彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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美澄、デートするってよ

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日曜日。

昼前の市内中心部に位置する駅前は、遊びに行くのであろう学生達や日曜日も関係なしにスーツ姿で忙しなく動き回るサラリーマンや通行人、カップルなんかでごった返していた。

今回の待ち合わせ時間は12:00だったが、早めに待っていようと三十分前には着いたのだが。

生徒会長……もう来てるな。

駅前の大時計の下。

服装は白いシャツに重ね着タイプの黒フリルワンピ。

髪型は今日は気分を変えてなのかハーフアップと言うのになっていて可愛らしい感じ。

そんな彼女はこの場所で一際違うオーラを放っており……。

「ねぇねぇ、誰かと待ち合わせ?そんなのより俺らと遊ぼうよ。」

当然の様にナンパされていた。

「う、ウチは人を待ってますから。」

「えー、良いじゃん。

彼女を待たせるような男より俺らの方が絶対良いって!」

しかも女性一人に対して男性が三人がかり。

圧倒的な力の差を見せつけて、相手から拒否権を奪うタチの悪いやり方だ。

「べ、別に彼女って訳じゃ……」

「え、じゃあ友達?

そんなのほっとけば良いじゃん。」

「え、いや……。」

「会長!」

「っ!三澄雄太君!?」

「すいません、もう少し早く来れば良かったですね。」

「あ、いや……ウチが早く来すぎただけだし……。


「さ、早く行きましょ。

俺腹減りました。」

「え、うん。」

「ちょっと待てよ!?

なんなんだよお前!」

ちっ、流れでそのまま連れ出せなかったか。

「なんなんだよって彼女の待ち人の彼氏くんですが?」

「かっ!?」

それを聞いて生徒会長は顔を真っ赤にする。

可愛い。

「いや、待て待て!お前如きが彼女の恋人な訳……!」

「確かにスペックで言うならそうかもだけど、俺はあんたらみたいに相手の話も聞かずに複数で寄ってたかるなんてしない。」

小さな時はそうやって俺一人相手に複数でいじめてくる、なんて状況を何度も経験してきた。

「本当に言いたい事あんなら群れんなボケ。

一人で何も出来ない奴がナンパなんかしてんじぇねぇよ、アホ。」

「み、三澄悠太君ちょっと口悪過ぎない!?」

「そりゃそうだろ。

陰キャは基本群れる奴が嫌いなんだ。」

いつもいつも数に物を言わせやがって。

多数決なんて物があるからどんな暴論も正義になるし、いじめだって無くならないんだろうが。

「て、てめぇ……す、好き放題言いやがって…!」

「男なら誰かの後ろに隠れてないで正面からぶつかってみろよ!」

「ひ、一目惚れしました!俺と付き合ってください!」

「ま、まさ!?」

なんと、ナンパ野郎の一人がガチ告白したのである。

それに他の二人は困惑して、、

「ごめんなさい。」

そして生徒会長、即答である。

そりゃまぁそうだろう……。

「行こっか、会長。」

「あ、うん……。」

フラれはしたけどあの場で告白出来た勇気、嫌いじゃないぞ……。

「ちょ、おい!」

「行こうぜ……コイツを励ましてやんないとだし……。」

「お、おう……そうだな……。」

なんだ案外仲間想いの良いヤツらじゃないか。

もうナンパなんかするんじゃないぞ。

「あ、ありがとう。

助かったわ。」

「いや、待たせたみたいで悪かったよ。」

「だ、だからそれはウチが早く来過ぎたってだけで……」

「どれくらい?」

「その、あなたより10分くらい……? 」

あれ、なんか目が泳いでない?

「……本当は?」

「い、1時間くらい……。」

Oh……なんだかむちゃくちゃ楽しみにしてもらえてたらしい。

「で、行く場所とか決めてる?無いならこっちで決めるけど。」

「へぇ、例えばどんな場所?」

俺の提案に、興味を示してくれる会長。

よし、今こそ俺の中のエスコート力が試される時!

こんな時の為に鍛え上げた俺の実力今こそ見せたらぁぁぁ!

「市内にオシャレで雰囲気のいい居酒屋があるんだよ。

勿論お酌するよ?俺は下戸だから飲めないけど。」

「ウチも未成年だから飲めないけど!?

ってか下戸って何!?あなたも未成年でしょ!?」

あ、そうだった。

すっかり忘れてたわ。

「じゃ、じゃあ行きつけのスナックにでも……。」

「だからなんで行先が一々お酒が飲めるお店なの!?

生徒会長のウチに喧嘩売ってる!?」

「滅相もございません!?」

そうだよな。

未成年だからお酒はダメだよな。

つーかそもそも今昼間じゃん……居酒屋もスナックもまだ大体空いてないよなぁ……。

「うーん...じゃあここは接待ゴルフとかするべきなのかな……?

俺ゴルフはした事ないけどボール拾いなら喜んでさせてもらいますよ!」

「だからなんで一々発想が大人なの!?

生徒会長への接待ゴルフなんて聞いた事無いんだけど!?

それになんでそんなボール拾いを嬉しそうにしてるのかな!?

やっぱり犬だったりするの!?」

俺のエスコート力雑魚すぎて草。

うーん接待対応だけじゃだめかぁ……。

「そもそも今日の目的が勉強会って趣旨忘れてない!?」

そう言えばそうだった……。

「もう良い……。

じゃあスタフロにしましょ。」

あ、なんか呆れられてしまった……。

「って……スタフロ!?」

スターフロンツ。

リア充御用達大手カフェチェーン店である。

「ごめんスタフロに近付くと手荒れが……」

「それただ手が乾燥してるだけじゃない!?

ハンドクリーム塗って!?」

「あーいやなんか拒否反応が……。」

「ただスタフロに近づきたくないだけじゃん!?」

「バレたか……。

そもそも陽キャ御用達のカフェに陰キャが好き好んで行く訳ないだろ。」

「いやいや、あなたもウチから見たら充分陽キャの部類だと思うけど……。」

「ま……? 」

「そんな意外そうな顔をする!?」

「いや、だって俺やぞ?

陰キャオブ陰キャやぞ?」

「陰キャはあんなに癖強い人ばかりに囲まれないと思うけど……。」

それは本当にそう思う……。

そんな訳で、俺と会長はスタフロにやってきた。

店内にはいかにも陽キャな学生達やスーツ姿の男女、家族連れまで多数の人でごった返していた。

「何頼む?」

「じゃあブレンドで。」

「え?ブレンド? 」

え?無いの?大体のカフェならこれで通用すると思ってたのに←俺調べ

「ドリップコーヒーならあるけどそれで良いの?」

「あぁ、うん。」

とりあえずコーヒーを頼んどけば間違いないだろ。

「あ、すいません注文お願いします。」

「はい、どうぞ!」

生徒会長の声かけに、若い女性店員が爽やかな表情で応える。

うっ!眩しい!これが陽キャオーラか...!

「えっと、ドリップコーヒーと、バニラストロベリーホワイトチョコフラッペで。

あ、サイズベンティでいい?」

「ほへ?」

ベンティってなんぞ……?源義経の家来?

それは弁慶か……。

「ベンティは一番大きいサイズだよ。」

小声で教えてくれた。

「じゃ……それで。」

「かしこまりました!」

スターフロンツ……やっぱり異次元である……。




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