《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交渉

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…瞑想…

 何も考えないことは、
 難しいようで実は簡単
 君はその答えを知っている

 がく、
 がく、
 がくと

 ふら、
 ふら、
 ふらと

 揺れる身体をコントロール
 しようとしないこと

…委ねる
…任せる
…手放す
…身体は
 癒やされたがっている
…癒やしの動きは身体が知っている

 《自発動》という概念だ

 自発動は全てを癒やす
 魔法の身体操作

 何かで調べてみるといい
 ツールはたくさん
 持っているはず
 手の内にある
 煙草の箱より少し大きい
 その電子機器を使って

 永久機関とまでは言わないものの
 その機器は便利だ
 
 瞬き2回ほどの時間で
 君のリクエストに
 答えてくれる

 深く呼吸をし、
 アカシックレコードに、
 宇宙図書館に入るより
 手軽で、便利

 だが、気をつけろ
 脳内物質を刺激するように
 上手く造られているぞ

 その、理解を
 先にしておくように

 モノは…
 使いようだ

…使え
 使われるな
 支配しろ
 支配されるな

…意識を
 自我
 真我
 と2つに分けたなら
 真我を優位に
 してみるといい

 そう言えば、
 《真我》という直球な
 タイトルの本もあった
 概念だけ貰えれば
 俺はそれで良し

 後は自分で学ぶのみ
 言葉だけ置いていってくれ

 《ヨーガとは、
  繋がり
  呼吸とは、
  意識と、
  無意識を、
  繋ぐ橋》

……………

君は秋の間の一室
《特別室》で
瞑想に耽っている

只、何もせずに
身体の声を聞くことに
集中する

空気は緩やかで
淀みなく
行きたいところに
行けると喜び
震えているかのよう

…俺の瞑想とは
 随分、質が違うのだな

…俺は
 壁に向かい、座り
 安楽座か
 達人座か
 結跏趺坐を組む

…ムドラーは適当、
 寒ければポケットの中でも
 構わない

…集中
 そして
 リラックス…

…身体の動きは
 あってもいい…

…自発動…

…身体の、
 感覚を
 信じる…

…集中し、
 さらに集中し、
 気の流れる場所を探る、
 大抵は右首から右顎にかけて…
 そこを意識し
 身体の前面に回り込む
 嫌
 回り込ませる

…時に力づくで

…小周天
 そして
 大周天

…そんな姿を
 他人にどう見られようが
 気にしない
 気にしない

…それが俺の瞑想
 君とは随分、違う

………………………

…コン、コン、コン

ノックされたドアの音で
君は目を覚ます

目を覚ますというよりも
現実世界に着地する
といったほうが正しいのか

太陽の位置が
随分と違う
長い時間が経過し、
昼と夜の丁度中間地点に
居ることに君は気づく

答えを求めるノックに対し

「…は…い」

君の声はいつも
透き通っている

いつまでも
聞いていたくなる
そんな声を
大事にして欲しい
切に願う
切に

《ジー!》
《ガチャリ!》

前段は電気的な解錠で、
後段は物理的な開放、
そんな2つの音を発しながら
ドアは開かれる

…君は身構える
 毛を逆立て
 尻尾を真っ直ぐにする

…最近の猫化は甚だしい
 が
 毛を逆立てるのも
 何ともチャーミングで
 可愛い仕草だ

3名がそこにおり
それらは全てオトコだった

仮面の従者、
隣村の長、
そしてこのコミュニティの、長老

「…来い」
 長老が言う、鉄のような声で

「…君もおいで
 これから、交渉が始まる」
 隣村の長が言う、太陽のような声だ

「……」
 仮面の従者は一言も発せず
 その実態は掴めない

長老は君に促す

「従者の携えた
 薄紫色の着衣一式に
 着替えるように」
 と

そうだ
昨日の着衣のままだった
浴場で汗を流したとはいえ
これでは…

3点セット
ワンピース
キャミソール
最後の着衣

これらはいつも
君のサイズに
ぴったりで、
伸縮性に富んでいる

身体が喜ぶ、
心が喜ぶ、
開放感に身体が満たされる

その感覚の正体も
気だ
覚えて、おきなさい

…………

3名に連れて行かれたのは
《2階》と呼ばれる区画だった

秋の間のみが
複数の階層を有しており、
2階には1階と同じ数の
部屋が用意されている

薄明かりの回廊を抜け
階段に至る

昨今
ほとんど使われて
こなかったのだろう

拭き残した
埃の体積量ではなく
その雰囲気で
何となく、解る

「…☓☓」

「……☓☓」

「…」

「…」

2階に至ると
前を歩く老人達が
何か話しを始めたようだ

それは聞かないことにしよう
意識にも上げないことにしよう

…庭に
 7色の水仙が
 植えられている、のね
 上から見るとよく分かる
 
…誰かが植えて、育てたのかしら
 そんな気もするし
 初めからそこにあったような
 そんな気もする

…色、鮮やかで
 とても、綺麗

…でも、紫の水仙だけ…
 どうしたのかしら、
 元気がないみたい

…そう、か
 疲れているのね
 もう、戻りたい、と
 私はここに居るべきじゃない、と
 
はて?

そう言えば、
どうして
私が、
交渉の場に
同行するのだろう

その、理由は?

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