《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交渉

入浴

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そのオトコは
部屋の中へ
君を促した
オトコは白い長髪を
後頭部で一つにまとめている

顔つきは端正だ
知識深く、
思慮深い、
顔つきだけで
このように語れるオトコは
そうざらにはおるまいな

他の祈り女が
何やら噂していたのも
十分に頷ける

「…君か
 美しい姫君が
 今夜、私の手伝をしてくれると
 そう、聞いていた」

「……」

「…この村は良い村だな
 そうは、思わんかね?」

「…そう…
 なのですか…?」

「嗚呼、そうだ、
 良い村だよ」

「…わかりません
 私は…何せ
 外に出たことが
 ありません、ので」

「…そうかね」

「…」

「…いい村だ、
 一年に一度
 こうやって来れるのを
 楽しみにしている、
 毎年、毎年な」

「…そう、なの
 ですね」

「嗚呼
 ところで、
 君は
 何をしてくれるんだ?
 宵の相手か?
 着替えの世話か?
 そんなもの、
 私には、要らないのだがな」

「…わた、し」

「何だね、何なりと」

「…おふろ
 …お風呂に
 貴方を、連れて行けと
 言われておりまして…」

「そうか
 …長老に、言われて?」

「は…い」
 
「ならば
 甘えるとしよう、
 察するに、
 そうしないと
 君が困るんだろう?
 違うか?」

「……多分」

「では、案内を」

「…は、い」

………

大浴場の手前には
2人の祈り女が居る

配置されている
置かれている

言ったほうが正しいか
彼女たちには悪いが

ただ一礼し
傅くため
そのためだけに
配置された彼女らは

客人に、
羨望の眼差を
君に、
嫉妬の目を向ける

羨望…
そして
嫉妬…

嫉妬、
この世で最も
愚かで
強烈なエネルギー

嫉妬、
それは背骨を貫き
人格までも変えてしまう

嫉妬、
それは人生の目的を
教える力でもある

何に嫉妬するか
全員に問いたいものだ

何に嫉妬する?

その問いの答えが
人生のコンパスになる
たまには自分に
問うてみるのも
悪くない

適正に使うのだ
嫉妬の力を、
背骨を貫く
強烈なエネルギーを

浴場の手前は
常識的な造り

オトコの脱衣場と
オンナの脱衣場に別れており
2つは大きな壁で隔たれている

まるで
オトコとオンナは永遠に
分かち合えないことを
語る象徴のようだ

君は脱衣所にて
春色のワンピースを脱ぎ
黒色のキャミソールを脱ぎ
用意された入浴襦袢に着替えを済ます

はて、
はて、
最後の着衣
は?

これは脱ぎ捨てるべきものなの?
そのままでよいの?

君は迷う

筆者は思う
「オトコとオンナが
 入浴するのだぞ
 オトナの対応をするように
 な」

彼女は頭を捻るが
解答が見つからない様子

結局そのまま
浴場の中へ向かい

ロマンスグレーの
長髪の老人を待つこととした

もく
もく
もく

煙で前が見えない
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