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部屋割りって大事
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門を出て目視出来る位置にある林まで何事も無く進み、丸太で整備された林道を行くこと15分。
木々の合間から差し込む陽光に照らされた二階建ての別荘が姿を表した。少し古びているが、見た目は石造りの洋館風で、バルコニーやその付近には炊事も出来るようなキャンプ仕様になっていて、直ぐ側には泉が湧き出ている。
「ふっ、ここが今日から我が住まう居城というわけだ」
「多分、陛下が姫や王子の為にこういう場所も造ったのね」
「おうさま、いいパパ」
「アウトドアは興味がないな。そんなことより早く中へ入ろうじゃないか」
竜胆が俺達を促し簡易的な門を潜ると、扉がひとりでに開いた。
「お待ちしておりました、勇者様」
訳ではなく、ロングスカートタイプのメイド服に見を包んだ女性が出迎えたのだった。茶髪ポニテメイドも付いてるなんて王様有能過ぎんか……。後でお金取られたりしないかなこれ。
「貴女は一体www」
「わたくしは、この館の管理を任されております。メイドの【ターニャ】と申します。勇者様方がご滞在の間は、家事はお任せくださいませ」
「ターニャくんか、よろしく頼むよ。早速だが館で一番広い部屋へ通してくれないかな」
「全員分のお部屋をご用意させていただいております。カノン様とイヴ様は二階、カルラ様とリンドウ様は一階となっております」
竜胆の申し出に頷くと、ターニャさんは俺達を中へ促しながら淡々と説明してくれた。そのクールビューティーな態度のまま平手打ちされたいwwww
「カノン、イヴのお部屋もあるの?」
「そうよ!行きましょ」
こうして、竜胆はターニャさんと、カノンさんはイヴを連れて中へ入っていった。俺も自分の部屋を探しがてら中を探検することにします。テンション上がってきたwwwwww
「匠の技が光ってますなぁwww」
玄関から一枚扉を隔てた先には広々としたリビングがあり、ガラスのような光沢感がある白いローテーブルと革張りのソファが中央にあり、程よく配置された絵画や骨董品、立派な柱時計と本棚が壁面を彩っている。
二階へ続く階段は不思議な事に、削り出された見事な長方形の石が宙に固定されており、吹き抜けで開放感もある。
今までの人生ではまずお目にかかれなさそうなハイランクな空間であまりにもテンションが上がった俺は、四人は軽く座れるであろうソファへと飛び込んだ。
「とりあえずソファにはダイブしとかないとwwwドッスンの真似しまーーーす!エ゛エ゛ッウ゛ン゛!!」
「なにしてんのよ、カルラ」
「たのしそう」
カノンさんの冷たい声は二階からかけられております。見られてて草。
とりあえず愛想笑いで誤魔化し、その後は3人で館内の探検を再開した。
風呂は大浴場と言っても過言でない程デカいし、厨房は魔力式の道具で一通り揃ってたり、リビングとは比でない量の書物が保管されている書斎や立派な応接間なんかもあった。
「ここがリンドウの言ってた一番広い部屋かしら」
「そうみたいっすねwww」
「わくわく」
最後まで出くわさなかったので、消去法で二人の居場所が確定。それにしても広い部屋で何してんだろwww
「お、おやめくださいリンドウ様……っ」
「はっはっはっ!どこへ行こうというのかね!
ほんの少しだよ心配はいらないし傷跡が残らないよう最善を尽くす所存だ」
扉を開けると、ラムスカ・パロ・ウル・ラピュタの如くターニャさんに迫る竜胆の図が視界に飛び込んできた。それを見て慌ててカノンさんと二人で止めに入る。
「ちょっと!何があったの?ターニャさん大丈夫?!」
「エロいことしようとしてんのかと思ったらお前は予想通りというか何というかwwww」
「やれやれ、邪魔が入ったか」
「はかせ、楽しそう」
二人の距離を離して事情聞くと、どうやらターニャさんは解剖を求められたらしい。
「環境を整えた上で安全且つ迅速に身体を調べさせてもらえないかと頼んだけど、ダメなようだ。何でも申し付けろというから良いと思ったんだが」
「そうはならんやろwww」
実際『なっとるやろがい』という展開だが、地球組の誰もこの返しはしてくれなかった。かなしみ。
「申し訳御座いません……流石にそれは……」
「ターニャさんは悪くないわよ」
先程までの青ざめた顔が、安堵から血色を取り戻す彼女は胸を撫で下ろし、竜胆も漸く諦めたようだった。
「イヴ、外の探検もしたい」
「ふん、いいだろう。ついてくるがいい」
「この辺の生物の観察もしておきたいところだが、カノンくんにはまだ聞きたいことがある」
「この世界の事なら皆が知っておいたほうがいいし、私もついていくから歩きながら話しましょ?」
「では、わたくしはアフタヌーンティーをご用意しておきます。お戻りの際にお出ししますね」
そんな訳で、皆で仲良く周辺の林を歩くことになりました。
森側へ歩みを進めると、掌程の大きさの立派な花を見つけた。毒々しい紫と桃色の花弁の根本には口のような器官があり、フラフラと茎を揺らしながら口をパクパクさせている。
「見たまえカルラくん、この植物は意思があるように見えるね」
「下手すると食われるなwww」
「それは【クライバナ】ね。口の中に入ったものは何でも噛み付いて、酸性の蜜で溶かした獲物を養分にするのよ」
「はなびらキレイ」
カノンさんの説明の直後、イヴが指を入れようとしていたので慌てて止めてて笑った。ママじゃん、カノンママ。
「植物サンプルとして頂いていこう」
竜胆がクライバナを根本からちぎって収納鞄に採取してたり、今度は不思議な色の木の実を発見して齧り付こうとするイヴてゃをカノンママが阻止してたりと、楽しいピクニックになりましたwwww
「カノン、これは食べれる?」
「あー、それもだめ!毒はないけど美味しくないから」
「カノンさんサバイバル知識豊富っすね」
「まぁ、騎士団で遠征したりもするからね」
「カノンくん、これはどのような昆虫か分かるかな?とても奇妙な形だ」
「それは【ギンハガネカブト】ね。かなり堅いから武器に加工されたりもする程なのよ」
軽く人の顔くらいある大きさのそいつは、角がそのまま剣の切っ先のような白銀に輝くカブトムシは、まるで騎士のようだった。超かっこいいやん何これwwwwwww
「良いじゃないか。どんどん採取していかなければ」
いつも飄々としてるこいつがこんなにテンションの上がってるのを見ると若干気色悪いが、俺達は一通り周辺を歩いて再び別荘に戻ってきた。
「おかえりなさいませ。お茶のご用意をしております」
「ターニャくん、私は採取したものを部屋で早速調べたい。悪いが遠慮させてもらうよ」
「でしたら、後ほどお持ち致します」
竜胆はそそくさと、さっきムスカごっこをしてた大部屋へ引っ込んでいった。
あの部屋には、この世界に来る時に持ち込んだ箱もあるようで、そこで色々機材が広げられているのを確認している。
あんな変態マッドサイエンティストは放っておいて俺はソファに座り、用意してもらったお茶とクッキーを頬張った。
「メイドさんの手作りお菓子美味しいでござるwwww」
「美味しい」
「ほんとね。食べ過ぎないようにしなきゃ」
「恐れ入ります」
日がだいぶ傾いてきたのを見計らって、ターニャさんが壁面や天井に設けられた照明を魔力で点灯させるのを見て、改めて異世界に来たんだなと実感した。
「もうずっとここで暮らしてたいくらいだなwww」
「そんなこと出来るなら召喚されてないわよ。今はまだこの辺が侵攻されてないだけで、この先の森の向こうは戦地になってるとこもあるのよ」
「魔族だっけか。ぶっちゃけ状況ってヤバいの?」
「まぁ、そうね……。各国が協力して撃退してるけど、数の有利だけじゃその内押し切られちゃうかもって感じね」
カノンさんは深刻そうな表情でそう告げた。事実、俺達と行動を共にするとは言っても招集が掛かれば彼女も駆り出される旨を初めに説明されているのだ。
木々の合間から差し込む陽光に照らされた二階建ての別荘が姿を表した。少し古びているが、見た目は石造りの洋館風で、バルコニーやその付近には炊事も出来るようなキャンプ仕様になっていて、直ぐ側には泉が湧き出ている。
「ふっ、ここが今日から我が住まう居城というわけだ」
「多分、陛下が姫や王子の為にこういう場所も造ったのね」
「おうさま、いいパパ」
「アウトドアは興味がないな。そんなことより早く中へ入ろうじゃないか」
竜胆が俺達を促し簡易的な門を潜ると、扉がひとりでに開いた。
「お待ちしておりました、勇者様」
訳ではなく、ロングスカートタイプのメイド服に見を包んだ女性が出迎えたのだった。茶髪ポニテメイドも付いてるなんて王様有能過ぎんか……。後でお金取られたりしないかなこれ。
「貴女は一体www」
「わたくしは、この館の管理を任されております。メイドの【ターニャ】と申します。勇者様方がご滞在の間は、家事はお任せくださいませ」
「ターニャくんか、よろしく頼むよ。早速だが館で一番広い部屋へ通してくれないかな」
「全員分のお部屋をご用意させていただいております。カノン様とイヴ様は二階、カルラ様とリンドウ様は一階となっております」
竜胆の申し出に頷くと、ターニャさんは俺達を中へ促しながら淡々と説明してくれた。そのクールビューティーな態度のまま平手打ちされたいwwww
「カノン、イヴのお部屋もあるの?」
「そうよ!行きましょ」
こうして、竜胆はターニャさんと、カノンさんはイヴを連れて中へ入っていった。俺も自分の部屋を探しがてら中を探検することにします。テンション上がってきたwwwwww
「匠の技が光ってますなぁwww」
玄関から一枚扉を隔てた先には広々としたリビングがあり、ガラスのような光沢感がある白いローテーブルと革張りのソファが中央にあり、程よく配置された絵画や骨董品、立派な柱時計と本棚が壁面を彩っている。
二階へ続く階段は不思議な事に、削り出された見事な長方形の石が宙に固定されており、吹き抜けで開放感もある。
今までの人生ではまずお目にかかれなさそうなハイランクな空間であまりにもテンションが上がった俺は、四人は軽く座れるであろうソファへと飛び込んだ。
「とりあえずソファにはダイブしとかないとwwwドッスンの真似しまーーーす!エ゛エ゛ッウ゛ン゛!!」
「なにしてんのよ、カルラ」
「たのしそう」
カノンさんの冷たい声は二階からかけられております。見られてて草。
とりあえず愛想笑いで誤魔化し、その後は3人で館内の探検を再開した。
風呂は大浴場と言っても過言でない程デカいし、厨房は魔力式の道具で一通り揃ってたり、リビングとは比でない量の書物が保管されている書斎や立派な応接間なんかもあった。
「ここがリンドウの言ってた一番広い部屋かしら」
「そうみたいっすねwww」
「わくわく」
最後まで出くわさなかったので、消去法で二人の居場所が確定。それにしても広い部屋で何してんだろwww
「お、おやめくださいリンドウ様……っ」
「はっはっはっ!どこへ行こうというのかね!
ほんの少しだよ心配はいらないし傷跡が残らないよう最善を尽くす所存だ」
扉を開けると、ラムスカ・パロ・ウル・ラピュタの如くターニャさんに迫る竜胆の図が視界に飛び込んできた。それを見て慌ててカノンさんと二人で止めに入る。
「ちょっと!何があったの?ターニャさん大丈夫?!」
「エロいことしようとしてんのかと思ったらお前は予想通りというか何というかwwww」
「やれやれ、邪魔が入ったか」
「はかせ、楽しそう」
二人の距離を離して事情聞くと、どうやらターニャさんは解剖を求められたらしい。
「環境を整えた上で安全且つ迅速に身体を調べさせてもらえないかと頼んだけど、ダメなようだ。何でも申し付けろというから良いと思ったんだが」
「そうはならんやろwww」
実際『なっとるやろがい』という展開だが、地球組の誰もこの返しはしてくれなかった。かなしみ。
「申し訳御座いません……流石にそれは……」
「ターニャさんは悪くないわよ」
先程までの青ざめた顔が、安堵から血色を取り戻す彼女は胸を撫で下ろし、竜胆も漸く諦めたようだった。
「イヴ、外の探検もしたい」
「ふん、いいだろう。ついてくるがいい」
「この辺の生物の観察もしておきたいところだが、カノンくんにはまだ聞きたいことがある」
「この世界の事なら皆が知っておいたほうがいいし、私もついていくから歩きながら話しましょ?」
「では、わたくしはアフタヌーンティーをご用意しておきます。お戻りの際にお出ししますね」
そんな訳で、皆で仲良く周辺の林を歩くことになりました。
森側へ歩みを進めると、掌程の大きさの立派な花を見つけた。毒々しい紫と桃色の花弁の根本には口のような器官があり、フラフラと茎を揺らしながら口をパクパクさせている。
「見たまえカルラくん、この植物は意思があるように見えるね」
「下手すると食われるなwww」
「それは【クライバナ】ね。口の中に入ったものは何でも噛み付いて、酸性の蜜で溶かした獲物を養分にするのよ」
「はなびらキレイ」
カノンさんの説明の直後、イヴが指を入れようとしていたので慌てて止めてて笑った。ママじゃん、カノンママ。
「植物サンプルとして頂いていこう」
竜胆がクライバナを根本からちぎって収納鞄に採取してたり、今度は不思議な色の木の実を発見して齧り付こうとするイヴてゃをカノンママが阻止してたりと、楽しいピクニックになりましたwwww
「カノン、これは食べれる?」
「あー、それもだめ!毒はないけど美味しくないから」
「カノンさんサバイバル知識豊富っすね」
「まぁ、騎士団で遠征したりもするからね」
「カノンくん、これはどのような昆虫か分かるかな?とても奇妙な形だ」
「それは【ギンハガネカブト】ね。かなり堅いから武器に加工されたりもする程なのよ」
軽く人の顔くらいある大きさのそいつは、角がそのまま剣の切っ先のような白銀に輝くカブトムシは、まるで騎士のようだった。超かっこいいやん何これwwwwwww
「良いじゃないか。どんどん採取していかなければ」
いつも飄々としてるこいつがこんなにテンションの上がってるのを見ると若干気色悪いが、俺達は一通り周辺を歩いて再び別荘に戻ってきた。
「おかえりなさいませ。お茶のご用意をしております」
「ターニャくん、私は採取したものを部屋で早速調べたい。悪いが遠慮させてもらうよ」
「でしたら、後ほどお持ち致します」
竜胆はそそくさと、さっきムスカごっこをしてた大部屋へ引っ込んでいった。
あの部屋には、この世界に来る時に持ち込んだ箱もあるようで、そこで色々機材が広げられているのを確認している。
あんな変態マッドサイエンティストは放っておいて俺はソファに座り、用意してもらったお茶とクッキーを頬張った。
「メイドさんの手作りお菓子美味しいでござるwwww」
「美味しい」
「ほんとね。食べ過ぎないようにしなきゃ」
「恐れ入ります」
日がだいぶ傾いてきたのを見計らって、ターニャさんが壁面や天井に設けられた照明を魔力で点灯させるのを見て、改めて異世界に来たんだなと実感した。
「もうずっとここで暮らしてたいくらいだなwww」
「そんなこと出来るなら召喚されてないわよ。今はまだこの辺が侵攻されてないだけで、この先の森の向こうは戦地になってるとこもあるのよ」
「魔族だっけか。ぶっちゃけ状況ってヤバいの?」
「まぁ、そうね……。各国が協力して撃退してるけど、数の有利だけじゃその内押し切られちゃうかもって感じね」
カノンさんは深刻そうな表情でそう告げた。事実、俺達と行動を共にするとは言っても招集が掛かれば彼女も駆り出される旨を初めに説明されているのだ。
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