《瞑想小説 狩人》

瞑想

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後ろ蕾

性癖

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君は狂った球体を
「後ろ」に収め
峠を越した

まるで尻尾が生えているようだ
見た目としてはな

猫耳でもつけてやれば
もっとファンシーな
「被虐ネコ」の完成だ
今度はそう
させてもらうぞ

性癖はそれぞれ
癖はそれぞれがあっていい

しかし、
基本は知っておくべきだ
陰核と呼ばれ
股ぐらの中心に位置する突起
そこには快楽の中枢があり
無数の神経を全身に
張り巡らせている

行き先は様々で
どのホームが
どの行き先に向かうのかは
乗った列車に聞くしかない

今夜の
車掌は気まぐれで
銀河鉄道に向かう旅へと
君を案内した

「…はぁ、…はぁ…」

「もう
 一度」

「い、いや…」

君の声は綺麗だ
鈴が鳴るような声
こんな折でもな

…狩人、
 様、
 わたし…

《不安に囚われるな
 今、この時に、意識を集中させろ》
《その瞬間に身を投じ、
 現在だけを意識しろ》

誰かがそう、囁く
叡智とともに

性癖が偏屈でも
どんな偏愛家でも
それを誇りとするべきだ

俺は思う

このように筆先を走らせる
俺も
なかなかの偏愛家なんだろう

「もう少し、
 挿れてやる、
 忘れるな、
 お前は、
 甲月の供物、
 輪番の巫女、
 …覚悟、せよ
 …力を、抜け
 …
 もう、
 ーつ」

「嗚呼、嗚呼っ」



「宇、宇、宇!」

空腹のカラダに急に
そんなものを詰めるな
本来業務の逆行をするな
その穴は
その空白は
本来、排泄のために在るものだ

球体は君の内壁をまさぐり
無数の触手を伸ばし
縦横無尽に徘徊し

規則性と不規則性の両面を使いながら
快感中枢を探し出す

怖ろしい獣の産物だ

彼等は…
彼等といっていいのかわからんが
凶悪な動きの割に
賢い小悪魔で
峠に至るための技術の全てを
持ち合わせ
連絡し、協力し、
君の内壁の状況を記憶していた

四つん這いならば
胸の突起は下方に向いているはず

長老に笑みが浮かぶ
「パチン」

この夜
2度目のフィンガーティップ

仮面の従者は性なる箱から
もう一つ
物体を取り出し
長老に渡し
もといた暗闇にゆっくりと
姿を消した

長老は狂った球体を
大きく出し入れするような
野暮な真似は一切しなかった

…任せる
 委ねる
 この私は…
 没頭していればよい
 しかし、
 しかしだ
 何とも、美しい腰つきだ
 何とも、被虐敵な表情だ
 何とも、可憐な花蕾
 純粋、無垢
 可憐、純真
 そのキャンバスは
 私の手の中に

球体達は動くのを止め
長老がXの形をした
小型のクリップを手にしているのを
確認するとともに

薬液の注入へと
その行動を変容させた

三連符の談を付しておこう

小柄は言う
「…むしろ、健康になる
 くらいのものです
 ヨーガの手法
 クリア、と呼ばれるもの
 これを球体に取り付けます
 すると…」
中柄は言う
「なるほど、これはこう使い
 こう使い、そして
 このようにするべきなんだな
 しかし、これは俺が手にするべき
 代物じゃあない
 俺には、言葉があるのでな
 だろう?」
大柄は言う
「フム、俺には
 無用の長物、なれど
 素晴らしい手腕と言える
 だが小柄よ、言わせてもらう
 あえて
 俺は肉体を支配し
 鍛え、オンナを喜ばせる
 そのためだけに在る」

三連符は互いを認め
互いの呼吸を理解し
長所、短所を理解しあっていた

彼等は性のプロフェッショナル
彼等の技の一旦がここにあり
長老が握っている

「…嗚呼
 …あつ、い
 …嗚呼
 …おね、が、い
 …や、め、て…」

「敬語を使え」

「宇宇…!」

球体から流れ出る液体は
君の腸内を満たし
腸壁から細胞を伝い
直腸を、
大腸を、
小腸までもを満たす

クリア

ヨーガの伝統的手法
プラーナヤーマから
クンバハカに至り
ナウリクリアを修練せよ

腸と脳は繋がっているぞ
かの精神科医も
それを言っていた
意識すべきは腸で
幸福物質はそこに95パーセントも
貯蔵されているのだから

君の腸内が熱くなる
熱気とともに痒みを伴い
今まで意識できなかった
内壁の脈動を知る

確かに腸は…
脳へと
接続されているらしい

「…どう
 かな?」

「…あつ、い、です
 …かゆく、も、あります
 …あ、あ」

君は敬語を忘れないように
心がけた
このような体勢
このような状況においても
なお

「…どうして
 欲しいね?」

「…
 …わかり、ま、せん
  嗚呼…」

掻いて欲しいだろう?
スイッチは手の中だ
かき混ぜて欲しいだろう?
ならば懇願しろ

彼女の恥じらいの表情が
長老の加虐心を煽る

《性癖の
 姿かたちはそれぞれで
 理解なく
 今宵の月すら
 飲み込まんとす》

5、7、5、7、7
言葉は素晴らしい

そういえば
X状のクリップは
何の用事で現れたのだろうか
今は只
出番を待つとしよう



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