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言葉責めの夜
懲罰房
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なりなさい
勇敢な、狩人よ…
……………………
かの春の間には
幾つかの特殊な部屋があった
廊下の奥は
行き止まり
其れは先に述べたとおり
輪番の祈り女は
端の部屋で
着替えを済ませ
指定された部屋へ
指定された時刻に向かう
行き止まりの先には
…
さらに廊下が延びている
これを知るのはほんの
一握り
評議会ですら
その内部構造を知らず
知るのは長老と
数名の従者のみ
奥に潜むのは
獣であり
蛇であり
人外のものであり
妖精の誘いでもあった
…これは比喩的な表現で
現実的には
他の村と交渉するための宝物庫
咎人を囲いこむための部屋
永久機関の実験室
「本当の祈り」のための部屋
監視のための部屋
など
様々な部屋が造られていた
いや
最初からそこにあったとも
入口は特殊な
周波数帯で守られている
解りやすい表現をしよう
話しかけないでオーラを
煮詰め
煮詰め
冷まし
もう一度煮詰め
さらに工程を
12回重ねた
雰囲気
開けてはいけない
雰囲気がその存在を
消していた
教室の隅っこの
目立たない子供のように
合鍵はなく
特殊な技術でそこを
「意識」する
つまり
鍵を持ち歩く
必要もないのだな
…
…本当の祈りのために
用いられる部屋は
奇妙な作り
大きな三角形をモチーフに
造られており
ドアを開ければ
開ける事ができれば
天体が一望できる眺め
絶景が広がっている
空気は澄みわたり
特殊な植物が
空間を浄化しているのが
わかる
外には
7種類の水仙が植えられており
それぞれ
赤
オレンジ
黄色
緑
薄い青
藍色
紫
の花をつけていた
赤と紫は仲良しで
オレンジと藍色は同居人
黄色と青は近くて遠く
緑はいつもひとりぼっち
藍色が声をかける
「全体をもっと
見たほうがいい
要は、バランスだ」
赤が言う
「俺は、生きるぜ
燃えろ
燃えろ
心よ燃えろ
限り有る生、性
これを精一杯
生きるのが、俺だ!」
オレンジは明るく振る舞う
「よし、行こう!
今日もがんばるぞ!
おはようございます!
はい
はい!
大丈夫です!
何とかなりますよ!
先ず、動きましょう
重心ですよ!
重心!」
黄色は集めるのが趣味でな
「発生させるのもいいですし
循環させるのも
上手なあなた!
そろそろ貯めることも
意識してみましょうね
上手に貯めて
上手に使う
利子はつきませんが、ね」
緑は独り
「私は孤独じゃないわ
スシュムナーも
ピンガラも
イダーも
全て私を通るもの
全体に愛を
個別に愛を
もっと大きく包むの
これが私の
オシゴト
素敵でしょ」
薄い青は、何かを書いていた
「表現すること、
語ること、
書くこと、
言葉、
問答、
文字、
これらは意識と無意識を
繋ぐ橋
肉体と精神の橋
それが私
スロート・チャクラ」
藍色は語らず調和を目指す
最初に目覚めたのが
彼で良かった
本当
に
紫は繋がる、何とでも
「嗚呼、
何て素敵な波動なのかしら
かのレオナルドと
繋がりましょう
戦艦を移動させましょう
きっと、
簡単なんです
蓮の花が咲いているもの
嗚呼
図書館も素敵ですこと
宇宙の図書館?
嗚呼…
そういう
ことなのね」
廊下の突き当り
其処から延びる
秘密の部屋達
その中に
懲罰のため
拷問のため
拘束するため
そんな部屋が
いくつもある
春の間の一番奥
君の部屋に置かれていたのは
一通の手紙
…今夜は懲罰房行きとする
そのまま
着替え
部屋で
待っていること
…瞑想することは
許さん
本を読むことも
…ただ、そのまま
ソファに座り
待っておれ
上質な羊皮紙と
達筆なペン先が
夜の始まりを告げる
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