彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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金澤志麻

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俺が志麻と出会ったのは、メールバードと言う呟きやメッセージを全ユーザーの中からランダムで送ったり、そこから繋がったユーザーとやり取りしたりみたいな事が出来るSNSアプリだ。

そこで繋がった志麻はなんて言うか強引で、やり取りが何日か続くと電話で話したいと言われた。

付き合おうとなったきっかけはそう、確か初めて電話をするってなった日。

「なんか鼻声じゃない?大丈夫か?」

「うん、ちょっと風邪かも。

熱ある。」

「え、ヤバイじゃん。

なら早く寝た方が...。」

「嫌。

せっかくお話出来たのに。」

「それなら別に今日じゃなくても...。」

「今じゃなきゃ嫌っ!

一人にしないでよぅ...。」

きっと熱が出て心細いのだろう。

そう言う声は実に弱々しかった。

「分かったよ。

でも無理はするなよ?」

「ありがとう!優しいね。」

そう言う声は本当に嬉しそうで、それに俺も嬉しくなってしばらく何気ない話で盛り上がった。

「っと、流石にそろそろ寝た方が良いんじゃないか?」

「やっ!まだ話したい...!」

「明日も電話するって...これ以上してたら本当体に触るぞ?」

「でも...寂しいんだもん。」

「だから明日も...。」

「ねぇ。」

「ん?」

「じゃあ悠太、私と付き合ってよ。」

「え?」

唐突な告白に戸惑う。

「悠太が好き、だからお願い。」

「いや、そんな急に言われても...。」

「嫌なの?」

「嫌と言うか...まだ志麻の事全然知らないし。」

「なら、これから知っていけば良いじゃん。」

「いや...だから...」

「付き合ってくれなきゃ寝ないもん。」

「...分かったよ。」

「ふふふ、これからよろしくね、悠太。」

結局志麻の強引さに折れる形で付き合う事になった。

でもまぁ実際悪い気がしないでもなかった。

初めて異性に真っ直ぐな好意を向けられ、初めて恋人と言う存在が出来ると言う事実に確かに酔いしれていた自分がいたのも事実だった。

それが、あの地獄の様な日々の始まりになるだなんてこの時は夢にも思わなかった訳だが...。

それから彼女と付き合い始めて俺の毎日は大きく変わる事となる。

遠距離と言うのもあり、毎日電話、その後もメール等、彼女とのやり取りはそれこそおはようからおやすみまで彼女の提供でと言わんばかりに続いた。

食事中、入浴中、 睡眠時間等の時間を除いてずっと彼女との通話は続き、通勤までの時間から果ては仕事の昼休憩までも侵食され…。

そんな生活が数週間続けば、当然話題だって尽きるし他にやりたい事も出来てくる。

でも彼女と通話している間に他の事をしよう物なら会話に集中出来ずに文句を言われ、逆に会話に集中すれば他の事が出来ないと言う負のスパイラル。

そしてなんとなく通話をせずにいるとなんで電話をかけてこないのかと言われ…。

流石に話す事無いしと言うと、話す事無かったら電話してくれないんだ、こんなんじゃやっていける気がしない。

と、喧嘩になって結局夜ぐらいまでSNSをブロックされたりと、まぁ酷かった。

今思えばなんでそんな状況でここまで付き合えたのかと思うが、長く付き合っていくと、どこかで意地になっていたんだなと思えてくる。

ここまで我慢して来た物を、自分から終わらせて無駄にする事が嫌だった。

何より、こんな想いも、愛さえあれば変わるかもしれないと思っていた。

でも、終わりは突然やってくる。

1ヶ月が経ち、俺は彼女に会いにいく計画を立てていた。

日取りも決まり、乗る夜行バス等も調べ、万全の準備を整えていた。

でも、その前日に彼女から全てのSNSをまたブロックされたのである。

その時はまた何か怒らせたのかもしれない、時間をおいてまた話そうと思っていた。

なのに、その状況は1週間続いた。

当然夜行バスは予約キャンセル。

キャンセル料もかかったが、依然として彼女からの連絡は無く。

そんな時に俺は、SNSで共通の友達だった熊次郎に衝撃の事実を告げられた。

「お前の彼女、もう彼氏いるよ?」

そんなこんなで俺の束縛生活は唐突な終わりを迎えたのだった。

「うわぁ…。」

話を聞いていたリオが顔を顰める。

「ちなみに言葉だけだと信じれなかったからってそいつのブログを見たら新しい彼氏との写真が山ほど出て来てさ...。

あれは本当にトラウマ。」

「うわぁ…(2回目) 」

「とまぁ、実際には会ってないし一応写真は見せてもらったりしたけど写真と実際じゃやっぱ違うから分からなかったって訳だ。

それだってもう随分前だし、まして今は見た目も若返ってて少し変わってるしな。」

「なるほど。」

「筋肉とかはないけど以外と痩せてるね。」

こうして話をしている間も、彼女はベタベタと俺の体に触ってくる。

「お兄ちゃんから離れて!」

嫌悪感を露わにした日奈美が俺を彼女から引き剥がす。

「悠にぃに気安く触るな~!」

茉里愛が彼女を突き飛ばす。

「いった!ちょっと!邪魔しないでよ!」

突き飛ばされた彼女はヨロヨロと起き上がりながら言う。

「邪魔って!あなたお兄ちゃんを裏切っておいて!」

「だってしょうがないじゃない。

あの時は遠距離で毎日会えなかったんだから。

でも今はこんなに近くで感じる事が出来るんだよ!」

「なら…なんで付き合ったりなんか…。」

震える声で俺は何とかそう言った。

「だって好きになったのは本当だし。」

話にならない。

と言うか狂ってる。

「まぁ、でも普通話したくないよね。

こんな最低クソ女なんて。」

「分かってるなら…!」

日奈美が割って入ろうとするも、リオが手で制す。

「ちょ、何を…。」

「これは悠太さん本人がやる事ですから。」

「っ!?」

「…あぁ、こんな機会でもなければお前なんかと二度と関わりたくなんてなかったよ。」

「ブログの閲覧申請して来た癖に?」

「あれはお前が何も言わずにブロックするからだろうが。」

いや、あれ本当トラウマ。

もう怒りを通り越して恐怖だったもん。

「ね、また付き合お?この世界でならずっと一緒に…!」

少し照れ臭そうに手を握りながらそう言って迫ってくる志麻。

でも俺は、色めき立つ彼女を見て全く真逆な想像をしていた。

もしそうだとしたら辻褄が合う。

コイツの異常性、そしてリオが話していた転生した経緯。

「なぁ…俺を殺したのって、お前なのか…?」

「…何を言ってるの…?」

それに志麻は意味が分からないと言う表情をする。

「殺した?お兄ちゃんを…?」

「悠ちゃん何言ってんだ?」

事情を知ってるリオ以外の覗き組は困惑しているが、構わず続ける。

「この世界で一緒になる為に、現実世界の俺を殺してこの世界に引き込んだのはお前なのか?」

「言ってる意味がよく分からない。」

まさか…違ってたなんて。

普通に最重要参考人だと思ってたのに…。

確信を付いたと思ったのだが、どうやら違うらしい。

じゃあ一体誰が…?

「でもね、あなたを突き飛ばしたのは、確かに私だよ?」

「っ…!?」
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