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番外編

番外編 神の庭

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 ペコラを腕に抱いたままリベリオが足を進める。

 見たこともない豪華な建物の様子にペコラは圧倒されるままだ。
 黒曜石でできているのか神殿はどこもかしこも黒くて暗い。人の気配はしないし窓の外は星か雷か、たまに光が走るのが見えるだけ。

 数えきれない年数を彼と交わったあとヒトの寿命を終え、皆に最後のお別れをして……いつの間にかいたのはそんな場所だった。

(ここ……)

 大きな柱が林立する広い部屋の中、中央に置かれた大きな――ペコラの部屋のそれとも比較にならない――ベッドの上に乗せられる。

 死後の世界というにはいささか整いすぎているし、なにより、やけに嬉しそうなリベリオが目の前にいる。
 嫌な予感とともに、聞いてみた。

「私になにかしましたか」
 いくつになっても見た目が変わらないとは生前よく言われたのだが。

「ようやく気づきましたか。俺の眷族にしました」
「自供が早い!」
「これでも大変だったんですよ、人間を神格化するなんて時間をかけないと」
「え、あの、え……っ」

 ゆっくりとベッドに押し倒されて、首元にリベリオが顔を埋める。ずっと知っているはずの唇の感覚なのにひどく淫靡で、触れるだけで達してしまいそうなほど快い。

「ひ、ひとこと……っ本人の承諾を」
「承諾なら昔に」
「たぶん保留と言ったような……!」

 いつの間にか着ていた夜着を、ゆっくりと大きな手が外す。

「もう人間ではないので多少無理もききますね。あぁ、もちろん傷はつけません。俺の可愛い妻ですから」
 ふと気づくと足首には鎖が繋がれていた。その反対側は彼の手首に。

「あ、の」
「これでずっと一緒です」
 ぞっとするほど綺麗な顔で邪神は微笑んだ。
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