Blood Of Universe

さがみ十夜

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毒舌王と生真面目な騎士様

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戦闘母艦ライトニングストーム内、
オペレーションルーム。

通信チームの主な仕事場となるこの部屋では、昼夜時間を問わず特務隊司令部からの通信を確認している。

宇宙空間にて戦闘中、巡視中は各戦闘機との通信役となりチームメンバーは各自数機ずつ、戦闘チームと補佐チームの機体のサポートを任され、常にその機体の動きを追い、指示を出す司令塔となる。

また、ライトニングストーム周辺の状況にも常に警戒し、僅かな異変にも素早く気が付かなくてはならない。
操縦チームが艦の手足であるならば、通信チームは艦の目となり、耳となる。

基本的に非戦闘要員とされる通信チームだが、彼等の指示やサポートが、戦闘チームや補佐チーム、そしてライトニングストームの動きに大きく影響するため、瞬時に状況を見分ける判断力と戦闘基礎知識も必要とされている。

中でも、浅葱は通信チーム特有の呼び方である【オペレーションチーフ】と呼ばれ、通信チームのリーダーであり戦闘チームにも所属している。
通信チームの仕事をこなしつつ時には戦闘にも参戦し、そしてその知識や技術を生かし戦闘機の各種プログラム開発も手がけており、整備チームの仕事にも大きく貢献している。

そう、一言で、大変多才で有能な人材であると言える。
だが欠点を言うとすれば、誰もが口を揃えてこう言うのだ。

『彼は、性格に難あり』と。

そして、そんな彼の下で奮闘する【オペレーションサブチーフ】の彼もまた、あれで、才能を秘めた有能な人材なのであるがー…。





  Chapter.11:
            毒舌王と生真面目な騎士様 





「あ、おはよ~もえちゃん」
「お…おはようございます」

仕事場へ戻ると、萌葱は相変わらず人を挑発するような態度で出迎えられた。

挨拶をされているのに、何故か妙に脅されているような気持ちになるのはいつもの事だ。

「浅葱さん……すいません」
「え?何が~?」

思わず謝罪の言葉が口をついて出る。これもいつもの事。
対する相手…浅葱は自席に座ったまま気怠そうな様子で、肘掛に頬杖をついてこちらを見ていた。

「えっと…」

生活チームに強制連行される程、自分で自分の体調管理をちゃんと出来ていなかった事には反省している。
だが、何が悪かったのか言ってみろ、と言われているような問いかけに、何か他にも謝罪要素はなかっただろうかと悩み、考えているうちに

「で、よく寝れた?」
「えっ…あ、はい!もう大丈夫です!ありがとうございます!」

浅葱からの言葉に先を越され、結局タイミングを逃してしまった。

だが、萌葱の元気ある返答に
ふと一瞬だけ、浅葱が微笑んだような気がしたが…

「はい、じゃー以後気をつけるように。生活チームに目ぇつけられるとか色々面倒だから二度としないで。俺がどれだけくどくど説教されたか分かる?パナシェ怒るとマジで面倒くさいから本気でやめて。次やらかしそうになったらこの俺が強制連行して優しく寝かしつけてやるから覚悟しとけよ。解った?解ったらはい、返事ー」

…気のせい、だろう。
淡々と放たれる言葉の節々に脅迫にも似た圧がかけられていて、やはり彼は萌葱にとって"鬼上司"以外の何者でもなかった。

「は、はい!すいません!気をつけます…!!」

浅葱に強制連行されるだなんて…考えただけでも恐ろしい。果たして"優しく"という言葉にこれ程までに恐怖が宿る事があるだろうか…。

しかしながら、この浅葱が相手であってもあのパナシェという人は容赦なく説教をするのかと思うと、実は彼女は隠れた大ボスなのではないだろうか。生活チームという存在は陰の支配者なのではないか…と、不意に『私達はず~っと見てますからね~?』と言った彼女の言葉に、萌葱は再び鳥肌が立つのを感じた。

「で?生活チームだけじゃなく、紅蓮姉さんからの洗礼も受けたって?ご感想は」
「え…?」

そして気が付くと、一通り萌葱への文句をつけ終わり満足したのか、浅葱はまたにやりと挑発的な笑みを浮かべていた。何のことだかすぐには分からなかった萌葱が目を丸くしていると

「まぁ変態でも美人は美人なんだから黙って受け入れとけばいいじゃん。お前だって別に悪い気はしなかったんじゃない?」
「え……はい!!?」

更に続いた挑発に、ようやく意味を理解した萌葱は急激に体温が上昇するのを感じた。

「な、何言ってるんですか!!あ、浅葱さん!!ど、どこまで知ってるんですか!!?」

あのリフレッシュルームでの一件を思い出し、萌葱は再び全身から汗が噴き出した。
顔を真っ赤に紅潮させて今にも飛びかかってきそうな剣幕のその様子は、当然ながら浅葱を盛大に喜ばせた。

「あはは!必死すぎてウケる!!どこまでって?こっちが聞きたいんだけど!どこまでされたんだよ!純情少年かよ!!」

軽い(?)挑発にここまで乗ってきてくれるのだから、これがまた浅葱にとっては最高に面白くて仕方がないのだ。

「もー!!からかうのやめてくださいよー!!相手はあの紅蓮さんですよ!!!?」
「あ、なに?姉さんじゃなかったら良かったわけ?」
「ち、違いますよ!!そういう事じゃなくて…!!」
「え~どういう事~?よくわかんな~い」
「じゃあ浅葱さんは紅蓮さんに何をされても平気なんですか!!?」
「え?ま~程度によるよね」
「え!!程度によってはいいんですか!!?」
「まああの人のボディタッチはもはや手癖だからいちいち気にしてられないし」
「酷い手癖ですね…!!」
「あれ挨拶代わりだから。慣れるしかないぞ~頑張れよ新人クン♪一線を越えたらお祝いしてあげよう!」
「やめてください!!!!」

そうやって、薄暗いオペレーションルームの中に賑やかな声が響く。それを端から見ている他の通信チーム員達は…

「浅葱チーフ、最近楽しそうだよな」
「萌葱さんって本当面白いよね」
「これはしばらく飽きなそうで良かった」
「もうすっかり仲良しね」

等と、弄り倒されている萌葱を憐れむどころか、大変楽しそうなボスの姿に満足の様子で微笑んでいた。残念ながらここに、萌葱を助けてくれる手は1つも無さそうだ。

「分かった、1つ助言な。紅蓮姉さんに遭遇したらとりあえず白夜の後ろに隠れときな」
「え、でもそれって」
「ま、当然姉さんはガチギレするけどね」
「余計怖いじゃないですか!!」
「でも代わりに白夜が全力で守ってくれるぞ」
「う…!それは…頼もしいですけど…」

唯一の希望は白夜である、ということが解ったが、残念ながら萌葱はまだ白夜という人物をあまりよく知ってはいなかった。彼がとても"いいひと"であるという事はここ数週間で解って来てはいるものの、口数が少ない事、そしてあの外見から少々取っ付きづらく近寄り難い存在である事に変わりはなかった。

「白夜さんとはまだあまり話をした事がないんです…」
「え、何で?ビビる事ないって最初に言ったろ?」
「いや、そうは言いますけど…」

ここ戦艦班に所属している隊員達は皆、癖はあれど普段はわりと笑っている事が多い中、白夜だけはこれまでで一度として笑顔を見た事がない。
怒っているわけではないとは解っていても、どうも声を掛けづらいのが当然の事だ。

これだけ毎日恐怖を感じている浅葱相手でも日常会話は出来ている萌葱だが、白夜が相手となるとどこか腰が引けてしまうのだった。

「やっぱり、少し怖いんですよね…顔とか」

そして、本音を呟いた、その時

「だってよ白夜!お前怖いって!!顔が!!!」
「えぇ!?」

突然、浅葱が声量を上げた。
萌葱の横からひょっこりと顔を出し、背後を見つめているようだ。そして萌葱はここで初めて背後の気配に気が付いた。

「!!白夜さん…!!!」

振り返ると、数歩程下がった辺りに、あの巨体が立っていた。

一体いつからそこに居たのか。
浅葱は一体いつからその存在に気が付いていたのか。
気付いていたのなら先に言ってくれていたら良かったものを…いや、彼は初めから解っていて、面白がっていたに違いない。そう、絶対に。

「白夜さん、あの…!」
「……」
「あ~可哀想、白夜ショック受けてる~。萌と仲良くしたいって言ってたのにね~」
「え!!いや!あの!違うんです…!!」

確かに、白夜は僅かに視線を落とし、心做しか落ち込んでいるように見えた。浅葱の追い討ちが痛すぎて、萌葱はただ焦って首と両手を横に振り続けるしか出来なかった。

「顔が駄目ってもう救いようがないじゃん。白夜お前顔変えてこないと仲良くしてもらえないって。哀しいね」
「ちょっと浅葱さん…!!」

そして相変わらず、浅葱は挑発が過ぎる。

「白夜の奴どうせあれだろ、リーダーに言われてしばらく萌の"変態避け"任せられたんだ」
「え!!そ、そうなんですか!?って、え!?ていうか何ですかそれ!?」

"変態避け"とは、言わずもがな、萌葱接触禁止令の出された変態…紅蓮が、萌葱に接触しないようガードをする役目の事であると、その場の誰もが理解していた。色々とプチパニックを起こしている萌葱本人を除いて、だが。

「だからぁ~、か弱いお姫様を(セクハラ)大魔王から守ってくれる頼もしい騎士様って事だよ。良かったな~萌姫」
「え!?はい!?」

そう、言い回しはどうであれ…そんな任務を任されたが故に、白夜はただ生真面目に、程よく数歩下がった辺りで静かに萌葱を見守っていたのだ。

「あの…白夜さん…ず、ずっと後ろに…?」

全く気配を感じなかったとは、恐るべし。
紅蓮と同様、気配を消す達人なのか、それとも萌葱がただ単に鈍感なだけなのか…。
何にせよどこへ行くにも黙って背後に付かれているなど、居心地が悪い事この上ない。
しかしボディガードとしてはこれ程までに頼もしい人材は他に居ない。

「でもずっとデカイのがそこに立ってられるとうざいんだよね~萌連れてっていいからどっか行ってくれる?」

だが、浅葱は辛辣だった。

「浅葱さん…!」

また、僅かに白夜の表情が曇ったように見えた萌葱が1人で慌てるが、浅葱は何も気にする事無く平常運転だ。

「2人でどっか巡回にでも行って来たら~?萌なんて居なくてもこっちは問題ないし。むしろ邪魔~」
「あ、相変わらず酷い…!」

現在、来る日のため地上に艦を下ろし、ひっそりと身を潜めている戦艦班としては、通常よりもできる事は限られている。
司令部からの出動要請があれば動くのは当然のことだが、今は聖誕祭に向けての準備が最重要とされているため、戦艦班への要請は限りなく少ない。

とは言うものの、操縦チームや補佐チーム、そして戦闘チームの面々は毎日交代でフォメロス内部の巡回、小型巡視船を使った惑星周辺の調査などを主に行っている。
医療チーム、生活チーム、整備チームはそれぞれが必要な物資の調達と機械の微調整。通信チームは司令部との通信と、外部からの不審な電波や動きに目を光らせている。
浅葱に至ってはライトニングストーム本体と各戦闘機のシステム調整にも携わっており、加えて新人の教育まで任されているため相変わらず多忙だ。

「…あの、浅葱さんこそ、少し休んで来て下さい」

萌葱は意を決して、そう声をかけた。

「は?なに?新人に忠告される程俺が自分の体調管理できてないとでも思ってる?お前と一緒にするなよ」

当然、あっさりと否定される事も解ってはいたが。

「いえ、そういう意味じゃなくて…!」
「余計な事考えんなよ、新人が」

紅蓮が言うには、浅葱は問題なく自分のペースで仮眠をとっているとのことだったが…
ここまでひたすら彼を追いかけ、傍らでその仕事ぶりを見て学んできている萌葱からすると、職務中に程よく手を抜いている事も知ってはいたが、彼が休息らしい休息をとっている瞬間など、見た事がなかった。

「ここにはお前に任せられる仕事なんてまだないから。余計な事考えてる暇あったらまずは他のチームの様子でも見て勉強して来いよ」

彼の言う事もご尤もだ。
確かにそう、なのだが…。

「…そうですね」

萌葱は小さく呟き、下を向いた。

しかし



「浅葱……萌は、心配してくれてる」



それは、思わぬところからだった。
萌葱が驚いて振り向くと、見上げる程に大きなその影が、すぐ目の前に立っていた。

「はー?だから、新人に心配される筋合いないって言ってんのー」
「浅葱……」

そしてその人は、静かに浅葱へ歩み寄ると、

「……あのさぁ…」

その頭を、そっと撫でた。
よしよし、と、駄々をこねる子供をあやす様に、それはもう優しく、撫でていた。

浅葱は黙ったまま何か言いたそうに深い溜息をついていたが

「…ここは、俺がいる」

呟かれた一言に、全てを理解した。

「……ああそう…成程そういう事ね。…リーダーめ」

観念したように、もう一度深い溜息をついて、浅葱は両手を上げた。

彼…白夜を萌葱に付かせたのは黒耀だ。

当然、萌葱を守る事が目的ではあるが、萌葱を見守るようにと告げる事で、白夜がここへ来る事は解っていた。
生真面目な彼は、再び黒耀がいいと言うまで、萌葱の傍を離れる事はないだろう。
無論、傍にいる以上、面倒見の良い彼が萌葱の手助けをしてくれるであろう事も解っていた。
萌葱の手助けをするという事は、浅葱を助ける事に繋がるであろう事も。
浅葱が、萌葱1人に仕事を任せる事を良しとしないのならば、もう1人、信頼のおける人物を派遣すれば……。

「あーもう、はいはい。解った解った。解ったから、頭撫でるのやめてくれるー?」

全てが黒耀の手の内だった事に気が付いた浅葱は、やれやれと鬱陶しそうに白夜の手を振り払い立ち上がった。

「……じゃ、後たのむわ」

そして、白夜の腕をぽんと叩き、チームのメンバー達にひらひらと後ろ手を振った。

「新人、しっかり働けよ」

最後に、そうやって一言、言い残して。

「はい!!頑張ります!!!」

そこへ、元気いっぱいの大変良い返事が響く。

チームの皆が『行ってらっしゃいませチーフ!』とそれに続いたのを耳に、浅葱は部屋を後にした……。







To be continue……
************************


ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございます。

まだまだ人物や組織、世界観の説明部分が大半ですが…これからもどうぞ御付き合いいただけますと幸いです。

毎日更新を目指してはおりますが、ここで話のストックがなくなってきたので、少し更新がゆっくりめになるかもしれません……。

好きなキャラクターや次にイラストで見たいキャラクター、面白かったところや今後が気になる事などなど…お気軽にご意見、ご感想いただけますと嬉しいです!!モチベーションアップになりますので…切に…お待ちしております…。

それではこれからもどうぞ、宜しくお願い致します。

[2020.12.30 さがみ十夜]







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