《瞑想小説 狩人》

瞑想

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三連符

三連符

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コミュニティ内では
独立性が重んじられるものの
職業は基本的に選択性でなく
生まれながらに決められた仕事がある

それを全うしながら
ルールを守り
恋をし
男女のペアとなり
子を産み、育て
死んでゆく
これがコミュニティ内での
人生の縮図

通常、
狩人は狩人であり、
調理師は調理師であり、
物を交換する者は毎日がその中にある

なれど
時として
生まれながらの職ではなく
「適正」によって
評議会が提案し
長老が決する場合がある

異端は何処にでも現れるもの
ある分野で特殊な能力を身につけ、
極めたものを
「プロフェッショナル」
と銘打ち、その道に置く
評議会はこれを《転職》と名付けた

この3人も、そうだ
《三連符》と字されるオトコ達

俺の知人であり
友人とは呼べないが
面白い話をするオトコ達だったと
記憶している

彼等は大きな1つのテントで
共同生活をしていた
このコミュニティの中で
ひときわ大きなテントを、
ひときわ目立つ場所に構えている

1人は大きく、筋肉質で
1人は小さく、痩せていた
最後の1人は中肉、中背といったところ

それぞれが、それぞれの
特性を知り、活かしあい
補完しあう、そんな日々を送っていた

彼等は、プロフェッショナル
職人芸、一つのものを極めた者

…コミュニティには
 そんな男たちが必要だった
 恋を禁じられ、厳しい戒律の中で
 暮らす祈り女達には
 普段の生活では味わえない
 オトコのテントに潜り込むだけでは
 賄えない
 甘い
 甘い夜が必要だった

50人の祈り女のうち49人は
三連符が興じる
甘い快楽の夜を
待ち焦がれていたものだ

彼等は慰める者
女体を知り尽くし、快感を与える者
そのことを生業とし、
その他のことは一切しない

49人、
相手にする祈り女
全員のツボを心得ていたし
一度でも彼等の手ほどきを受けたオンナは
懐郷病のように、指折りその日を
待つようになる。

約1ヶ月半に一度
祈り女は1夜に1人づつ
彼等のテントに《慰め》を受けに行く
といったシステムだ

~~

彼等は、三連符は
このことを生業としているため
既に性欲として
オンナを抱くことは
しなくなっていた

いかにも不自然で
歪な形ではあるものの、
そこには完成された美学と
技術と、知識があった

何せ、3人が3人とも
努力家で
実は真面目
真剣なオトコだ

大柄のオトコが言う
「…あの、祈り女のことだが
 もっと、
 ○○したほうが
 良かったんじゃあないか?」

中柄のオトコが続ける
「…そうかも、しれん、
 記録しておこう
 俺は…
 言葉が上手くなかったと感じるよ
 《嫌って言われると、止まらないな》
 じゃなく
 《その嫌は、どっちの嫌なんだい?》
 このほうが、良かった」

小柄が締める
「その言葉に合わせて
 陰核を少し強めに
 刺激するわけだな
 なるほど、
 呼吸…呼吸だな」

彼等はいつも
このような問答をしている

大したものだ
オンナを
祈り女の性欲を満足させること
それのみに集中、している

勿論、本も読む
肉体学のある頁を渡され
更にそれを書き足しているのが彼等だ
それらの行為全てが
コミュニュティの安定に繋がる

俺が後に記す
「究極の心と身体」
その対をなす書物といえる
「肉体学」になるのか
その頁はお前達が担当しろ

過去、狩場で勝負したように
鍛錬場で戦ったように
いつまでもお前達は
俺の好敵手でいてくれ



三連符は3人でいることを
ライフワークとしており
互いの呼吸を図り、連携する

大柄は細かい動きは好まず
   小柄のように局所の責めだけで
   女体をコントロールできない
   それが弱みであることを
   彼は知っている

小柄は体力がなく
   挿入すればすぐに果て
   大柄のように
   射精、勃起すら支配するような
   肉体的な強さに欠ける

中柄は何でもできる反面
   何も得意な分野がない
   唯一「口」だけが彼の武器
   今まで、口喧嘩で負けたのは
   ただの一度だけ
   テントに招き入れ、最初の声を
   かけるのも彼の仕事だ

君は知っているのか
このテントの存在を、
彼等の存在を

現代風に言えば
《ホストクラブ》と《女性用性風俗》を
合体させたようなテントだ

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