《瞑想小説 狩人》

瞑想

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言葉責めの夜

言葉責め 其の12

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…部屋の外には、
 6人を待機させておいた

…6人…

…クリップを外してやる、
 辛いだろう?

…は、い
 嗚呼…

…楽に、
 なれたか?

…は、い

…休憩はさせんぞ
 腕の疲れが
 抜けたなら
 オシゴトせねばな

…な、にを…?
 
…もう一度、
 自分で、だ
 手を胸に、
 両手を

…もう…
 御勘弁
 くだ、さい…

…駄目だ

…嗚呼…
 は、い

…そう、
 そうだ、
 手を胸に、
 そう、
 そうだ、
 突起をつまめ、
 こりこりと、
 つねつねと

…は…い
 嗚呼…

…そのまま、聞いておれ
 いいな?

…は…い

…1人目は、
 「何でも屋」だ

…?

…1人目は、
 「何でも屋」だ
 頼まれごとを何でもやる、
 そんなことで生計を立てている
 部屋の片付け、
 大掃除、
 川への水くみ、
 何でもだ
 大枚はたけば
 夜の相手もするし、
 人の悪口だって言う
…その男を
 部屋に入れるとな
…私は、何でも屋です、
 頼まれれば何でもする
 只、
 今は仕事にならない、
 何故って
 今
 初めて自ら
 やりたいことが
 見つかったのだ
 それは
 この娘に触れること
…と、言うな

…嗚呼
 何でも屋さんに
 触れられるの?
 わた、し…

…手を、止めるな
 突起を、捕まえろ

…は、い

…2人目は
 「調理師」だ、
 素材が届けられたなら
 それを切り、煮込み
 大鍋に放り込んだ後、
 具材に適した味付けをする
 最近、肉質が下がり、
 量も減ったと
 随分と嘆いておったぞ
…その男を、
 部屋に入れるとな
…私は、調理師です、
 いつもコミュニティのために尽くし
 皆の胃袋を満たしている
 只、
 今は仕事にならない
 この娘のウェストラインと、
 鎖骨とを
 早く煮込んで、
 アツアツのシチューに
 したいから
…と、言うな

…わた、しが
 シチューに…

…手を、止めるな

…は、い…

…聞いているな?

…は、い…

…3人目は
 「声楽家」だ、
 声を届ける
 そんな日々
 チェストボイスにビブラートをかけ
 聞くもの全てを導くぞ
 どんな歌でも歌えるし、
 声色だって思いのままだ
…その男を、
 部屋に入れるとな
…私は、声楽家
 声を生業とし、歌うもの
 只、
 今は仕事にならない
 歌うよりも、聞きたいのだ
 この娘、
 輪番の巫女の
 吐息を、
 喘ぎを、
 苦悶の声を
…と、言うな

…苦悶の、声を…
 嗚呼…
 わた、し…

…何だ?

…変な
 気分…
 で、す…

…快か、不快か、で言えば?

…わかりま、せん、が
 変な、気分…に

…気持ちいいか?
 カラダは?

…は、い

…どこが?

…お、む、ねが
 そして…

…そして?

…あなたの
 言葉、が
 嗚呼…

…4人目は
 「他の祈り女」だ
 安心しろ、
 お前は彼女を知らないし
 これからもずっと、
 会うことはない
 祈ることなく、飢えているだけ
 男も女も、
 何でも食べる
 男のテントに
 潜り込む日が2/3、
 残りの日は何もしないか、
 他の祈り女の寝室で、
 祈りを捧げず、悪い遊びを
…その女を、
 部屋に入れるとな
…私は、祈り女
 祈りは届かず、
 飢えを感じる毎日です
 只、
 今は祈る必要はない、
 この肉欲に身を浸せば良い
 悪戯、したいな
 悪戯、したいよう
 このウェストに
 悪戯、したい
…と、言うな

…オンナの、
 人が…
 わたし、を…

…嫌か?

…は、い…

…経験は?

…ありま、せん

…聞いておれ
 手を、離すな

…もう…
 御勘弁を…

…5人目は、
 「吟遊詩人」
 アラブのときめきの詩を、
 日本古来からの美を、
 弦楽器とともに
 語るもの
 旅から旅、
 村から村へ、
 転々放浪しながら
 語る言葉は物語
 時に人の、
 涙を誘う
…その男を
 部屋に入れるとな
…私は、吟遊詩人
 千夜一夜物語も、
 テグジュペリも、
 カミュも、
 カフカも、忘れてしまった
 この姫君の
 ウェストラインを物語とし、
 永遠に語り継ぐ必要がある
 もっと、
 もっと、知らなくては
 どれ、
 少し
 触れてみることとしよう
…と、言うな

…わた、しを
 どう、するの?
 吟遊詩人、さま…

…さてな
 どんな物語に
 するのかな?

…もう…

…もう?

…もう…
 変に、
 なって、ます
 何か…変…

…続けよう、
 6人目は、
 「お菓子屋」だ
 世界の甘いものを全て
 食べ尽くし、
 最も甘いと感じたものを
 厳選し、店に並べているぞ
 当然、
 マヌカハニーも置いてある
 甘いものには目がない店主
…その男を
 部屋に入れるとな
…おお、甘い、
 何とも甘い、
 何より甘い、
 佇まい
 この腰つきを見ろ、
 この声を聞け、
 世界の甘いもの全てを、
 知った私に御馳走が
 では、頂くとしよう
 待てよ、
 その前に蜂蜜を、
 甘いものは
 もっと甘くして
 では
 ありがたく
 いただきます
…と、言うな

…わたしに
 蜂蜜を…

…そのようだな
 そのアト
 どう
 されるのかな
 想像、しておけ

…嗚呼っ…

…そんな6人が
 部屋の外にいる、
 欲望を秘めた獣達

…そん、な
 そん、な

…それらが
 一斉になだれ込み、
 お前を攫い、
 お前に食らいつき、
 次の部屋へ、
 次の部屋へと、
 段階的に導くかもしれんぞ

…駄、目
 駄、目…

…あくまで、可能性
 だがな
 あくまでも、な

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