彼の面影を、彼のことを。

饗庭 碧

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第1章

元気でね

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「別れよっか」
この言葉で全てが終わることをわかっていながら送信ボタンを押す。

今までありがとう、あなたに出会えてよかった、ずっと楽しかった、別れたくない。

それらの言葉を伝えたくても伝えられず、胸の奥にしまい込む。

バイブ音が鳴る。
これからあなたからのメッセージが来た、と知らせるこの音を聞くことはないだろう。

『ごめんね、全部俺のせい。』

『今まで楽しかった。ありがとう』

あなたが私に続いてこの関係の終止符を打った。

「楽しかった」この言葉だけで未練が溢れて、どうしよもなくなった。
これからも私と、なんて考えてしまう。

幸せになって、と言えない代わりに元気でね、と心の中で呟いた。

これから彼は元気に、幸せな日々を過ごしていくのだろうか。

初めて出会ったあの日のように重い空を見て、少しだけ「不幸になってくれ」と思った。
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