《瞑想小説 狩人》

瞑想

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《才児》《クリップ責め》《蝋燭責め》

祈り女の夜、狩人の朝

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……
……
書き出しはこうだ

嫌いだ、
嫌いだ、
嫌いだぜ

俺の一番、嫌いなものを
ここに吐き出して
書いておいてやる

オンナだ
怠惰なオンナ!
オトコだ
怠惰なオトコ!

暇ですな
暇なのですな

新聞?
何を教えてくれる

テレビ?
やかましいだけじゃないか

ストレッチ?
呼吸を伴わないアーサナは
ただの運動だ

ヨガ?
流行りものだな

八支則を学んでからやれ
禁忌事項を守れるか?

お前の腹具合では
アーユルヴェーダも泣きっ面だ!

ヨガマットなんか
要らんのよ、
本当は
お前には教えないな、
絶対に、だ

最も!
腹立たしい、
いまいましいのは!

《集中しているオトコにたやすく
 接近したり、声をかけてくるオンナ》

気付け、阿呆が
お前に構っている暇などない

鍛錬しているんだよ
俺は

理解できぬか、
そこまでチャクラが、
閉じきっているのか

悪魔の三兄弟
砂糖
小麦粉
白米

おいしそうだろ、
それをたっぷり食べ、
カラダに塗りたくって、
醜く死んでいけ

お前の辞世の句は
何とする?

「食べた、寝た
 おいしくこの世を、
 いただけました
 …あれ?
 なんか違う、
 こんなのだったかしら、
 私の魂が
 求めたものは
 …
 そう言えばあの人、
 トレーニングルームで
 瞑想?していたわ
 格好よくて
 声をかけたら、
 その手を冷たく、
 振り払われた
 …
 あの人は、
 こんなとき、
 何て感じるのかしら」

知らん、
去れ、
俺の前から
失せろ、
邪魔だ

~~~

君を誘った祈り女は
次の日も
ストーンヘンジで待っていた

昨日より少し
ふっくらしているように見える
多分、気のせいだと思うけれど

「…ありがとう
 忙しいのに…
 ごめんね、昨日は
 少し話しすぎちゃった」

「…ううん、気分が
 変わったわ、嬉しかった」

「…でね」

会話のテンポが早く
あけっぴろげな性格
悪く、ないな
君はそう思う

「…昨日も彼のテントに行ったの
 …そしたら、そしたらよ
  先客がいてさ、
  待ちぼうけよ、
  時間の都合もあるじゃない?
  だから他の人にしちゃったのよ
  結構長引いて…さ
 …寝不足なのは
  そのせいね」

「…せん、きゃく?」

「…何も
 …知らないのね
  何となく、
  あなたらしいと
  そう思うわ」

「…」

「…そもそも、さ
  あなた、
  テントに潜り込んだことって
  あるの?」

「…もぐりこむ…って?」

「…夜の慰めの時間のことよ
 …他の祈り女はみんなしてるわ
 …私も、そう
  毎日、毎日ね、
  だって、つまらないじゃない
  祈りと、採集だけの生活なんて」

「…そう、かな」

「…そうよ、夜はね
  お気に入りの人を見つけて
  思いっきり抱かれるの
  最低限のマナーを守りながら
  だけどね」

「マナー…?」

オウムのようにしか
君は返せない
本当に、世間を知らぬのだな

「…テントに潜り込む
  ときはね…
  先ずは自分のシルエットを
  月明かりに映すの
 …オトコはテントの中から
  そのスタイルを確認して
  判断するのよ
 …OKなら外に迎えにきてくれる
 …NGなら咳払いを3つ
  簡単でしょ?」

「…」

「…シルエットを映すには
  少しコツがあると
  私は思うのよ
  月とテントを結んだ線上で
  腰を斜めにするのね
  そうすると
  少し
  少しだけど
  成功率が、上がる気がするの」

「…せいこう、りつ…
  あなたは…どの位、なの?」

「…7、8割ってとこね
  結構高い方なのよ
  これでも」

「…恥ずかしく
  なって…
  きた、わ…」

「…かわいいわね
  あなた
  やっぱり!
 …うーん…
  可愛いなあ!もう…
 …ごめん、安心して、
  私は同種喰いじゃないわ」

「……?」

「…踊りの話じゃなくなっちゃった
  まあ、いいわよね
  …お気に入りのオトコに抱かれる
  こんなに楽しくて、嬉しいこと
  ないじゃない
  だって、気持ちいいじゃない
  いけない?」

「…よく
 …わから、ないわ…
  わたし…」

ふっくらした祈り女は首をかしげる

「…ちなみに、オトコにも
  ルールというか
  ポリシーというか
  そんなものがあるようよ
  《何でも食べてこそ、オトコ》
  みたいな」

「…」

「うーーん
 かわいい、
 もう少し、教えてあげる
 一番かっこいい
 狩人様のこと、
 これ、お話しても
 いいかしら?」

「は…い」

「その人はね」

「…」

「…
 厳密に言えば
 一番かっこいい
 狩人様、《だった》
 …
 今はもう、いないのよ
 多分、狩り場で亡くなったんじゃ
 ないかって
 …
 でも御遺体がないんだって
 狩りのグループは
 《ありえないことだ》
 と言っていたけど」

「…!!」

「どうしたの、急に」

「…お願い、聞かせて…
 …もう少し、時間は、あるわ」

「…おかしな娘
 いいわ
 彼を初めて見たのは…
 祭りの何日か
 前の夜だった、確か」

「…」
 
「その夜、
 1人目に抱かれて
 余韻に酔いながら
 2人目を誘うか、どうするか
 考えながら
 ふらふらと、
 夜風に当たりながら
 歩いていたの、
 お腹いっぱいになってなくて
 もう少し、誰かに
 慰めてほしかったのよ」

「…それ、で?」

「…まだ、時間、あるのね?
 端のテントまで来た時
 …
 そこに彼がいたの
 今はいない、あの人が
 …
 彼は…テントの外に
 マットを敷いていた
 そこに座って
 何事がぶつぶつと呟いていたわ」

「…」

「カラダがね
 格好良かったのよ
 胸と背中
 肩の筋肉のバランスが見事で
 ウェストがすごく細いの
 彼は片側を腕まくりしていて
 左右非対称なのも
 すごく、印象に残っている」

「…続けて、お願い」

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