86 / 585
蟲責め
蟲責め 其の3
しおりを挟む…身体を自由にして下さい
いい娘にしておりますから
…首輪を外して下さい、ませ
逃げ出したりはしませんから
…せめて
後ろを
開放して下さい、ませ
其処は元々
違う場所
…乳首が疼いて
しまいます
クリップを弱にするのは
是非
お止めになって
下さい、ま、し
…何ならどうぞ
もっと強めて
刺激を下さい
果てるまで
…蟲さんお願い
いたく、しないで
其処は駄目、なの
食べないで
…電気を流さないで
ピリ
ピリ
する
…尻尾を握るなら
優しくお願い致します
又は
痛むくらいにもっと、
強く
…私のものじゃない
この尻尾は
私の
ものじゃない
只の、ベルトについた
カリソメの尻尾
なの、に…
…耳を噛まないで
甘噛み、しないで
…噛むならいっそ
もっと噛んで頂戴
甘いのは嫌よ
逝かせて頂戴
…本当の耳じゃなくて
猫耳の
ほうよ
もう
わかっているでしょう
そう
そこが
弱点なの
そう
そこが
弱点に
なってしまったの、よ
…神経
…神の経路と
書いて
しんけい
神経
…蟲さんは知っていらっしゃる
神経の中枢
その在り所を
…だから私の身体
は
こんなにも
反応してしまうのね
…お願い
中途半端が
一番応える、わ
…辞めるか
逝かせるか
2択で迫って、ください
…その方が楽に
なれるわ
…先刻のお茶が
身体の中に
回っているのかしら
随分と
ぼんやりしている
ような
随分と
しっかり
してきた
ような
…おね、が、い
耳を噛まない、で
尻尾を握らない、で
脳を、食べない、で
嗚呼…
もう…
::::::::::::::
…不、不、不
小気味良い
反応をしよる
…何時見ても飽きない
何度見ても飽きない
本当に美しい
身体だ
…美しいが故
恐ろしさをも
感じるぞ
…お前があの舞いを
もう一度踊ることになったら
…その直後に
何か言葉を
発するとしたら
…あぶない
あぶない
…それほどに
お前は
お前たちは
危険な存在と、言える
…故に
片方は私の掌の中に
片方は手の届かぬ場所に
…これが
賢明な処置というもの
…カリスマ性
扇動力
影響力
そんな力を
お前たちは持ち合わせており
…それを覚醒させる
術をも持っている
気づいていないだけ、だ
…2つが1つに戻った場合、
誰も手の付けられない
そんな存在になる
可能性がある
…可能性は、
排除する
又は
力を削ぎ落とす
2つに1つ
…交渉など
どうでも良かった
失敗に見せかける
このことには苦慮したが
…《究極の心と身体》
その著書の内部
…つまり
誰かの脳神経の一部
ということだが…
…その内容を
知ることに
価値はある、
確かに
…《自発動》…
…気の奥義
とも言える
その技術、
その知識
…これが皆に知れ渡り
体現することが
出来るようになったら
どうすればいいのだ?
…朝は太陽を吸収し
夕に同じことを繰り返し
「…今日も
いい日だった
嗚呼
有り難い」
などと言い出したら?
…あぶない
あぶない
…何かあった場合に
「気のせいよ
気のせい
全ての事柄は
気のせいよ
多分、ね
何故って
そう
感じるもの
そう
そう
そして
書いてもあったわ、ね
《究極の心と身体》
その本の一節に」
などと
言葉を発する輩が
現れてしまったら?
…もし
その言葉を
影響力多大な
人間が発したとしたら?
…これはバランスを
崩壊させかねん
…バランス、
そう
全てはバランスで
成り立っている
…前面と後面のバランス
右と左のバランス
上と下のバランス
隣村とのバランス
この村の中のバランス
祈り女の数と
狩人の数
その他のもろもろの…
バランス
…1つがバランスを失えば
全てが崩壊することも
有る
多いに
有るのだ
…《影響力という武器》
…影響力多大なる
人物が発する言葉
行動する所作
それは真実になる
…そこに恐怖を
感じるのがこの私
コミュニティの長たる
この私
…余りにも美しいものが
余りにも美しい所作で、
美しい言葉で、
美しい声色で、
何事かを話していれば?
…それは真実になるだろう
理由は簡単だ
その美しさが
その言葉を証明するからだ
どんな内容だったにせよな
…余りにも強いものが
強くなる可能性のあるものが
何かを語ったとしたら?
…そのオトコが
界隈で一番の
獣を一撃で葬った事実を、
皆が知ることとなったら?
…万年樹とともに
産まれ
育ち
生き
数知れない夜を
乗り越え
群れを統率する
狼の長を
一撃のもとに
葬り去ったという事実が
残ってしまったら?
…それは伝説になるだろう
そして彼には
随分な数の
信望者が産まれるだろう
そして彼は言う
…「関係、ないね
そもそも
俺の身体は
エネルギー源が
違うのさ
ケトンって知っているかい?
ミトコンドリアって
知っているかい?
無限に動き続け
無限に働き続ける
それらを保護する
術を知っている
只、それだけだよ
教えることなど
何もない
…
そう
そう
そう感じるんだ
そして
読んでおいたほうがいい
《究極の心と身体》
その本を
その中に書いてあったのさ
無限に動き続ける方法が
なので
俺は
あの獣を
仕留めることが
出来たわけだな」
…などど語ったとしたら?
これはバランスを
損ないかねん
…故に私は
お前の耳を噛む
交渉など
どうでも良かったのだ
…隣村の長は
言っていたな
お前が本当の娘に
思えてきたと
…できれば
このまま
連れていきたい
くらいだと
…お前は言っていたな
間髪を入れずに
言っていた、な
時系列でいえば
ほんの数刻前
ということになるのだが
:::::::::::::
…いいえ、
私は、
残ります
…有り難い申し出を頂戴し、
感謝いたします
…ですが
…ですが
私、は
このコミュニティに残り
成すべきことを…
成すべきことを
成すのです
…それが、何なのか
その答は
今の私、
無知な私では
到底
辿り着くことは
叶いません
…しかし、
いつか、
ほんの先の未来
一寸先の未来に
割れそうな卵がある
そんな予感が
するのです
…ありがとう
とても心暖まる、
2つの夜でした
貴方のことは
忘れないわ
…そして
お月様の話も
また、会える日を
楽しみにしています
:::::::::::::::
…言葉の内容よりも
間髪入れぬ、
《間》
…私の言葉を
私の行動を
全て制するような
掌の動き
…有無を言わせぬような
何事も黙らせるような
そんな、所作だった
…お前は危険なオンナ
所作、一つで
人を扇動し
人を先導しかねない
影響力を持っている
…あの
《間》に
恐怖できる私
…その感覚があるうちは
まだいい
…問題は
その感覚が無くなった場合
そうならないように
薬草学を学ぶし
肉体学を学ぶ
…獣の肉は
鳥を週に3回まで
豚は食べす
牛も食べない
そうすることで
この感覚は維持できる
一方
…コミュニティの民には
そのようにさせないのが
正解と言える
…支配
…この掌で
歌って
踊って
酔っ払って
死んでいけるように
コミュニティは
バランスを保っている
…中心点があり
その左半分が
私
その右半分が
その他
というわけだ
…時にして異物が
現れる
…目立つもの
輝くもの
それには
相応の仕打ちを
用意しておく、まで
:::::::::::
…そう
そう
そうだ
そのように悶えていればいい
今宵は
好機
…お前の力を削ぎ
影響力を失わせる、好機
…絶望の言葉をかけてやる
もっと
もっと
潜在意識を
優位にした状態にして、な
…心と身体は繋がっている
身体が優位になった時、
人は潜在意識の扉を開き
変性意識に入り込む
にぎ
にぎ
にぎ
…良いか
そんなにも
この尻尾責めが
かみ
かみ
かみ
…良いか
そんなにも
この耳を噛まれるのが
…おかしな世界観だろう
ベルトから生えた
仮の尻尾
カチューシャから生えた
仮の猫耳
それらが神経と繋がっているのだ
…理解に苦しむだろう
理解できぬだろう
…これらは傑作だ
…世の傑作を
全て並べて
その中からさらに傑作を
選び出す
そんな作業を
6回繰り返した
その中でも
残るもの
…悪魔の尻尾
悪魔の耳たぶ
…そして蟲の
3点セット
…3密加持なる
言葉について
お前にはまだ
理解があるまい
…3つをセットにすることで
総合的に高め合う
そんな存在が在るのだよ
…おっと
あぶない
あぶない
…少々
尻尾責めが
キツすぎたかな
危うく
消気させてしまう
ところだった
…今暫く
酔っておれ
この奇怪な夜
《蟲責め》の章は
まだ
続く
…夢を見ているがいい
その合間
その合間で
適切な言葉を
放り込んでやるから、な
:::::::::::::::
…
…
…氷山?
大きな氷の大地があり
そこを犬ぞりが滑っている
余程寒いのだろう
吐く息が白い
白いという表現などできない
大気は乾燥し
冷たく輝き
全ての分子運動を
止めようとしてくる
《息を吐いた
その切っ先で
呼気がその運動を停止する》
が相応しい表現なのだろう
寒い
寒い
何もかもが
凍てつき
凍りつく
この寒い地域に特化した
犬達は逞しい
彼等は知っている
頭ではなく
身体で知っている
この寒さをやり過ごす術は
纏った毛皮の中にはない
その答えは
運動を続けること
分子運動を絶え間なく
続け、止まらないこと
発熱させすぎず
周囲の環境と調和する
そんな運動量を保つこと
冷却させすぎず
4本の足に荷重を分散し
動く
と
休む
を同時に実施すること
犬ぞりは行く
大陸の中心にある
大穴に向かって
そりの上には
小屋のようなものがあり
そこから麻のロープが
9本、延びている
麻のロープは
犬の首輪に
連結されており
容易な力では轢断できぬよう
三編みをもう一度
三編みにし、
さらにもう一度
三編みにされていた
《そり小屋》の中の住人は
一向に手綱を握ろうとはしない
行き先を命じることもなく
優しく撫でることもせず
只、
犬達に委ねて、任せる
当然
《YA!YA!》
などと叱咤することもない
犬ぞりは行く
寒冷地の中の
寒冷地
絶対零度に最も近く
分子運動が最も小さい
そんな場所で
逞しく
完全に一致した歩幅で
完全に一致したフォームで
只、走る
そして
走ることを止めない
走ることを止めないのには
幾つかの理由がある
1つは、
目的が明確であり
そこに向かう意味を知っていること
2つは、
そのことを数字で理解しており
フィードバックが早いこと
犬達はある種
絶対的なフロー状態の中におり
それは我々が目指したとて
到底、及ぶものではない
圧倒的な寒さの中では
休むこと
止まること
休憩することは許されない
9匹のうち
誰かが脱落することも
許されない
犬達は
互いを補完しあい
それぞれの得意
不得意を知っている
一匹が脱落すれば
それはたちまち
バランスを崩し
一気に勢いを無くし
この冷気に取り込まれて
しまうだろう
完全体
彼等は9の数字で纏まっており
それ以上でも、
それ以下でも、
上手く行かないであろうことを
知っている
何故
小屋の中の住人は
彼等に任せ
何もしないのか?
何故
小屋の中の住人は
叱咤せず
褒めもせず
休みもせず
眠りもせず
居られるのか?
彼、なのか
彼女、なのかも
一体、
どんな風体なのかも
ここからは確認できない
:::::::::::::::
犬達は旅の意味を知っていた
「南極大陸、未踏の地
空白の100マイル
犬ぞりに乗って」
そんなタイトルで世界に
同時中継されるという
そのモチベーションは
彼等を鼓舞し
永遠の活動を続ける
強大なパワーの源となる
脳内を覗いてみよう
他の犬達がおり
その集団に属していること
これでオキシトシンを補充する
際限、なく
リズム運動が的確に
繰り返される
早くもなく、
遅くもないペースで
これでセロトニンを補充する
これまた、
際限なく
目的があり
その目的を知っており
それに一歩づつ
近づいている実感がある
これでドーパミンを補充する
限界を迎えるする筋肉と
完全に眠る筋肉に
全身を上手く分割し
《活動しながら、休める部分は休ませる》
という
究極の歩行法を
後天的に叩き込まれている
そのことで
エンドルフィンを補充する
これまた
際限なく
死
活動を止めると
其処はたちまち死の世界
よって
常在戦場の境地が続く
逃走・闘争ホルモンは
活発に働き
脳から肩、
肩から肩甲骨及び鎖骨、
肩甲骨から末端神経にまで
行き届く
死を近くに置いている
故に
彼等はこのように
動き続けることが出来るのだ
最後の力は
《観測》の力だ
世界にライブ中継されていることを
賢い犬達は知っている
観測され続け
中継され続けることで
人の目があることで
身体の反応が変わってくる
彼等は
そのことを理解している
《量子力学を
理解する犬》という話だ
問題だ
犬ぞりの中心
小屋の中には
一体何があるのだろう?
犬ぞりの中心
小屋の中には
一体誰がいるのだろう?
その答えは
フィフティー
フィフティー
といったところ
観測するまでは
そこは只の空間である
可能性を秘めた
只の空間に過ぎない
俺が乗っている可能性もあるし
君が
長老が
三連符が
筆者が
読者が乗っている、
その可能性もある
犬達は賢い
《休みながら動く
動きながら休む》
そのことは
究極の心と身体
その末端ページに記載された
生きる知恵の奥義
…君は、そんな夢を視る
蟲の仕業だ、きっと、な
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる