彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

文字の大きさ
上 下
6 / 105

妹サバイバル

しおりを挟む
「私に会いに来てくださるのは嬉しいですけどぉ。

授業はちゃんと受けなくちゃめっ、ですよ?」

なんて言いながら指先でちょんとおでこを突いてくる千鶴さん。

可愛い。

間違いなくこの世にある何よりも可愛い。

最上級に可愛いのっ!

あ、これフラレるやつだった、、

「はい、受けます!もう全力で受けちゃいます!」

「チョロ。」

なんてぼやきながら顔を顰めるリオ。

ねぇ最初から気になったけどあなた本当に天使ですよね…?

「でもでもぉ、もし体調が悪かったり怪我をした時はいつでも来てくださいねぇ。」

「あ、これ病気かもしれないわ、看病してもらわなきゃ…」

「はいはい、なんとかにつける薬は無いですから…。

行きますよ、悠太さん。」

「あぁ!ご無体な!」

と、そこで千鶴さんは一度俺に近づいて…って近い近い!

ほのかに香るフローラルな香り、掻き分けた髪の先からチラチラと見えてくる綺麗な項や、白衣の下に着ているシャツから覗く首筋と……いやいや……見過ぎたらダメだ……!でも見ちゃう……男の子だもんっ!

「キモっ。」

ゴミを見る目やめてくださいww

もはや天使の目じゃないからw

でも目の前の大天使、いや女神は優しく微笑む。

「学校以外でなら…いつでも待ってますからね?」

そして耳元でそう囁きかけてきた。

「ま、また来ます!」

なんとかそう返す。

でも内心はキャパオーバーである。

これまで千鶴さんの囁きボイスを聞いた事はあるにはある。

でもこんな至近距離でなんてある筈もなく。

あんなの反則だろう……。

顔の辺りが暑くなり、心臓も高鳴る。

「頑張ってくださいねぇ~。」

照れた顔を見られたくなくて目を逸らすも、千鶴さんはさっきと変わらぬ様子で手を振る。

クソぅ……弄ばれてしまった……。

そのままリオに引きずられながら保健室を後にする。

「何怒ってんだよ?」

不機嫌そうに引っ張ってくるリオに声をかけると、一層不機嫌そうに睨みつけてくる。

ひーん怖いよう…。

「もう恋愛はしたくないんでしたっけ?」

何処か吐き捨てるように言うリオ。

「その…なんて言うかさ、千鶴さんはそういうのじゃなくて…。」

「思いっきりデレデレしてましたけどね。」

やっぱりどこか不機嫌そうに言ってくる。

ははぁん、さてはぁ?

「何だ、妬いてんのか?案外可愛いとこあ……「は?」嘘ですごめんなさい…。」

「真面目な話ですよ。

あんな人が傍に居たなら、最初からアタックの一つでもしたら良かったじゃないですか。」

「あー…いや、千鶴さんはさ、確かに凄い魅力的なんだよ。

でも最初は人気だって無かったし、配信を聴きにくる人の数も俺を含めて数人くらいでさ。

でもいつからか凄く人気が出始めて……俺なんかよりずっと応援してる人に囲まれて……気が付いたらどんどん手の届かない所に行ってしまったんだ。

元々俺は一ファンでしかないし、実際物理的にも結構な距離だったりして…大好きだけど絶対
手が届かない存在だって分かってるって言うか…。

なんだろうな。

アイドルみたいなもんなんだ、俺の中であの人は。」

「でも今は目の前にいるじゃないですか。」

「そ……そう、だけど。」

「そもそも本当に好きなら身の丈とか住んでる場所なんて気にせずに突っ走れば良いじゃないですか。」

「そう出来れば良かったんだけどな。

結局俺は怖いんだよ。

遠くに居ても、手が届かなくても良い。

ただ彼女と言う存在を失うのが。」 

実際付き合えたら幸せだろう。

彼女の声を毎日すぐ傍で聞いて居られるなんて状況 、合法の大麻と言っていい。

でも実際本当に欲しいと思える物はいつだって手が届かない所にある。

そもそも手を伸ばす権利さえ与えられずに終わった神田旭のように、何処かで俺はそれを当たり前として受け入れてきた。

こうだったら良かったのに、なんて結局そんなの自己満足でしかない。

結局俺はそんな自己満足ばかり気にして、自分から状況を変える為の何かをしようとはしなかった。

「お前の言う通りだよ。

それが出来てたら多分こうはなってなかった。」

「そ、そんなに落ち込まないでくださいよ…。

別にそんな落ち込ませるつもりで言った訳では…。」

「悠にぃ!」

と、そこで急に背後から誰かが抱きついてくる。

「のわっ!?って、まさか、まりちゃん!?」

「悠にぃ~会いたかったよ~。」

そんな事を言いながら頬ずりして来るのは、松野茉里愛。

Uthtuberで数少ない俺を最推しと読んで推し続けてくれている女の子である。

身長は小柄でストレートの黒髪ヘアをセンターで分けている。

童顔も相成って、凄まじい妹力(?)を放っている。

それにしてもほっぺ柔らかいのね...。

あ、これ癖になりそう……。

「悠…にい?」

そこで、ふと背後から底知れぬ冷気が伝わってきた。

夏なのに冷気!?と恐る恐る振り向くと、そこには俺と茉里愛ちゃんの様子を冷めた目で見つめる日奈美の姿があった。

「ひ、ひーちゃん…?」

「お兄ちゃん、私と言う妹がいながら他に妹がいたんだね?」

「あ、いや…これは…。」

「悠にぃは今まりが愛でてるんだもん。

だから渡さないよ~。」

俺を抱きしめる力を強める茉里愛。

てか、何がとは言わないけど当たってるから! 

あ、でももうちょっとだけお願いします。

「キモっ。」

だから君本当に天使!?素直過ぎない!?

「そりゃ天使でもキモい物はキモいって言いますよ。」

当然の事のように答えるリオ。

そんなの知りたくなかった、、

「お兄ちゃん、これ、浮気だよね?」

と、ここで日奈美が突如俺に詰め寄ってくる。

「え、浮気?」

「浮気……だよね?」

「はいっ!」

「弱っ…。」

リオが呆れ顔で言ってくる。

だって圧が凄いんだもの…。

「ちょっと!離れてよ!

お兄ちゃんは私の!お兄ちゃんなんだから!!」

可愛らしく頬を膨らませ、拗ねた表情で俺の腕を引っ張る日奈美。

リアルでそんな顔するやついるんだ……。

でもひーちゃんがしたら怒ってるって分かってても可愛い……。

「そうだよね?」

「はいっ!?」

やっぱり怖い!

「む~悠にぃはまりの悠にぃだから~!」

対して茉里愛は可愛いらしく舌を出してあっかんべーのポーズ。

これもリアルにやる人居たのか……。

でも可愛いから許す!

「そうだよね?悠にぃ。」

「はいっ!僕はまりちゃんの物ですっ!」

「は?」

「ひぃっ!?嘘ですごめんなさい!?」

ふぇぇん...ひーちゃんが怖いよぅ...。

左に日奈美、右に茉里愛。

二人がそれぞれの腕にしがみつく形で俺を奪い合う。

え、これ本当どう言う状況?

「私はお兄ちゃんと一つ屋根の下で暮らしてるし、 長年積み重ねた物があるんだから!」

日奈美が一度自分の方に俺を引き寄せると、今度は茉里愛が俺を自分の方に引き寄せる。

「こう言うのは量より質だと思うよ~。

まりは悠にぃの事大好きだし、その想いは誰にも負けないもん。」

あれれー?こう言うのどっかで見た事あるぞー?

でも嘘みたいだろ?二人、妹なんだぜ。

「は?私は時間だけで質が悪いって言いたいわけ!?」

また日奈美が引き寄せる。

と言うか二人とも……なんか力強くないっ!?痛い痛い!

「事実だもん~。」

そのまま言い合いと引き合いは続く。

「言っとくけど!私のお兄ちゃんへの想いは質だってぽっと出のあなたになんか負けてないんだから!」

「あのー…俺の事で争うのは…と言うか普通に痛……「「お兄ちゃん(悠にい)は黙ってて!」はいっ!」

「私は一体何を見せられてるんですか…。」
 
頭を抱えるリオ。 

そう思うだろう、俺もそう思う。

怖いから言わないけどw
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。 兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。 リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。 三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、 「なんだ。帰ってきたんだ」 と、嫌悪な様子で接するのだった。

隣の家の幼馴染は学園一の美少女だが、ぼっちの僕が好きらしい

四乃森ゆいな
ライト文芸
『この感情は、幼馴染としての感情か。それとも……親友以上の感情だろうか──。』  孤独な読書家《凪宮晴斗》には、いわゆる『幼馴染』という者が存在する。それが、クラスは愚か学校中からも注目を集める才色兼備の美少女《一之瀬渚》である。  しかし、学校での直接的な接触は無く、あってもメッセージのやり取りのみ。せいぜい、誰もいなくなった教室で一緒に勉強するか読書をするぐらいだった。  ところが今年の春休み──晴斗は渚から……、 「──私、ハル君のことが好きなの!」と、告白をされてしまう。  この告白を機に、二人の関係性に変化が起き始めることとなる。  他愛のないメッセージのやり取り、部室でのお昼、放課後の教室。そして、お泊まり。今までにも送ってきた『いつもの日常』が、少しずつ〝特別〟なものへと変わっていく。  だが幼馴染からの僅かな関係の変化に、晴斗達は戸惑うばかり……。  更には過去のトラウマが引っかかり、相手には迷惑をかけまいと中々本音を言い出せず、悩みが生まれてしまい──。  親友以上恋人未満。  これはそんな曖昧な関係性の幼馴染たちが、本当の恋人となるまでの“一年間”を描く青春ラブコメである。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...