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吸血鬼の館

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空中でクロウルジョーラと対峙すると、俺は拳に魔力を纏わせて構えた。魔法は殆ど勉強してないけど、魔力の行使は感覚で分かる。
レムレス細胞珠が活性化して、体にそのエネルギーが循環していくのが感じられた。

「初めての空中戦なので御手柔らかおっぱいでよろしくおねがいしますwwwwww」

「ギェエエ!!」

「メスなのかなwww」

どちらにしても対象物が槍みたいな嘴で突貫してきたので、身を翻して真下に潜り込み、アッパーをお見舞いしてみる。

──バコォオッ!!

「続けてオラァ!!www」

更に、姿勢を崩したクロウルジョーラの側頭部を殴り付けて地面に叩き落とした。

「今デース!ヤルノデース!」

「なんでカタコトなんだよっ。魔装具【アンサラー】!!」

「いきましょう、タカト!【紅龍】!」

カノンさんはゴリゴリ格闘魔装具、タカトは白銀の剣身に美しい金の装飾の長剣を呼び出した。なんか勇者っぽくてイイネ押したい。

墜落したクロウルジョーラはすぐさま起き上がり、大きな翼を羽撃かせ周囲に突風を巻き起こしながら甲高い声を上げる。

「ここでぼくは高みの見物をしつつ魔力の使い方を色々試して見ようと思いますwwwまずは両掌に集めましてwww」

クロウルジョーラの発達した前腕から繰り出される横薙ぎの一撃は、真空波を生み出して二人の動きを牽制している。
それでも、二人共流石に実力は折り紙付き。クロウルジョーラが飛び立つ隙を与えない。

「両掌に集めた魔力を一つにいたしましてwwww」

「あいついつまで浮かんでるつもりだよ!」

「カルラ!何してるの?!」

二人の非難がwww俺の心に突き刺さるのを感じながらwww憧れのあの技を再現いたしますwww

「か~め~は~め~www」

「え、何?亀?」

「マジかよあいつ!真面目にやれ!うおっ」

俺の奇行に気を取られるあまり、クロウルジョーラが再び飛び上がり、こっちに猛スピードで迫る。けれど焦る事はない。発射準備オッケェェエイwwwwww

「波ァァァアアアアッ!!!!」

十分に集めた魔力の塊を、ドリルくちばしよろしく高速回転しながら襲いかかるクロウルジョーラ目掛けて両手から一気に放出したったwwwwwwwww

──ドギャァァァアアッ!!!!

フォーム、掛け声(CV.野沢雅子)、威力の調節、全てが万全な状態で放たれた俺の一撃は、周囲を一瞬閃光で埋め尽くし、直後に爆発を引き起こした。

「長年の夢が叶った……!毎日練習した甲斐がありました……!みんなありがとう!!」

「バカかお前!!死んだらどうすんだよ!巻き込まれるとこだったぞ!」

「そうよ、もうちょっと考えてやりなさいよ」

「でぇしょうぶだ、ドラゴンボールで生き返ぇれ痛い!」

直後に、二人から頭を叩かれた。遅れて、竜胆とイヴてゃも合流してきた。

「カルラくん、ご苦労だったね。羽毛や骨はあまり無事では無さそうだが、切り開いて調べるには概ね使えそうだよ」

「みんな、おつかれ」

「イヴっち聞いてくれよ、この二人が俺を悪者扱いするんだwwww」

「かわいそう、よしよし」

年下から労われるのン゛ッ゛ギモ゛ヂィ゛イ゛等と思いつつ、話題はさっきのアルカードとかいう奴のお誘いの件に。

「さて、目的は達した訳だが先程の人物の誘いには乗るのかな?私としてはあまりお勧め出来ないが」

「どうする?カルラ」

「面白そうだし行くしかないべwww罠だったとしても相手は一人、数の暴力でなんとかなるなるwww」

「なるなる」

「楽観的過ぎじゃねぇか……?」

何やかんやで行くことになったので先にクロウルジョーラの解体を済ませると、タカトには素材を分けてやり、先にあるというアルカードの館を目指した。

「それにしても、あのクロウルジョーラは何だったのかしら。魔物が進化するなんて聞いたことないけど」

「俺も初耳だな。ポケモンかよ」

「ヤミカラスがドンカラス的なwww」

「どんから?」

「わからないが、興味深い研究対象になったよ。原種との実物比較もしたいところだが」

皆で話しながら進むこと30分、それらしき建造物が見えてきた。岸壁を掘削してつくられたようなそれの手前に差し掛かったところで、何者かの気配を感じて俺は歩みを止めた。

「誰かいる。お、おおおなごですぞタカト殿www」

「はしゃぐな」

「止まれです。人間ども」

何処からともなく浮遊して現れたそいつは、ゴスロリ服に見を包んだ金髪ハーフツイン美少女でした。金色のヤミちゃんみたい。しかも浮いてるからスカートの中見えそうwww
おい見ろよ!すげぇぜこれぇ!(稲川淳二並感)

「わ、私達はアルカード?さんに呼ばれてここに来たわ。怪しいものじゃないわよ」

「お兄様が人間如きを招くなんてありえないです」

「嘘じゃない」

一体でウン十万しそうなダッチワイフみたいに綺麗な顔を僅かに顰めながら、ゴスロリちゃんが右手に紫色の魔力で作られた魔法陣を展開して警戒の色を強めた。

「ならば確認してきたらいい。それが手っ取り早くて助かるのだが」

「ふざけんなです。なんでリリィがそんなことしなきゃいけないですか」

「まぁまぁ落ち着いてwwwとりあえず君もさ、その……ほら、今履いてるパンツと同じ色の魔法陣なんて物騒でエッチなもの収めてもらってwwww」

「リリィのパ……っ?!このクズがッ!!」

──ドガァアッ!!

なんか怒って撃ってきたwwww異世界女子怖すぎwwwww

「ひぇえwwwwww」

「もう許さないです!ここで殺すです!」

「バカ!何で煽るようなこと言ったんだよ?!」

「サイッテー……」

擁護の声が上がらず、何故か俺だけが攻撃される運びになりました。解せぬ。
飛んでくる魔法の槍を必死で避けていると、館からアルカードが出てきた。

「リリィ、何遊んでんだ?」

「お兄様ぁ♡酷いんですこのクソ人間共。特にあの金髪がリリィのパンツを覗いて来たんですぅ」

「あ?テメェ何してくれてんだ」

「うぇいwwwちょっと待ってwwwスカートで宙に浮いてたら見えるのは仕方ない事だと思いますやろwwwねぇお兄様wwww」

「テメェにお兄様と呼ばれる筋合いはねぇ。とりあえずリリィ、落ち着け」

「お兄様に免じて、ここは引いてあげるです」

なんとか紫パンツヤミちゃんことリリィちゃんの怒りも表面上は収まったところで、俺達は館に招き入れられた。
ふたりきりでここで暮らしているらしい。
美術品の数々や巨大なシャンデリア、赤と金で彩られた内装は貴族っぽい印象を受けた。

館の中を入って左にある応接間のような部屋に通された俺達は、リリィちゃんが淹れてくれた紅茶でおもてなしされたわけだが、何故か俺のだけドス黒いものだったので飲むのはやめといた。

「こうちゃ美味しい」

「確かにイヴっちのは美味しそうだな……」

「まずはよく来てくれた。俺は【ヴァン・H・アルカード】、一応魔王七刃将【暴食のアルカード】として今までやってきたが、まぁ、そんな肩書モンはもう捨てたから気にすんな」

「捨てたからと言って簡単に抜けれるものだとは思えないが、単刀直入に聴こうか。目的は何かな」

竜胆がそう訊ねると、アルカードは足を組み直してリリィちゃんの頭に手をポン、と乗せた。

「妹を預かってくれねぇか。んで俺を王都に連れて行け」

「ど、どういう事なの?」

「怪しすぎる。目的も結局わかんねぇし」

「まずは聞け。俺は魔王軍を抜けて人間側に付くことにした。けど、俺一人でそんな事言って人間が素直に信じないだろ?

けど、勇者が『危険は無い』と言えば多少は受け入れてくれるかもしれねぇ。妹を人質に取られてるとでも言えば尚更だ」

「そこまでして人間に加担する理由は?」

「リリィを人質だなんて……ひどいですお兄様」

今のところコイツを信用出来る要素は殆ど無いが、オルドラと揉めてたのも目の当たりにしている。
一先ず話は続けて貰うことにした。
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