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宴の招待状
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―皆様のご参加、心よりお待ち申しております―…
「って…本当にこれ歓迎してるのかなぁ」
でかでかと十字架の描かれた紙…その上部には『ドラクリア伯爵様』と記されている。
本日は10月29日。
今宵もまた彼等の時間がやって来た。
「いいから書きなさい弟。あと1枚」
「…その呼び方やめて下さい…姉さん」
本日のお仕事1『招待状作り』
小さな部屋に黒衣の男女が2人。机に向い合う彼等は魔女様に仕える黒猫の姉弟。実はつい先日、衝撃の再会を果たしたばかりの2人だった。
「なら何て呼ぶのよ」
「あるじゃないですか名前が!!」
見ての通り、あまり感動の再会とはいかなかったようだが。
「人間につけられた名なんて捨てなさい。貴方は魔族の猫よ」
「…生まれてすぐに捨てられた自分に、魔界の名なんてありませんよ。俺にはあの家が実家です」
「……」
異様な沈黙。
この、陽気な小説に似つかわしくない冷たい空気が漂う。だが…
「母様は貴方を捨てたわけじゃない…うっかり下界へ落としたの」
「いやもっと質悪いしそれ!!」
あっという間にそれはいつもの展開に戻る。よくある、レナードがめそめそと泣くこの展開だ。
「なら探しに来てくれたら…」
「うちは家族が多いのよ…1匹や2匹減った所で誰も気付かないわ」
「何だそれー!!!」
この、冷たい事実をさらりと口にする性格…誰かに似ている。
「ちょっと何してるのー!?主様のお帰りよ出迎えくらいなさいな猫弟!」
そう、この人に。
「すっすみませんっおかえりなさいませ!…って何で俺だけ…」
「なぁに?レナちゃん言いたい事があるならはっきり言いましょうね?」
「…何でもありません」
相変わらず弱い執事…メイドが来た所で何も変わりはしない。むしろ、悪化?
「おかえりなさいませエルフィーリア様」
「ただいまソラーリエ。見て!夕飯の食材を手に入れたわ!」
「食材でございますか?どちらに…」
と猫姉の言葉はそこまでで、何者かの声によってかき消された。
『ゥモーゥ…』
使用人2人、しばし沈黙。
そして数秒後
「牛ぃぃい!!?」
沈黙を破り答えを出したのはレナードだった。
「そうよ牛!」
「生きてるっどこで手に入れてきたんですか!?」
「どこって…駅前」
「はぁ!?」
魔女様はゴーイング・マイ・ウェイ。そうとは解っていても、信じ難い事をしてくれる。
「駅前でチャラチャラした牛に声かけられて、一緒に夕飯でもどう?とか言われたから連れて来たの。今夜は良い夕飯になりそうね~」
「いやいやそれ人間を牛に置き換えてませんか!?『チャラチャラした男に声かけられてうざかったから牛に変えてやった』!違いますか!?エリさん!!」
「……ソンナ事しテないヨ」
「……言葉片言になってますよ」
さすが、7年の執事歴。察しが早い。こういう事態ならば彼女にも一言言ってやらなければならない。
レナードは、主にも関わらず容赦なく彼女を叱り付けた。
「街中で魔法を使ったんですか!?誰かに見られてたらどうする気ですか!!!!」
「うっさいわ猫!!どこで何に魔法使おうが魔女様の勝手!!お前は母か!私の母親気取りかー!!」
だがもちろん彼女が素直に謝るはずなどない。
「…当たりですか」
「レナードのバーカバーカ!」
心の底から溜め息が出るレナード。それを、よく解ったわね…と言う目で見つめる姉ソラーリエ。こう見ると、なかなかレナードも強いのかもしれない…。
「とにかく夕飯にしましょ!レナードよろしく!」
「…さばけと!コレをさばけと言いますか!!元は人間だと解っているのに!…嫌ですよ。無駄な殺生は嫌いですから」
「無駄!?何よそいつはこの私に近付いた野蛮な虫よ!?これは私を不快にさせた罰よ!ねぇソラーリエ!!」
「はいエルフィーリア様!そやつは女の敵です!!即刻駆除せねば!」
「こらー!!とにかくこの人は帰します!!記憶も消せば何事もなく修まります!!」
「えー!!夕飯ー!!」
「夕飯なら私が何とかしますよ!!」
そうして数分後。
泣く泣く食材を手放した魔女様は、むっすりと頬を膨らませソファーに転がっていた。
「…エリさん、仕方ありませんよ。人間はそう簡単に食べちゃいけません」
「…何よぉ子供扱いするなたかが生後20年足らずの若造が」
「エリさん…」
「あーぁせっかくの肉が…今日は肉が食べたい気分だったのに…」
ぶつぶつと呟き不貞腐れる主に、レナードはもう一つ大きな溜め息をついた。
「じゃあ…今日の夕飯は肉料理にしましょう」
「…焼肉」
「…ええそうですね、焼肉でいかがですか?」
「のったー!!」
と、そんなこんなでようやく魔女様のご機嫌は復活。彼女のご機嫌とりも、執事の重要な役目です。
「よしさっそく買い物行ってこーい!」
「その前にまだ招待状が…」
「そんなもん後!」
「はい!?もうパーティーは明後日ですよ!?早く郵便に出さないと…」
「郵便?馬鹿ねもう間に合うわけないじゃない。アンタが後で直々に配って回るのよ」
「えぇー!!」
もちろん、毎度お馴染み、魔女様のお使いを頼まれるのも重要な役目です。レナードには当然断れるはずもなく…しぶしぶ頭を縦に振るしかない。
「残りはソラーリエが書いてくれるわね?」
「お任せ下さい」
それでは、ここで本日の次なるお仕事発表です。
「買い物して帰ったら焼肉の用意!私とソラーリエは夕飯にするから、レナードは次に招待状配りね」
「かしこまりまし…って、あの…自分の夕飯は…」
「いいから早く行けー!」
「解りました行って参りますー!!」
相変わらずこの展開が好きな魔女様。レナードはめそめそと泣きながら部屋を後にした。
が、それを見送るのだろうか、ソラーリエが彼の後を追って玄関までやって来た。
「…弟。一つ引っ掛かった事、言わせてもらうわ」
いや、見送りではないようだ。
「…何でしょう」
「人間を食す事。魔界では普通の事よ?人間は私達魔族より格下なの。覚えておきなさい」
魔界での階級差。
お姉様からの有り難きお説教だ。だが…人間界で育ったレナードには黙っておける言葉ではなかった。
「…姉さん、ここは人間界です。我々の方が招かれざる客なんです。ここで魔界の常識は通用しませんよ」
「…貴方は人間界で長い時間を過ごしすぎたのね。問題だわ」
またしても流れる冷たい空気。エルフィーリアはそっと、部屋の中からそれを聞いていた。そして、どちらにとも言えず小さく…
「…そうね」
と頷いた。
だが、彼女は深刻な空気が嫌い。次には立上がり、2人の冷気を振り払うためズカズカと玄関へやって来た。
「レナード!ちゃんとドラクリア伯爵の招待状にはニンニクと十字架の絵を描いた?」
「えっあ、はい…描きましたけど…」
「よし!じゃあ行け!」
「えぇっそれだけですか!?」
「早く行け夕飯抜きよ!?」
「あーはいっ行って参りますー!!」
噛み合わない黒猫姉弟とその主様。
果たして、次はいかなる夜を見せてくれるのだろうか―…
「エルフィーリア様、この招待状、本当にこのままでよろしいので…?」
「ああ、私あの伯爵嫌いなの」
嫌いなら招待しなければいいのに…
魔女様は究極の見栄王なのでした。
[宴の招待状 終]
あとがき。
この話に出てきた郵便とは、魔界の郵便屋さんです。
さて、次回はハロウィンパーティーです!
「って…本当にこれ歓迎してるのかなぁ」
でかでかと十字架の描かれた紙…その上部には『ドラクリア伯爵様』と記されている。
本日は10月29日。
今宵もまた彼等の時間がやって来た。
「いいから書きなさい弟。あと1枚」
「…その呼び方やめて下さい…姉さん」
本日のお仕事1『招待状作り』
小さな部屋に黒衣の男女が2人。机に向い合う彼等は魔女様に仕える黒猫の姉弟。実はつい先日、衝撃の再会を果たしたばかりの2人だった。
「なら何て呼ぶのよ」
「あるじゃないですか名前が!!」
見ての通り、あまり感動の再会とはいかなかったようだが。
「人間につけられた名なんて捨てなさい。貴方は魔族の猫よ」
「…生まれてすぐに捨てられた自分に、魔界の名なんてありませんよ。俺にはあの家が実家です」
「……」
異様な沈黙。
この、陽気な小説に似つかわしくない冷たい空気が漂う。だが…
「母様は貴方を捨てたわけじゃない…うっかり下界へ落としたの」
「いやもっと質悪いしそれ!!」
あっという間にそれはいつもの展開に戻る。よくある、レナードがめそめそと泣くこの展開だ。
「なら探しに来てくれたら…」
「うちは家族が多いのよ…1匹や2匹減った所で誰も気付かないわ」
「何だそれー!!!」
この、冷たい事実をさらりと口にする性格…誰かに似ている。
「ちょっと何してるのー!?主様のお帰りよ出迎えくらいなさいな猫弟!」
そう、この人に。
「すっすみませんっおかえりなさいませ!…って何で俺だけ…」
「なぁに?レナちゃん言いたい事があるならはっきり言いましょうね?」
「…何でもありません」
相変わらず弱い執事…メイドが来た所で何も変わりはしない。むしろ、悪化?
「おかえりなさいませエルフィーリア様」
「ただいまソラーリエ。見て!夕飯の食材を手に入れたわ!」
「食材でございますか?どちらに…」
と猫姉の言葉はそこまでで、何者かの声によってかき消された。
『ゥモーゥ…』
使用人2人、しばし沈黙。
そして数秒後
「牛ぃぃい!!?」
沈黙を破り答えを出したのはレナードだった。
「そうよ牛!」
「生きてるっどこで手に入れてきたんですか!?」
「どこって…駅前」
「はぁ!?」
魔女様はゴーイング・マイ・ウェイ。そうとは解っていても、信じ難い事をしてくれる。
「駅前でチャラチャラした牛に声かけられて、一緒に夕飯でもどう?とか言われたから連れて来たの。今夜は良い夕飯になりそうね~」
「いやいやそれ人間を牛に置き換えてませんか!?『チャラチャラした男に声かけられてうざかったから牛に変えてやった』!違いますか!?エリさん!!」
「……ソンナ事しテないヨ」
「……言葉片言になってますよ」
さすが、7年の執事歴。察しが早い。こういう事態ならば彼女にも一言言ってやらなければならない。
レナードは、主にも関わらず容赦なく彼女を叱り付けた。
「街中で魔法を使ったんですか!?誰かに見られてたらどうする気ですか!!!!」
「うっさいわ猫!!どこで何に魔法使おうが魔女様の勝手!!お前は母か!私の母親気取りかー!!」
だがもちろん彼女が素直に謝るはずなどない。
「…当たりですか」
「レナードのバーカバーカ!」
心の底から溜め息が出るレナード。それを、よく解ったわね…と言う目で見つめる姉ソラーリエ。こう見ると、なかなかレナードも強いのかもしれない…。
「とにかく夕飯にしましょ!レナードよろしく!」
「…さばけと!コレをさばけと言いますか!!元は人間だと解っているのに!…嫌ですよ。無駄な殺生は嫌いですから」
「無駄!?何よそいつはこの私に近付いた野蛮な虫よ!?これは私を不快にさせた罰よ!ねぇソラーリエ!!」
「はいエルフィーリア様!そやつは女の敵です!!即刻駆除せねば!」
「こらー!!とにかくこの人は帰します!!記憶も消せば何事もなく修まります!!」
「えー!!夕飯ー!!」
「夕飯なら私が何とかしますよ!!」
そうして数分後。
泣く泣く食材を手放した魔女様は、むっすりと頬を膨らませソファーに転がっていた。
「…エリさん、仕方ありませんよ。人間はそう簡単に食べちゃいけません」
「…何よぉ子供扱いするなたかが生後20年足らずの若造が」
「エリさん…」
「あーぁせっかくの肉が…今日は肉が食べたい気分だったのに…」
ぶつぶつと呟き不貞腐れる主に、レナードはもう一つ大きな溜め息をついた。
「じゃあ…今日の夕飯は肉料理にしましょう」
「…焼肉」
「…ええそうですね、焼肉でいかがですか?」
「のったー!!」
と、そんなこんなでようやく魔女様のご機嫌は復活。彼女のご機嫌とりも、執事の重要な役目です。
「よしさっそく買い物行ってこーい!」
「その前にまだ招待状が…」
「そんなもん後!」
「はい!?もうパーティーは明後日ですよ!?早く郵便に出さないと…」
「郵便?馬鹿ねもう間に合うわけないじゃない。アンタが後で直々に配って回るのよ」
「えぇー!!」
もちろん、毎度お馴染み、魔女様のお使いを頼まれるのも重要な役目です。レナードには当然断れるはずもなく…しぶしぶ頭を縦に振るしかない。
「残りはソラーリエが書いてくれるわね?」
「お任せ下さい」
それでは、ここで本日の次なるお仕事発表です。
「買い物して帰ったら焼肉の用意!私とソラーリエは夕飯にするから、レナードは次に招待状配りね」
「かしこまりまし…って、あの…自分の夕飯は…」
「いいから早く行けー!」
「解りました行って参りますー!!」
相変わらずこの展開が好きな魔女様。レナードはめそめそと泣きながら部屋を後にした。
が、それを見送るのだろうか、ソラーリエが彼の後を追って玄関までやって来た。
「…弟。一つ引っ掛かった事、言わせてもらうわ」
いや、見送りではないようだ。
「…何でしょう」
「人間を食す事。魔界では普通の事よ?人間は私達魔族より格下なの。覚えておきなさい」
魔界での階級差。
お姉様からの有り難きお説教だ。だが…人間界で育ったレナードには黙っておける言葉ではなかった。
「…姉さん、ここは人間界です。我々の方が招かれざる客なんです。ここで魔界の常識は通用しませんよ」
「…貴方は人間界で長い時間を過ごしすぎたのね。問題だわ」
またしても流れる冷たい空気。エルフィーリアはそっと、部屋の中からそれを聞いていた。そして、どちらにとも言えず小さく…
「…そうね」
と頷いた。
だが、彼女は深刻な空気が嫌い。次には立上がり、2人の冷気を振り払うためズカズカと玄関へやって来た。
「レナード!ちゃんとドラクリア伯爵の招待状にはニンニクと十字架の絵を描いた?」
「えっあ、はい…描きましたけど…」
「よし!じゃあ行け!」
「えぇっそれだけですか!?」
「早く行け夕飯抜きよ!?」
「あーはいっ行って参りますー!!」
噛み合わない黒猫姉弟とその主様。
果たして、次はいかなる夜を見せてくれるのだろうか―…
「エルフィーリア様、この招待状、本当にこのままでよろしいので…?」
「ああ、私あの伯爵嫌いなの」
嫌いなら招待しなければいいのに…
魔女様は究極の見栄王なのでした。
[宴の招待状 終]
あとがき。
この話に出てきた郵便とは、魔界の郵便屋さんです。
さて、次回はハロウィンパーティーです!
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