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プロローグ2 ※
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「待て」
後ろにひっつくモノを、僕は顔を引きつらせながら振り解こうと力を込めた。
「どちらかが嘘で、どちらかが本当です。当てましょう」
「待てってば!」
このパターンはまずい。
「外したら大人しく抱かれること」
ほらやっぱり!
「勝手に決めるな」
「1つ目の話。某学校に、Aという男子児童がいた」
こちらの文句は聞こえていないらしく、完全なるスルーを決め込んで壱夏は話し出した。
「彼はある日、忘れてしまった宿題をとりに、夜中に学校へと向かった」
静かな和室に響く、低い声。
いやきっと、騒がしくても聞こえるだろうそれ。つまりは、寝たふりをしても耳に入ってくるということで。
一応、耳に手を当てるささやかな抵抗を試みたが、問答無用で外された。
「けれど、帰り際校門のところで、彼は白井先生(仮)に会う。先生はAを茶でも飲んでいかないかと、誘った。Aはとてもまじめな良い子だったので、先生の申し出を断れなかった。以来、生きているAを見た者はいない」
「…………何だそれ」
諦めて、後ろから抱きつかれたまま僕は溜息混じりに返事をした。
聞いていないなら負け、ということで彼が強引な手段に出る可能性は十分にありえる。
「ん、実は、白井(仮)というのは先生じゃなくて変質者で、Aは暗がりで彼に殺されていた」
なるほど怖い話だ。
色んな意味で。
「……質問」
「どうぞ」
「白井は変質者なのに、何でAは先生と思ったんだ?」
「知らない先生がいてもおかしくないくらい、学校が大きかったから」
「ふーん」
矛盾はない……ような気がする。
「じゃ、もう1つの方。話の筋は同じ。ただし、白井(仮)は変質者じゃなく幽霊だった。さて、どちらが本当の話?」
「…………待て待て、いやカウントダウンやめろ。ちょっと考えるから」
10から数を数え始めた壱夏をおさえて、僕はもう一度話を整理してみた。
えーと。2つめの話だと、忘れ物をとりにきて、校門の前で幽霊に話しかけられて、殺されてしまったと。
夜の学校に、校門前で子どもに話しかける幽霊がいる。しかし決して立ち止まったり返事をしてはいけない。白井(仮)はその子を殺す―――。
なんだ、それなら。
「2つ目が嘘だ」
「何故?」
「目撃者がいないなら、そこで何が起こったのか誰もわからないはずだから。幽霊とAのあいだにあったことをなんで知れる? だからその話は作り話だ」
「ファイナルアンサー?」
「うん」
わずかに、和室の中に沈黙が流れた。
「……2つほど前提を忘れていることを指摘しよう、ワトソン君」
壱夏のその言葉に少しだけ身構える。
こういう風に話す時のこいつは、ろくなことを言わない。
「わひゃっ」
突然幽霊のようにひやりとした手が首筋に当てられて、僕は飛び上がった。
思わず布団からもう一度起き上がると、淡い電灯の下、横向きに寝たまま肘枕をした壱夏が僕を見てにやーっと笑った。
「変質者である白井(仮)が捕まって、警察に白状したならこの話は成り立つだろう。けれど、彼はまだ捕まっていない。誰にも話していない。この場合、事件が起こったときに何があったのかは、誰にもわからない。彼が幽霊である場合と同様に」
そうして気怠げに体を起こした壱夏は、手を僕に伸ばした。
細い指が僕の首に触れる。煽るように、それが僕の首筋を上へとなぞって、頬から耳に髪をかき上げた。
「2つめ。誰も見ていない事件でも、真相が明らかになる場合がある。例えば、幽霊に殺されたAが幽霊となって、見える者に事件を訴えればそれでいい」
もう一度言う。こういう時の壱夏はろくなことを口にしない。
今まで信じていた世界を足下からひっくり返して、確かなものなんてどこにもないと、笑うのだ。
「…………」
押し黙った僕を見て、有能な祓い屋である彼は、見惚れるほど綺麗な笑顔を見せた。
「さて、真実の話はどちら?」
いそいそと僕を仰向けにして、壱夏がおおいかぶさる。帯はさっき解かれた時にどこかへ行ったままだ。壱夏の手が、脇腹をさすって僕のボクサーパンツを脱がせにかかった。
鼻歌混じりの上機嫌が、すごく、悔しい。
「で?」
「うん?」
心の準備と恨みを込めて、僕は聞いた。
「結局どっちが本当の話なんだ?」
「ひとつめ」
「合ってた……」
絶望とともに僕は両手で自分の顔を覆った。
「わからない、で降参した淳平が悪い」
「ぐ」
鼻で笑って小馬鹿にした壱夏を、殴りたい欲求が沸き起こる。
しかし今のところこいつに腕力でも喧嘩でも敵わないことも、悲しいかなよく知っていた。
冷たい手が竿を梳く。
弱気をそのまま表すように、未だ柔いそれを擦り上げられて僕は息を詰めた。
「は、……」
そのまま、首筋を舐め上げられて弱い電流のような快さが背中に走る。
壱夏は僕の頬や首にキスを落とした。
薄い唇が触れる度に、緊張で体が強ばるのを感じる。壱夏と【そういう】関係になってまだ日は浅い。けれど、中学の時に親戚のじいさんが亡くなった時からずっと、僕は居候としてここで暮らしてきた。
友人や幼馴染みというには隔たりがあるが、使用人と当主というより近い。そんな曖昧な関係のまま。
壱夏も早々に服を脱いでいて、触れあう肌は心地が良い。
認めたくはないがその事実を意識すれば、熱が籠もるのを自分でも感じた。悔し紛れに、僕は自分にのしかかるものから視線を外して目を閉じた。
「いっ」
その油断の隙にと、性急に指が中に入って僕は体を震わせた。中を擦りながら起ち上がりかけたものを攻める力も緩められず、僕の腰が勝手に跳ねる。
「あ、っぅあ」
「ここ?」
くすりと笑う声がして、裡で一際反応したところを強引に擦られた。
痛いのと善いのがまぜこぜになって、目の前にちかちかと星が舞う。果てが近いのを感じて、壱夏に手を伸ばすと、彼は何も言わずに身を屈めた。
その首に縋り付く。二度、三度と深く指が埋まり、僕は唇を噛んで壱夏を抱きしめた。
「……もういい?」
どれくらいしてか、耳元で囁かれて指がゆっくりと引き抜かれる。
半ば立ち上がった僕のものは、内側の刺激に耐えかねて体の間にはさまれたまま可哀想なほど哀れに震えている。その向こうで、壱夏の、凶悪にそそり立つ欲望が見えた。
技巧も何もあったものではない。息も絶え絶えに僕は首を振った。
「ま、って、まだ……っ」
首から手を外そうとしたところで、足を抱え上げられて解された穴に異物が入り込んだ。
「――――――っ」
一気に奥まで来られた衝撃に、呼吸が止まる。
本来受け入れる場所ではないところを犯されて、荒く息を吐く間にも、内を熱が行き来する。
「、っぁ……あ」
「純平」
ひそりと名を呼んだ壱夏が、僕の中に潜り込んだのではないほうの手で頬を撫でる。
呼吸も整わないまま、僕は触れる体温に誘われるように目を開けた。
暗い灯の下でもそうと分かるほど、頬を紅潮させている壱夏がそこにいた。
人の体を好き勝手している癖に辛そうな、そしてどこかほっとした表情の。
(く、そ)
この顔と体なら、女の人はいくらでも選びたい放題だろうに。どうして、こいつは男の僕など抱きに来るのかわからない。
……いや、本当は理由なら知ってる。
僕なら両親も居ない、子ができる心配もなく、後腐れがないから。これは彼が伴侶を見つけるまでの、単なる遊びだ。
そこまで考えて、僕は自虐的に笑った。
大丈夫。それくらいはちゃんとわかっているから。
僕はそっと目の前にある黒髪を撫でた。
「何。どうかした?」
不審げに聞かれて壱夏の動きが止まる。僕は慌てて彼の頭から手を離した。
「いや、……別に」
そのまま沈黙が流れた。まだ壱夏が動く気配はない。さすがに気まずくて、僕は必死に話題を探した。
あるじゃないか。いいのが。
「なんにせよ、Aが可哀想な話だ、……っ」
言うと、壱夏は暗い中でもよくわかるくらい眉を跳ね上げた。僕の腰を掴んで犬歯を剥き出すと、腰を一際打ち付ける。
「は? この状況で何言ってんだ? Aって誰だ!?」
「ああもうごめん話が飛びすぎた。 でもお前が話したんだろうが!」
あれのせいでこうなっているんだろう。
恨みを込めて言うと、壱夏は一瞬遅れて瞬きをしてから、あぁ、と呟いて頷いた。
「そうだな。まだ死体も見つかってないし」
なに?
「犯人の白井(仮)も自首するといいんだけど。避暑で行った先の学校の話で、もう40年くらい経ってるらしいけど」
どういうことだ。それなら。
「なんで壱夏が、その詳細を知ってるんだ?」
聞くと、彼はこともなげに答えた。
「校門の前に生えてる、桜の木が教えてくれた」
どこで何に見られてるか分からないから、犯罪はやめときなよ、と。
彼はそういって、僕の額に口づけた。
後ろにひっつくモノを、僕は顔を引きつらせながら振り解こうと力を込めた。
「どちらかが嘘で、どちらかが本当です。当てましょう」
「待てってば!」
このパターンはまずい。
「外したら大人しく抱かれること」
ほらやっぱり!
「勝手に決めるな」
「1つ目の話。某学校に、Aという男子児童がいた」
こちらの文句は聞こえていないらしく、完全なるスルーを決め込んで壱夏は話し出した。
「彼はある日、忘れてしまった宿題をとりに、夜中に学校へと向かった」
静かな和室に響く、低い声。
いやきっと、騒がしくても聞こえるだろうそれ。つまりは、寝たふりをしても耳に入ってくるということで。
一応、耳に手を当てるささやかな抵抗を試みたが、問答無用で外された。
「けれど、帰り際校門のところで、彼は白井先生(仮)に会う。先生はAを茶でも飲んでいかないかと、誘った。Aはとてもまじめな良い子だったので、先生の申し出を断れなかった。以来、生きているAを見た者はいない」
「…………何だそれ」
諦めて、後ろから抱きつかれたまま僕は溜息混じりに返事をした。
聞いていないなら負け、ということで彼が強引な手段に出る可能性は十分にありえる。
「ん、実は、白井(仮)というのは先生じゃなくて変質者で、Aは暗がりで彼に殺されていた」
なるほど怖い話だ。
色んな意味で。
「……質問」
「どうぞ」
「白井は変質者なのに、何でAは先生と思ったんだ?」
「知らない先生がいてもおかしくないくらい、学校が大きかったから」
「ふーん」
矛盾はない……ような気がする。
「じゃ、もう1つの方。話の筋は同じ。ただし、白井(仮)は変質者じゃなく幽霊だった。さて、どちらが本当の話?」
「…………待て待て、いやカウントダウンやめろ。ちょっと考えるから」
10から数を数え始めた壱夏をおさえて、僕はもう一度話を整理してみた。
えーと。2つめの話だと、忘れ物をとりにきて、校門の前で幽霊に話しかけられて、殺されてしまったと。
夜の学校に、校門前で子どもに話しかける幽霊がいる。しかし決して立ち止まったり返事をしてはいけない。白井(仮)はその子を殺す―――。
なんだ、それなら。
「2つ目が嘘だ」
「何故?」
「目撃者がいないなら、そこで何が起こったのか誰もわからないはずだから。幽霊とAのあいだにあったことをなんで知れる? だからその話は作り話だ」
「ファイナルアンサー?」
「うん」
わずかに、和室の中に沈黙が流れた。
「……2つほど前提を忘れていることを指摘しよう、ワトソン君」
壱夏のその言葉に少しだけ身構える。
こういう風に話す時のこいつは、ろくなことを言わない。
「わひゃっ」
突然幽霊のようにひやりとした手が首筋に当てられて、僕は飛び上がった。
思わず布団からもう一度起き上がると、淡い電灯の下、横向きに寝たまま肘枕をした壱夏が僕を見てにやーっと笑った。
「変質者である白井(仮)が捕まって、警察に白状したならこの話は成り立つだろう。けれど、彼はまだ捕まっていない。誰にも話していない。この場合、事件が起こったときに何があったのかは、誰にもわからない。彼が幽霊である場合と同様に」
そうして気怠げに体を起こした壱夏は、手を僕に伸ばした。
細い指が僕の首に触れる。煽るように、それが僕の首筋を上へとなぞって、頬から耳に髪をかき上げた。
「2つめ。誰も見ていない事件でも、真相が明らかになる場合がある。例えば、幽霊に殺されたAが幽霊となって、見える者に事件を訴えればそれでいい」
もう一度言う。こういう時の壱夏はろくなことを口にしない。
今まで信じていた世界を足下からひっくり返して、確かなものなんてどこにもないと、笑うのだ。
「…………」
押し黙った僕を見て、有能な祓い屋である彼は、見惚れるほど綺麗な笑顔を見せた。
「さて、真実の話はどちら?」
いそいそと僕を仰向けにして、壱夏がおおいかぶさる。帯はさっき解かれた時にどこかへ行ったままだ。壱夏の手が、脇腹をさすって僕のボクサーパンツを脱がせにかかった。
鼻歌混じりの上機嫌が、すごく、悔しい。
「で?」
「うん?」
心の準備と恨みを込めて、僕は聞いた。
「結局どっちが本当の話なんだ?」
「ひとつめ」
「合ってた……」
絶望とともに僕は両手で自分の顔を覆った。
「わからない、で降参した淳平が悪い」
「ぐ」
鼻で笑って小馬鹿にした壱夏を、殴りたい欲求が沸き起こる。
しかし今のところこいつに腕力でも喧嘩でも敵わないことも、悲しいかなよく知っていた。
冷たい手が竿を梳く。
弱気をそのまま表すように、未だ柔いそれを擦り上げられて僕は息を詰めた。
「は、……」
そのまま、首筋を舐め上げられて弱い電流のような快さが背中に走る。
壱夏は僕の頬や首にキスを落とした。
薄い唇が触れる度に、緊張で体が強ばるのを感じる。壱夏と【そういう】関係になってまだ日は浅い。けれど、中学の時に親戚のじいさんが亡くなった時からずっと、僕は居候としてここで暮らしてきた。
友人や幼馴染みというには隔たりがあるが、使用人と当主というより近い。そんな曖昧な関係のまま。
壱夏も早々に服を脱いでいて、触れあう肌は心地が良い。
認めたくはないがその事実を意識すれば、熱が籠もるのを自分でも感じた。悔し紛れに、僕は自分にのしかかるものから視線を外して目を閉じた。
「いっ」
その油断の隙にと、性急に指が中に入って僕は体を震わせた。中を擦りながら起ち上がりかけたものを攻める力も緩められず、僕の腰が勝手に跳ねる。
「あ、っぅあ」
「ここ?」
くすりと笑う声がして、裡で一際反応したところを強引に擦られた。
痛いのと善いのがまぜこぜになって、目の前にちかちかと星が舞う。果てが近いのを感じて、壱夏に手を伸ばすと、彼は何も言わずに身を屈めた。
その首に縋り付く。二度、三度と深く指が埋まり、僕は唇を噛んで壱夏を抱きしめた。
「……もういい?」
どれくらいしてか、耳元で囁かれて指がゆっくりと引き抜かれる。
半ば立ち上がった僕のものは、内側の刺激に耐えかねて体の間にはさまれたまま可哀想なほど哀れに震えている。その向こうで、壱夏の、凶悪にそそり立つ欲望が見えた。
技巧も何もあったものではない。息も絶え絶えに僕は首を振った。
「ま、って、まだ……っ」
首から手を外そうとしたところで、足を抱え上げられて解された穴に異物が入り込んだ。
「――――――っ」
一気に奥まで来られた衝撃に、呼吸が止まる。
本来受け入れる場所ではないところを犯されて、荒く息を吐く間にも、内を熱が行き来する。
「、っぁ……あ」
「純平」
ひそりと名を呼んだ壱夏が、僕の中に潜り込んだのではないほうの手で頬を撫でる。
呼吸も整わないまま、僕は触れる体温に誘われるように目を開けた。
暗い灯の下でもそうと分かるほど、頬を紅潮させている壱夏がそこにいた。
人の体を好き勝手している癖に辛そうな、そしてどこかほっとした表情の。
(く、そ)
この顔と体なら、女の人はいくらでも選びたい放題だろうに。どうして、こいつは男の僕など抱きに来るのかわからない。
……いや、本当は理由なら知ってる。
僕なら両親も居ない、子ができる心配もなく、後腐れがないから。これは彼が伴侶を見つけるまでの、単なる遊びだ。
そこまで考えて、僕は自虐的に笑った。
大丈夫。それくらいはちゃんとわかっているから。
僕はそっと目の前にある黒髪を撫でた。
「何。どうかした?」
不審げに聞かれて壱夏の動きが止まる。僕は慌てて彼の頭から手を離した。
「いや、……別に」
そのまま沈黙が流れた。まだ壱夏が動く気配はない。さすがに気まずくて、僕は必死に話題を探した。
あるじゃないか。いいのが。
「なんにせよ、Aが可哀想な話だ、……っ」
言うと、壱夏は暗い中でもよくわかるくらい眉を跳ね上げた。僕の腰を掴んで犬歯を剥き出すと、腰を一際打ち付ける。
「は? この状況で何言ってんだ? Aって誰だ!?」
「ああもうごめん話が飛びすぎた。 でもお前が話したんだろうが!」
あれのせいでこうなっているんだろう。
恨みを込めて言うと、壱夏は一瞬遅れて瞬きをしてから、あぁ、と呟いて頷いた。
「そうだな。まだ死体も見つかってないし」
なに?
「犯人の白井(仮)も自首するといいんだけど。避暑で行った先の学校の話で、もう40年くらい経ってるらしいけど」
どういうことだ。それなら。
「なんで壱夏が、その詳細を知ってるんだ?」
聞くと、彼はこともなげに答えた。
「校門の前に生えてる、桜の木が教えてくれた」
どこで何に見られてるか分からないから、犯罪はやめときなよ、と。
彼はそういって、僕の額に口づけた。
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