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第215話 マリの人生
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マリは見つけた日記を手に取り、ベッドへと腰掛ける。 そして、日記のページを捲り始めた。
◆◇◆
これを読むのが誰か分からないし、誰も読まないかもしれない。 でも、私が生きた証を日記に纏めておこうと思う。
気晴らしにもなるしね。
両親が死んで直ぐに現れた女神を名乗る女と取り引きした直後、私がずっと住んでた部屋に閉じ込められた。
でも、此処は王城の部屋じゃないのは分かってる。
女神に言われた最悪の未来。 私の大切なジャックが死ぬ未来を変える為に、変えれる奴に身体を明け渡した結果……私は精神の部屋とやらに居る。
別に後悔はしてない。
これで本当にジャックが助かるなら、それでいい。
この世界は本当に最悪。 暴虐の女王であった母も、常識人なのに愛ゆえに母の好き勝手を許した父も、きっと私を嫌ってる弟も、全部が最悪だった。
でも、今の私はちゃんと分かってるのよ。
悪かったのは私。
アイツがしている事を窓からずっと眺めてた。
知らなかった。 王国の女貴族達がいつの間にかあんなに腐敗してたなんて。 知ろうともしなかった。
あんなに弟のルーデウスが私を姉として慕ってくれてたなんて知らなかった。
どうして、どうして私はもっと自分で考えなかったのかな。
母を止めたら、父と協力したら、弟ともっと仲良く出来てたら、私にもジャックを守る事が出来たのかな。
でも、もう遅いの。
私の身体はもう、私の物ではない。
もう一人の私。
貴女じゃないと、ジャックは救えないのよね。
だったら、良いの。
今日は此処まで、少し眠る。
◆◇◆
本当にもう一人の私に託して良かった。
私には腐敗した女貴族達を皆殺しにする覚悟も、よく知りもしなかった亜人達を解放する事も、自らを人質に帝国に行く選択も出来なかったから。
ちょっと気に食わないのは、ジャックじゃなくてエルフのヨハネとか云うお兄さんを恋人にした事ね。
私ならジャック以外に目移りなんてしなかったのに。
それと処刑台の所で少し口を挟んだら、凄く身体が重くなった。 女神には何もせずに見守る約束だったのに破った罰なのかな……。
◆◇◆
無理矢理入れ替わったせいか、身体がどんどん重くなってる。
日記を書くのもしんどい。 でも、これは私の生きた証。
最後まで書き続けたい。
ジャックと遂に恋仲になれた。 凄く嬉しい。
少しだけ欲が出ちゃったな。
どうしても、ジャックとの初めては私が良かったの。
ごめんね、もう1人の私。
貴女が嫌いだった。 でも、今は違うわよ。
もし、貴女と姉妹だったらきっと初めての友達になれたのに。
◆◇◆
最悪。
私のせいだ。
精神の外を何かが、蠢いている。
ずっと眠ってた間に、もう何も出来ない所まで来てる。
窓の外を見ると、もう1人の私は魔族の城に居るみたい。 凄い、本当に魔族って居たのね。
女神は嘘を言って無かったんだ。
なら、私のすべき事は一つだけ。 これで最後。
最後だから、人生で一度ぐらい誰かの為に頑張れ私!
後は頼むわよ。
◆◇◆
日記を閉じたマリは静かに涙を流す。
「ありがとう、もう1人の私。 必ず、必ずジャックは守るから。 私も、これで最後。 頑張れ私!!」
気合を入れたマリは立ち上がり、日記を机の上に置いた。
その時に、日記の裏が目に入り其処書かれた文字にマリは気付く。
『もう1人の私へ。 この日記読んだら殺すわよ?』
「いや、ならこっちを上向きにしときなさいよー!」
きっと、これを読んだマリが気落ちしない様に気遣いで書かれたのだと察したマリは笑った。
「さーて、やるか~!」
託されたマリの最後の戦いが始まる。
◆◇◆
これを読むのが誰か分からないし、誰も読まないかもしれない。 でも、私が生きた証を日記に纏めておこうと思う。
気晴らしにもなるしね。
両親が死んで直ぐに現れた女神を名乗る女と取り引きした直後、私がずっと住んでた部屋に閉じ込められた。
でも、此処は王城の部屋じゃないのは分かってる。
女神に言われた最悪の未来。 私の大切なジャックが死ぬ未来を変える為に、変えれる奴に身体を明け渡した結果……私は精神の部屋とやらに居る。
別に後悔はしてない。
これで本当にジャックが助かるなら、それでいい。
この世界は本当に最悪。 暴虐の女王であった母も、常識人なのに愛ゆえに母の好き勝手を許した父も、きっと私を嫌ってる弟も、全部が最悪だった。
でも、今の私はちゃんと分かってるのよ。
悪かったのは私。
アイツがしている事を窓からずっと眺めてた。
知らなかった。 王国の女貴族達がいつの間にかあんなに腐敗してたなんて。 知ろうともしなかった。
あんなに弟のルーデウスが私を姉として慕ってくれてたなんて知らなかった。
どうして、どうして私はもっと自分で考えなかったのかな。
母を止めたら、父と協力したら、弟ともっと仲良く出来てたら、私にもジャックを守る事が出来たのかな。
でも、もう遅いの。
私の身体はもう、私の物ではない。
もう一人の私。
貴女じゃないと、ジャックは救えないのよね。
だったら、良いの。
今日は此処まで、少し眠る。
◆◇◆
本当にもう一人の私に託して良かった。
私には腐敗した女貴族達を皆殺しにする覚悟も、よく知りもしなかった亜人達を解放する事も、自らを人質に帝国に行く選択も出来なかったから。
ちょっと気に食わないのは、ジャックじゃなくてエルフのヨハネとか云うお兄さんを恋人にした事ね。
私ならジャック以外に目移りなんてしなかったのに。
それと処刑台の所で少し口を挟んだら、凄く身体が重くなった。 女神には何もせずに見守る約束だったのに破った罰なのかな……。
◆◇◆
無理矢理入れ替わったせいか、身体がどんどん重くなってる。
日記を書くのもしんどい。 でも、これは私の生きた証。
最後まで書き続けたい。
ジャックと遂に恋仲になれた。 凄く嬉しい。
少しだけ欲が出ちゃったな。
どうしても、ジャックとの初めては私が良かったの。
ごめんね、もう1人の私。
貴女が嫌いだった。 でも、今は違うわよ。
もし、貴女と姉妹だったらきっと初めての友達になれたのに。
◆◇◆
最悪。
私のせいだ。
精神の外を何かが、蠢いている。
ずっと眠ってた間に、もう何も出来ない所まで来てる。
窓の外を見ると、もう1人の私は魔族の城に居るみたい。 凄い、本当に魔族って居たのね。
女神は嘘を言って無かったんだ。
なら、私のすべき事は一つだけ。 これで最後。
最後だから、人生で一度ぐらい誰かの為に頑張れ私!
後は頼むわよ。
◆◇◆
日記を閉じたマリは静かに涙を流す。
「ありがとう、もう1人の私。 必ず、必ずジャックは守るから。 私も、これで最後。 頑張れ私!!」
気合を入れたマリは立ち上がり、日記を机の上に置いた。
その時に、日記の裏が目に入り其処書かれた文字にマリは気付く。
『もう1人の私へ。 この日記読んだら殺すわよ?』
「いや、ならこっちを上向きにしときなさいよー!」
きっと、これを読んだマリが気落ちしない様に気遣いで書かれたのだと察したマリは笑った。
「さーて、やるか~!」
託されたマリの最後の戦いが始まる。
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