎて
宵越しの
執筆になることも
駄目です、よ
だめ、よ
私より先に
この世を去っちゃ
駄目
言ったじゃない
《死してなお
お前を愛するよ、
お前の死を見届けた後、
その寂しさに包まれながら、
俺もその後を、追う》
…なんて、
キザな、
素敵な台詞を…
…なので
心配してしまう
やりすぎないで
ね
お願い、よ
互いのパーソナル・スペース
として位置づけた寝室
寝室は2つ設けていたのだが
今夜はことのほか冷える
彼女は
彼の寝室に
潜り込み
小さな
小さな
寝息を
立てる
…
…オヤスミ、ナサイマセ
…z…
…z…
::::::::::::::::
在る日
彼女は
彼の鍛錬場に
同行することとなる
…依頼があったのでな
そして、君にも同行してもらいたい
…勿論、
君さえよければ、だ
今の君に必要なことを
そこで、教えるから
とのことだった
賑わいをみせる
鍛錬場
その鍛錬場は
20年以上通っているため
器具の配置も全て
知っているし
顔見知りも多い
大きな
マットの隅で
彼のパーソナルが始まる
誰もそれに
文句をつけない
嫌
つけようが、ない
彼は
依頼内容に相応しい
スクワットのやり方を、
食欲の統制方法を、
呼吸法を、
鬱病からの脱出方法を、
一通り指南した
依頼主は
何か紙切れを
彼に渡そうとしたが
彼はそれを断った
…これは《究極の心と身体》の
一部
金銭に交換するなど
そんな
安売りはしない
とのことだった
彼女は
何人かの知り合いに
声をかける
とても細いスキニーパンツと
背中が大胆に開いた
ウェアが美しい
妖精のような
人外のもののような
雰囲気は…
20年前、
ここで
出会ったときよりも
むしろ
今の方が色濃くなって、いるよ
…彼女は久しぶりに
マットの上
2人きりで
彼のヨーガを
教わる時間ができたことに
心踊っていた
今日は…?
何を…?
…よろしく
お願い
致します…
…こちらこそ
この切り出しは
何十年も変わらない
彼は熱っぽく
胸鎖乳突筋の機能について
3つの斜角筋の構造、
そのストレッチについて
寒くなると小胸筋が固くなるから
適正に伸ばさねばならないこと
など
人体解剖学に基づく
理論的なアーサナを
彼女に指導した
…この時は
彼は師匠で
彼女は弟子
今も昔も
変わらない
その2人を眺める
他のオトコ、オンナ達は
たくさん、
たくさん居たらしい
一番印象的だった一言を
付しておけば
…神々しくさえ
見える
…良いものを
見せていただいた
ありがとう
とのことだ
有無、
今も、
その一言が、
印象に残っているな
現実に
::::::::::::
…車で待っている
ゆっくりと
くればいい
…はい
彼女は着替えに時間がかかるし
知人も多いため
なかなか車には戻ってこない
いつもの
ことだ
待つことが得意な彼
こんな時
彼は
お気に入りの段差で
瞑想して彼女を待つ
…お待たせ…
致しました…
…帰ろう
それとも
どこかに
寄るかい?
彼女は首を振る
家までは車で約15分
珍しく
彼女は何も話さない
俺が伸ばした左手を
ぎゅっと
両手で
握りしめるのみ
何とも叙情的に
いつもと
どこか
違っている
家につくと
そこでも
彼女は何か
考え込んでいる
様子
…あのう
…何だい?
…今宵の膳についてですが
…不無
…なし
でも
よいですか?
失礼、ではないですか?
…嗚呼
一向に構わん
俺は基本
何でも自分でできるし
1日1食で十分なんだ
君も知っているとおり
…は…い
…何か、あったんだな
…は…い
…詳しくは聞かない
野暮ってもんだろう?
もし
話したくなったら
話せばいい
…は…い
………
::::::::::
…聞いて
頂け、ますか?
…何なりと
…私、
本日…
…トレーニングルームで、
鍛錬場で、
あるオトコの人に、
声を掛けて頂きました…
…いつものことじゃあないか
ナンパの類だろう?
口説き文句は
どうだったんだい?
…は…い
一通り
彼の人となりを
一心不乱に説明されました…
…何やら
随分な企業の
随分な役職の方
とのことで、した…
…それで?
…彼は
言いました
…遂に
不老不死の
もととなる
ミトコンドリアの
活性化の方法を見つけたんだ
と
熱っぽく
…口説き文句としては
悪くない
じゃあないか
…小一時間
そのことを熱っぽく
語られました
ごめんな、さい
貴方が待っていて
くれた、のに
…それで?
その先の話は?
…私を…
私を…
…君を?
…誘ってきました
明日の晩
20時の湯河原行き列車で
一緒に旅に出ないか?と
……
…その列車は
最終便とのことです…
これに乗ってくれれば
君にそのことを
話の続きを
教えてあげる、と
…それで?
興味深い、な
…私、
私、
その話の続きが
聞きたくなった、の
です…
また、
その人の体つき
目つき
に
やられてしまいまして…
…オーケー、
したのかな?
…いいえ
考えさせて
ください、と
そう…
こたえ、まし、た
…成程、
要は君は
その誘いに乗っても
いいかと
聞いているんだね?
…答えは
こうだ
…俺は君を束縛するために
ここに居を構えたんじゃない
《好きに、すればいい》
…あなたは
私を…
…愛しているさ
勿論
だから、行っておいで
…嫉妬…
嫉妬かい?
勿論、するさ
人間、だものな
嫉妬とのお付き合い
俺も20年で
随分学ばせてもらったよ
……
…嫉妬は人間が
本当に何を求めているのか
それを示す羅針盤になるんだ
たまには
嫉妬を感じるのも
いい
……
…彼のもとに
行っておいで
そこで
何を感じるのか
そこでしか
感じられないものも
あるはず
好きに、すればいい
……考えて、みま、す
その日は別々の床についた
彼は眠れなかったようで
月に向かって
長い
長い
長い瞑想をしていた
彼女もそう
布団の中で
もじ
もじ
もじと
誘ってきた
オトコの熱っぽい言葉と
隣の部屋で月を眺める
彼の言葉が
心を揺らす
とても大きく
::::::::::::
湯河原行き
最終列車
2番線まで
バスに揺られ
小一時間
昨日
声をかけてきた
青年実業家のような
若く逞しい
オトコは
改札口の前で
君を待っていた
…来てくれると
思った
ありがとう
本当に
貴方は綺麗、だ
…あ、り
がとう…
…さあ
もう列車が出るころだ
急ごう
この列車に乗ってしまえば
行く先まで行き着けば
帰りは、ない
少なくとも
今夜は
オトコとオンナ
湯河原という温泉街
そこで一体
何が起こるのか
君は少し
尻尾を丸め込んだ
耳も少し、
しぼんで見えるぞ
勿論、
猫耳のほうの話だが
列車の中は
閑散としている
…最終列車というのは
こんなに
人が居ないもの、
だったかしら?
君は思う
4人がけの対面椅子
そこに若いオトコと
幾分か年上に見えるが
年齢不詳の
可憐で上品な
美しい…オンナ
天気の話
小田急線の話
海老名駅の話
他愛もない会話のアイスブレイクの中
彼の顔を改めて見た時
君は
奇妙な
感覚に
気づく
…?あ、れ?…
…昨日の話の続きなんだが
先ず
人間には、筋膜ってのが
あってさ…
…はあ
《それは、既に
教わったことがある
気がします…誰かに》
…そして、本題だ
テロメアってご存知かな…
分裂回数についてなんだけれど…
《其れも…
誰かが…あれ?》
…そして
呼吸が大事だっていうところに
行くつくわけなんだ!
なので
俺はヨガを学んだし
瞑想についても本を読んだ
変な男だろ?
《いいえ、全く…
だって、そう、貴方は…
そして、次は
こう言うの
でしょう?多分》
…ところで
携帯電話…
もしよければ
番号を
聞いてもいいかな?
…わたし、携帯電話
持っていないの…
…わかる、気がする
《そう、
そう言うの、よね
いつか、
いつかと、同じ…》
:::::::::::
その
言葉をきっかけに
夜の雰囲気が変わる
青年実業家は…
本当の自分に、
修行僧に、
鍛錬者に、
仙道の達人に
姿を戻す
列車は走る
もう、車内には
誰も居なくなってしまった
彼の声が
少し低くなる
はっきりとした声になる
死線を何度もくぐり抜け
なお、今も
死を近くに置いている
そんな声になる
…もうすぐ
最後の駅になりますね
…ここまでの
お付き合い
本当に
ありがとう
…?
…湯河原まで行くか
その手前の駅で降りるか
そのことは
貴女が決めてください
私はその決定者では
ありませんので…
…??
…この列車に乗ってくれたこと
話を聞いてくれたこと
これで十分
なんです、よ
……
…あなたの言葉を
また聞きたい
その一心、だったんでしょう
多分、ね
……
貴方は
私を誘って
…温泉街で
宿を一つとり
…そして
私を抱く
そういう
ことでは
なかったの、ですか…?
…違う
違うんです
私はもう一度
トレーニングルームで
貴方に声を
掛けてみたかった
それだけ
なんです
……
…出会いを
もう一度
そんなイベントなんです
瞑想…
瞑想…
瞑想が深くなると
こんなことも
たまには、ね
……
…どうします
最終駅まで
いきますか?
それとも
前の駅で
降りられ、ますか?
貴女が
決めてください
有難う
私は満足です
……あなた、は…
…次の駅なら
まだ
帰りの列車も
あります故
::::::::::::::
彼にさよならを告げ
一つ手前のホームに降りる
直ぐに帰りの列車がやってくる
その車内は妙に
ごった返しており
君は一人の痴漢に
尻を触られたと、言っていたな
幾つかの街が見え
幾つかの川を越え
心は戻る場所を知る
家に向かう
直近の駅の北口
この時間では
バスも動いてはいまい
タクシーを拾わなきゃ
《タクシー専用》のレーンには
一台もいない
電話ボックスを探すと
見慣れた車がそこにあることに
気づく
ホンダのワンボックス
車内をいつも小綺麗にしてある
いつもの車だ
運転手はいつものあの人
スライドドアの音に合わえて
彼女は一つ咳払い
後部座席の左側
君は定位置に落ち着いた
車を走らせる
家までは
さほどかかるまい
しばし
沈黙が
続いた後
…彼は、ね…
…彼は、どうだった?
…あなた、だったわ、20年前の
賢い、娘だ
::::::::::::::::
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