《瞑想小説 狩人》

瞑想

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言葉責めの夜

黒蝶

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…春の間で
 着替えを終える

今日のまといものは
黒いワンピースと
同じく黒い
ガーターベルト

誰かがその娘を

「闇に舞う
 黒い蝶のようだ」
 と表現したこともあったか

極薄手の
ワンピースを通して
形良く小さな
双丘のラインが美しい

乳房は控えめで
貧乳と無乳の
丁度中間くらい

「…オトコはね
 胸が大きいのが
 好きなの、よ
 だから…
 偽造することだって
 あるのよ」

ストーンヘンジに
君を呼び出した女、
俺が拒絶した
あの祈り女なら
そう言うかも
しれない

長老の言いつけを守り
瞑想もせず、
読書もせず、では

どのように待てば
よいのかがわからない

「…」

「…」

「…」

きょとんとしながら
周りを見渡してみても
何をするべきか
思いつかない

…瞑想を
 しない

それは逆に一体
どういう状態なのだろう

可愛い仕草で
頬杖をつき

ソファに軽く
腰をかけるも
君は背もたれを
使わない

考えれば、考えるほど
その謎は
深まるばかり

…瞑想をしないで
 何かを
 待つ

この答えは
真夜中の訪問者に
聞いてみよう

それ
しか
ない

…黒い蝶は
 羽ばたくことなく
 その場に留まる

 やることを失ったためか
 ショートカットヘアーに
 触れ、
 こね回し、
 くねくねしてみた
 可愛い仕草だ

………

コン、コン、コン

ドアがノックされる
いつも回数は3回

1回では少なく
2回では不吉であり
3回が適当なのだろう

何となくそう思い
黒い蝶は人語で

「…は、い」
と発声したみた

ドアが開く
大胆に、
そして、繊細に
 
…見たことのない
 3人のオトコ

1人は大きな大きな体躯と
鋭い眼光

1人は小さなカラダに
傷だらけの皮膚
片目に眼帯

最後の1人はこれといって
特徴のない
どっちつかずのオトコだった

…三連符
 確か、
 そう呼ばれたオトコ達
 俺は、知っている
 狩り場で、何度か合った奴らだ
 一体、何を…

彼等は言葉を
発することなく
仕草で外に来るよう
促した

廊下に出ると
左はつきあたり
右は大広間へと
続くはずだった

先刻
までは

ドアを出るや

「3」と大柄が
「6」と中柄が
「9」と小柄が発声する
君もそれは聞いていた

「暫時またれよ」
誰かが言った





君は圧倒的な
何かの前に
喉を鳴らす


音もなく


向かって左は
様子を変えた
つきあたりは
つきあたりでなくなり
最初からそうだったように
廊下は奥へと延長された

…なに
 これ…
 この、ひと、たち
 何者
 なの?

未知なるものに
遭遇するとき
鳥肌が立つのが自然

壁消しの魔法は
あまりにも不可思議だ
こんなことは
現実にあるはずがない

…数字、これは
 数字の力、
 それを借りたまで

 数字の力
 この世界の鍵の一つ

 おっと…
 あぶない
 あぶない

………

廊下をさらに
奥へと進む
促されるままに

左手に部屋があり
右手には大きな庭が

風景は変わらないものの
酸素が不足しているような
呼吸が不規則になってくるような
妖しい雰囲気が
辺りを包む

しばらくし、
特徴的な三角形の入口が
左手側に見えたとき
その手前で
彼等は動きを止めた

三角形の手前の部屋で
大柄がドアを開け
中柄が中へと促し
小柄はそれを
ただ眺めていた

《懲罰房》

そう名付けられたのは
多分アトからだ
声が先
心がアト
その理論と一致する

…室内には
 あらゆる玩具が置かれ
 それぞれが
 永久機関を宿している

…壁に巨大な
 エックス文字の
 手錠がついた板がある

…傘立てにたてられた
 数本の棒には
 無数のなめし皮がついている

…ロウソクは
 燭台にあるものの他
 ベッドサイドテーブルに
 幾つかの種類にわけて
 置かれている
 ※低温
 ※中温
 ※高温、注意

こんな具合の
奇妙な部屋だった

かち、かちと
ぜんまいじかけの
何かが動いている
壁にかかった何か



誰かが言っていたっけ
これが…
とけ、い…

未知の物体に囲まれ
恐怖、畏怖の念が
産まれ、育つ

「…かけたまえ」

中柄が
艶のある声で言う

黒い蝶は
部屋の右隅にある
鉄性のテーブルに
座るように促される

そこからの景色は
絶妙というか
なんというか

右手には庭のマド、
左手には入口ドア、
正面に大きなベッドと、
3人のオトコ

さて、
部屋の配置を確認しよう
一緒に

左手側から
暖炉
燭台
ベッドサイドテーブル
ソファ
ベッド
ソファ
ベッドサイドテーブル
燭台
暖炉

ベッドを中心とし
左右対象の世界が広がる

ベッドサイドテーブル(左)
には
様々な責め具が
ベッドサイドテーブル(右)
には
肉体学と呼ばれる
分厚い本が置かれていた

中柄が言う
「ミネルヴァのフクロウは
 夕暮れ時に飛翔する
 では、始めよう!」

三連符よ
この黒い蝶
獲物を、
どの様に仕留める




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