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《才児》《クリップ責め》《蝋燭責め》
約束
しおりを挟む…次に見たビジョンは
これだった
時系列としては逆になる故
読みづらく
わかりづらいものに
なるだろうが
かの祈り女は
朝食のテーブルにつく
朝の祈りを終え
ほっと一息
といったところ
通常、食事は終始無言で
行われるのが
習わしとなっている
「食事は有り難いもの、
チャクラの覚醒のため、
食べることも修行のうち
…食事瞑想…
よく噛み、
しかと味わい、
その背景、
狩ったもの、刈ったものへの感謝を
飲み物の飲み方については
…口の中で転がし、
それが消えるまで、
染み渡りなくなるまで、
転がし続ける、こと」
シベリア生まれの
「元」殺し屋に
筆者が教わったことだ
彼は今、どうしているのか
ふと、そんなことを思い出す
ここに
記録しておくことにしよう
そんな気分だ
彼は筆者を師匠と呼んだ
俺の教えた身体操作を
有り難いものとして
何度も何度も
素直に反復した
そんなにやったら、
次の日に影響が出ますよ、
と俺は言う
彼は素直で、
率直で、
嘘がない
彼の生き様に興味が湧く
そうしたらそのように
純朴になれるのか
その源泉に興味が湧いた。
そして、狩りについても
過去に
戦場の傭兵だったころについて
そこも興味の対象だった
その瞬間、
どんな気持ちになるのです?
俺はそう問うてみた
…何も、
何せ、
私の生まれでは
殺さなければ、殺される
それが当たり前なので
日本語の流暢さ
よりも
笑顔でその内容を語れる
彼の心構え
覚悟
そんなものに大きく
大きく惹かれた
ええい
もう少し、
書かせてくれ
脱線だ
構わないだろう
彼は言っていた、
とある日本の団体から
「銃の打ち方を教えて欲しい」
と依頼があったとのこと
彼はそれを断った
…私は、もう、
75
ライフルを置いた身なので…
…ライフルを置く
引退宣言としては
名言過ぎる
この言葉は俺に強く刺さる
俺は人生の引退式に
どんな言葉を残すのか
彼の意思を継ぎ
力強く毎日を生きたいと
心から思ったものだ
死んでもいないのに
もう少し
つきあってくれ
彼は同じ様に
主婦の集まる
射撃サークル?
そんなものがあるのか
と
俺は耳を疑ったが
その団体の
コーチを頼まれたこともあった
彼は同じく、
それを断った、
…覚悟のないものに
教えても、無駄になるだけでしょう?
俺は心から大笑い
鍛錬場に振動が響きわたる
彼は警察にあることを懇願する
と言っていた
その後の経過はどうなったのか
謎に満ちた人生だ
電話番号は交換していない
それでいい
それがいい
心底、そう思うのだ
シベリア生まれの殺し屋 様
貴方は
今
どこで
何を
貴方の死に
立ち会うのは
きっと俺なんだろうな
そんな気がする
死への説法を
準備しておくよ
まだ、早いがな
もっと生きなくてはな
まだ語り足りない
もっと、
もっと、
聞かせてくれ
貴方の奇特な人生の道程を
~~~
~~~
…彼女は教えのとおり
よく噛み
水分は転がし
飲みこまず
口の中で溶けるのを待った
昨夜の輪番は
「後ろ」の日
そこが余韻を残しているのか
彼女は少し、
右に傾いているように見える
「…ねえ」
小声で隣の祈り女が
不躾に声をかける
「…あなた、輪番中…
なんでしょ?
わたし、知ってるの」
「…」
囁くように
他に聞こえないように
「…ごめんね
気を悪くしないで
…お願いが、あるのよ」
「……な、に?」
君の囁きは甘く
涼しく
「…貴女の踊りのことよ
あの、祭りの夜の
あの踊り
あれを、私に、
…教えて、くれない?」
「…何も、
…教えること、なんて、ない
…何も準備していなかった、し
…もう、忘れてしまったわ」
「…面白いわね、あなた
あれだけオトコを虜にしておいて
…いいわ、
…今夜、夕暮れ時
ストーンヘンジで少しだけ
会えない?」
「…私、長老、さま、が…」
「…夕方、ほんの少しの時間でいいわ
待ってる」
これ以上は注意されてしまう
他の祈り女が見ている
うるさい
黙れと
圧力をかけてくる
約束…
君は約束が嫌いだ
気分を
集中を削ぐことになりかねない
そんな約束なら
しないほうがいい
夕方、その時
その気分で
決めよう
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