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第三話
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「ちょっと設定に無理があったけど、面白かったね」
「あっ・・・うん・・・・」
「あれっ? どうしたの? 面白くなかったの?」
そう言われて返事に困っていた。ずっと観てたはずだがほとんどストーリーを
憶えていない。
発進のシーンや波動砲を撃つシーンはさすがにちゃんと観ていたが、台詞などはほとんど
耳に入ってこなかった。
「あっ・・あのさー プリクラとか一緒に撮らない?」
「へー・・・珍しいね、剛史がそんな事言うの。いいよ。そこのゲーセンで撮ろうよ」
映画を観ながら考えたアイディアはこれだった。
こうすれば彼女の名前がわかる。二人でモニターの前に立って色々ポーズを決めていた。
「この画像がいいんじゃない?」
「名前とか入力できる? 俺、苦手なんだよね・・・そういうの」
「わかってるよ。 じゃあ・・・えっと・・・これをこうして・・・」
彼女が慣れた手つきでキーボードを操作している。まずは俺の名前を入力・・・
次は彼女のだ・・・三沙子・・・みさこちゃんか・・・大成功!
「あのさー・・・三沙子ちゃん・・・」
ちょっとたどたどしい感じで言うと、彼女は驚いたようにこっちを見つめて言った。
「変なのぉ・・・今日の剛史ちょっと変だよ? 体調でも悪いの?」
「そっ・・・そんな事ないけど・・・」
「三沙子ちゃんだなんて・・・いつもみたいに みっちゃんでいいよー
なんか気持ち悪い・・・」
「ゴメンゴメン・・・みっちゃん晩ご飯は何が食べたい?」
「お寿司がいい! 久しぶりだなぁ・・・」
おいおい・・・寿司ってこの辺に回るとこなんて無いよ?・・・
あっ・・・俺、金持ちなんだっけ? 財布は・・・ズボンのポケットだよな?
触った感じ薄っぺらいみたいだ・・・大した金額は入っていなさそう。
「ちょっとトイレに行ってくる・・・」
あわてて財布の中を調べてみた。札入れには1万円札が7枚入っている。
それにカードが3枚。1枚はブラックだ・・・
「これ・・・使えるんだよな?」
ちょっと疑心暗鬼だったが、現金もあるから何とかなるだろう。
「お待たせ。じゃあ歌舞伎座の隣の寿司屋にしよう」
以前テレビで観た店を思い出したのでそこに行ってみることにした。
楽しいひと時を過ごし、そろそろ終電の時間が近づいてきた。
「これからどうしよう? カラオケでも行く?」
ホントは下心があるんだけど・・・そんな素振りは見せないように彼女に言った。
「ゴメン! 明日ロンドン便なんだぁ・・・もう帰らなくちゃ」
「えっ?ロンドン??」
「そうなの・・・ホントは水曜日のフライト予定だったんだけど・・・
友達が体調が悪いって言ってたんで代わってあげたのよ」
「そっ・・・そうなんだ・・・大変だね」
「うん・・・アテンダントも楽じゃないよ・・・」
アテンダント?? スッチーなの? この子・・・コンビニじゃないじゃん!
「じゃあ今夜はご馳走さまー。ところで24日はちゃんと予約できてる?」
「えっ?・・・」
何の話だ?? それ・・・
「えー。忘れてるのぉ? グランコート予約するって言ってたじゃん?」
グランコートって・・・ホテルじゃんか!・・・てことは? お泊り??
いよいよ卒業なのか俺・・・
「もちろん予約してあるよ。じゃあ24日楽しみにしてるね」
「私も楽しみ。美味しいワインお土産に買ってくるから二人で飲もうね」
「OK。じゃあ気をつけて・・・」
彼女の後姿を見送りながら、24日の大イベントの事で頭が一杯だった。
「あっ・・・うん・・・・」
「あれっ? どうしたの? 面白くなかったの?」
そう言われて返事に困っていた。ずっと観てたはずだがほとんどストーリーを
憶えていない。
発進のシーンや波動砲を撃つシーンはさすがにちゃんと観ていたが、台詞などはほとんど
耳に入ってこなかった。
「あっ・・あのさー プリクラとか一緒に撮らない?」
「へー・・・珍しいね、剛史がそんな事言うの。いいよ。そこのゲーセンで撮ろうよ」
映画を観ながら考えたアイディアはこれだった。
こうすれば彼女の名前がわかる。二人でモニターの前に立って色々ポーズを決めていた。
「この画像がいいんじゃない?」
「名前とか入力できる? 俺、苦手なんだよね・・・そういうの」
「わかってるよ。 じゃあ・・・えっと・・・これをこうして・・・」
彼女が慣れた手つきでキーボードを操作している。まずは俺の名前を入力・・・
次は彼女のだ・・・三沙子・・・みさこちゃんか・・・大成功!
「あのさー・・・三沙子ちゃん・・・」
ちょっとたどたどしい感じで言うと、彼女は驚いたようにこっちを見つめて言った。
「変なのぉ・・・今日の剛史ちょっと変だよ? 体調でも悪いの?」
「そっ・・・そんな事ないけど・・・」
「三沙子ちゃんだなんて・・・いつもみたいに みっちゃんでいいよー
なんか気持ち悪い・・・」
「ゴメンゴメン・・・みっちゃん晩ご飯は何が食べたい?」
「お寿司がいい! 久しぶりだなぁ・・・」
おいおい・・・寿司ってこの辺に回るとこなんて無いよ?・・・
あっ・・・俺、金持ちなんだっけ? 財布は・・・ズボンのポケットだよな?
触った感じ薄っぺらいみたいだ・・・大した金額は入っていなさそう。
「ちょっとトイレに行ってくる・・・」
あわてて財布の中を調べてみた。札入れには1万円札が7枚入っている。
それにカードが3枚。1枚はブラックだ・・・
「これ・・・使えるんだよな?」
ちょっと疑心暗鬼だったが、現金もあるから何とかなるだろう。
「お待たせ。じゃあ歌舞伎座の隣の寿司屋にしよう」
以前テレビで観た店を思い出したのでそこに行ってみることにした。
楽しいひと時を過ごし、そろそろ終電の時間が近づいてきた。
「これからどうしよう? カラオケでも行く?」
ホントは下心があるんだけど・・・そんな素振りは見せないように彼女に言った。
「ゴメン! 明日ロンドン便なんだぁ・・・もう帰らなくちゃ」
「えっ?ロンドン??」
「そうなの・・・ホントは水曜日のフライト予定だったんだけど・・・
友達が体調が悪いって言ってたんで代わってあげたのよ」
「そっ・・・そうなんだ・・・大変だね」
「うん・・・アテンダントも楽じゃないよ・・・」
アテンダント?? スッチーなの? この子・・・コンビニじゃないじゃん!
「じゃあ今夜はご馳走さまー。ところで24日はちゃんと予約できてる?」
「えっ?・・・」
何の話だ?? それ・・・
「えー。忘れてるのぉ? グランコート予約するって言ってたじゃん?」
グランコートって・・・ホテルじゃんか!・・・てことは? お泊り??
いよいよ卒業なのか俺・・・
「もちろん予約してあるよ。じゃあ24日楽しみにしてるね」
「私も楽しみ。美味しいワインお土産に買ってくるから二人で飲もうね」
「OK。じゃあ気をつけて・・・」
彼女の後姿を見送りながら、24日の大イベントの事で頭が一杯だった。
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