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番外編
巫子の日常 2
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「喧嘩?」
「ええ、最近皆やけに仲が悪くて」
ニナを愛し子とする精霊たちの話だった。総勢六名。しかも一人一人の力が強い。
確かに争奪戦ともなれば大変な騒ぎになるし……実際大規模ないさかいも起こったと聞いていた。
ニナは困った様子で頬に両手を置いた。
「それでどうしたらペコラ様のお二人のように仲良くなるのかなって」
――キュウ。
ダンゴムシがリベリオの頭の上でうんうんとうなずく。
リベリオが鬱陶しそうに手を振ると、軽い風にその身体が飛ばされた。
宙を舞う精霊をペコラがキャッチする。
「仲良くは、ないと……」
「俺が気にしてないだけですし」
――キュー!?
「仲良しじゃないですか!」
ニナが机を叩いた。
「見る分のハーレムはいいんですけど、四六時中イケメンに囲まれるのはちょっと。しかも自分、元仕事人間なので取り合われると居たたまれなくて……! 見る分にはいいんですけれど!」
大事なことなので二回言った。
白い髪のひと束を、耳の上で羊の角のようにお団子にしたペコラは首を傾げた。
「ニナちゃんの推しは大地の精霊よね」
「って言ってるんですけど聞いてくれなくてぇぇぇぇ」
ついに顔を手で覆って首を振る。
「浮気はだめと思いつつ、そりゃ目の前で微笑まれたらキュンとしますし!」
「あああぁそれはわかる!」
ニナの精霊は光、水、火、地、木、風だ。まさしくゲームのヒロインに相応しい勢揃いっぷり。しかも全員がイケメンである。
彼女の修行の成果によって少しずつ力が顕在化し、今ではそれなりに自由に扱えるようになったと同時に、その人型の姿を表すようになった。
「ハーレムエンドまで制した身としては、推しが居たとしてもその時はその精霊に心を奪われるというか……」
ニナの言葉にペコラも腕を組んだ。
「そうよね。私もこの間『ニナをよろしく』って水の精霊さんに至近距離でささやかれてもう、うっとりしちゃって」
「……へぇ」
――……キュウ
ゆらりとリベリオとダンゴムシが立ち上がる。
「あ、あくまで巫子としての興味だけど!」
慌てて付け加えた。
「リベリオ様的にはどう思いますか?」
すでにニナが正体を知っていることを明かしている。邪神は背筋を伸ばした見習い巫子を見た。
「好きにさせておけばいいと思います。あいつらも愛し子の存在に浮かれてるんでしょう」
「でも……愛想を尽かされたり」
「ないです」
机に沿って移動してきたリベリオが座っているペコラを抱き上げて膝に乗せた。
後ろから抱いて彼女のふわふわの髪に頬をすり寄せる。
「せっかく手に入れたんですからそう簡単に手放しません。愛し子は、黙って愛されていればいいんです」
腕の力が強くなる。
「……」
ペコラは震えながら後ろを振り仰いだ。
「リベリオさん、それ、ニナちゃんに向けた言葉ですよね」
「ん?」
「え、えええ笑顔が怖いんですけど……っ⁇」
「ええ、最近皆やけに仲が悪くて」
ニナを愛し子とする精霊たちの話だった。総勢六名。しかも一人一人の力が強い。
確かに争奪戦ともなれば大変な騒ぎになるし……実際大規模ないさかいも起こったと聞いていた。
ニナは困った様子で頬に両手を置いた。
「それでどうしたらペコラ様のお二人のように仲良くなるのかなって」
――キュウ。
ダンゴムシがリベリオの頭の上でうんうんとうなずく。
リベリオが鬱陶しそうに手を振ると、軽い風にその身体が飛ばされた。
宙を舞う精霊をペコラがキャッチする。
「仲良くは、ないと……」
「俺が気にしてないだけですし」
――キュー!?
「仲良しじゃないですか!」
ニナが机を叩いた。
「見る分のハーレムはいいんですけど、四六時中イケメンに囲まれるのはちょっと。しかも自分、元仕事人間なので取り合われると居たたまれなくて……! 見る分にはいいんですけれど!」
大事なことなので二回言った。
白い髪のひと束を、耳の上で羊の角のようにお団子にしたペコラは首を傾げた。
「ニナちゃんの推しは大地の精霊よね」
「って言ってるんですけど聞いてくれなくてぇぇぇぇ」
ついに顔を手で覆って首を振る。
「浮気はだめと思いつつ、そりゃ目の前で微笑まれたらキュンとしますし!」
「あああぁそれはわかる!」
ニナの精霊は光、水、火、地、木、風だ。まさしくゲームのヒロインに相応しい勢揃いっぷり。しかも全員がイケメンである。
彼女の修行の成果によって少しずつ力が顕在化し、今ではそれなりに自由に扱えるようになったと同時に、その人型の姿を表すようになった。
「ハーレムエンドまで制した身としては、推しが居たとしてもその時はその精霊に心を奪われるというか……」
ニナの言葉にペコラも腕を組んだ。
「そうよね。私もこの間『ニナをよろしく』って水の精霊さんに至近距離でささやかれてもう、うっとりしちゃって」
「……へぇ」
――……キュウ
ゆらりとリベリオとダンゴムシが立ち上がる。
「あ、あくまで巫子としての興味だけど!」
慌てて付け加えた。
「リベリオ様的にはどう思いますか?」
すでにニナが正体を知っていることを明かしている。邪神は背筋を伸ばした見習い巫子を見た。
「好きにさせておけばいいと思います。あいつらも愛し子の存在に浮かれてるんでしょう」
「でも……愛想を尽かされたり」
「ないです」
机に沿って移動してきたリベリオが座っているペコラを抱き上げて膝に乗せた。
後ろから抱いて彼女のふわふわの髪に頬をすり寄せる。
「せっかく手に入れたんですからそう簡単に手放しません。愛し子は、黙って愛されていればいいんです」
腕の力が強くなる。
「……」
ペコラは震えながら後ろを振り仰いだ。
「リベリオさん、それ、ニナちゃんに向けた言葉ですよね」
「ん?」
「え、えええ笑顔が怖いんですけど……っ⁇」
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