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第201話 エントン王国とゴルメディア帝国
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マリ達が出発して5日が経った頃、エントン王国の王城に一人の伝令が駆け込んで来た。
「失礼致します! 国王陛下に伝令! ゴルメディア帝国側の国境大砦にて、大勢の帝国民達が亡命を希望して押し寄せています! 更に、例の精霊人形達がその後ろを追い掛け帝国民達を虐殺し始めました!」
伝令の報告にルカは立ち上がる。
「何だと!? 直ぐに受け入れる様に、伝令を飛ばせ! 糞、大砦への通信機設置が間近だったと云うのに! お前は休め、私は陛下の下に行く」
「はっ! 現在、ルニア侯爵様率いる軍が精霊人形達を迎え撃っております!!」
大臣ルカはルーデウスの下へ急いだ。
「陛下! 緊急事態です! 帝国側の国境に亡命を希望する帝国民達が殺到しているのとの事。 その後ろを例の精霊人形達が虐殺しながら迫っているそうです! 現在はルニア侯爵軍が交戦中!」
ルカの報告にルーデウスは顔を顰める。 神童ルカの予想では、帝国内の混乱を収める為にルミニスが動ける様になるのは後2ヶ月は掛かるだろうという算段であった。
しかし、実際にはルミニスに帝国を支配するつもり等一切無く無惨にも兵士や民を問わず精霊人形に改造されている等、人間であるルカには到底予想も出来なかった事だろう。
だが、予想が外れたからと言って何もしない訳にはいかない。
「分かりました。 受け入れる様に伝令は?」
「その場で指示をしております」
「流石ですね、ルカさん。 では、全兵達に招集を掛けて下さい。 同盟国にも通信をお願いします」
「畏まりました!」
「それと、姉上達に連絡は取れてますか?」
「高速で移動中の為か、連絡は現在取れておりません。 しかし、陛下……まさか大砦に?」
「反対しても無駄ですよ。 大砦に居る兵達も私の守るべき民ですから」
ルーデウスは鎧を纏い、剣を腰に差す。
「キャミとドーラの下に行ってから向かいます。 ウォンバット……私が出撃した後は2人を頼みます。 ルカさん、兵達の招集急がせて下さいね」
「「はっ!」」
ルーデウスは執務室を出て、妻達の部屋へと向かう。
(姉上なら、きっとゴルメディア帝国の民でもいざとなれば……助けようとしますよね。 僕、王国を絶対に守りますから! どうか無事に帰って来て下さい)
叶わぬ願いとは知らず、ルーデウスは最愛の姉の無事を祈った。
◆◇◆
場面は変わり、ゴルメディア帝国の帝城ではルミニスの怒鳴る声が広間に響き渡っていた。
『ブラック! よくもやってくれたねぇぇ! 私が、眠ってる隙に住民達を逃がしたってぇぇぇ?! お前……大人しくしてると思ってたら隙を待ってたのぉぉぉ?』
ボロボロになった玉座に座る小さな妖精ルミニスが背中からドス黒い手を伸ばし宰相ブラックの首を締め上げる。
「ぐっ……ふふ、お前が眠った直後に決行しましたからね……がはっ! 先頭の民達は既にエントン王国の国境に到着して……がっ!?」
ギリギリと首を締めながら、ブラックの身体がゆっくりと持ち上がり始めた。
『ねぇ、クロモト。 精霊人形はどれだけ出来た?』
足が浮き、苦しむブラックの隣で這いつくばっているクロモトが答える。
「は、ははぁっ! 仰せの通りに製造ラインを拡大し、現在は50万体を超えております」
『うふふ、あはははは! 凄いじゃない、流石ねクロモト。 褒めて上げるわ。 じゃあ、もう良いわね……適当な数の精霊人形に追い掛けさせて皆殺しにしてちょうだい』
「畏まりましたぁ! 直ぐに追わせます!」
命令されたクロモトが足を引き摺りながら広間を出て行った。 ルミニス冷酷な命令を聞いたブラックは苦しみながらも足掻く。
「ぐぁっ! さ……せませんっ! 帝国民は私が守っごーーぎゅっ?!」
首を捩じ切られたブラックの頭部が床に転がり落ちた。
『あはははは! 馬鹿ねぇ、この状況を作り出したのはお前でしょぉ? それに……死ねるとは思わない事ねぇ』
ブラックの身体と頭部が黒い霧で包まれる。 そして霧が晴れると、首が下に戻り死に戻ったブラックが咳き込む。
「がはっ! ゲホッゲホッ! 糞……この悪魔め!!」
『ざぁ~んねんでしたぁ。 私は光の精霊であり、妖精を取り込んで超越した存在なのぉ。 そんなちっぽけな空想上の生き物じゃないのよぉ? じゃあ……始めよっかなぁ。 ブラックの大好きなゴミ達の処理を~あはははははは!』
楽しそうに笑うルミニスをブラックは睨み続けていた。
「失礼致します! 国王陛下に伝令! ゴルメディア帝国側の国境大砦にて、大勢の帝国民達が亡命を希望して押し寄せています! 更に、例の精霊人形達がその後ろを追い掛け帝国民達を虐殺し始めました!」
伝令の報告にルカは立ち上がる。
「何だと!? 直ぐに受け入れる様に、伝令を飛ばせ! 糞、大砦への通信機設置が間近だったと云うのに! お前は休め、私は陛下の下に行く」
「はっ! 現在、ルニア侯爵様率いる軍が精霊人形達を迎え撃っております!!」
大臣ルカはルーデウスの下へ急いだ。
「陛下! 緊急事態です! 帝国側の国境に亡命を希望する帝国民達が殺到しているのとの事。 その後ろを例の精霊人形達が虐殺しながら迫っているそうです! 現在はルニア侯爵軍が交戦中!」
ルカの報告にルーデウスは顔を顰める。 神童ルカの予想では、帝国内の混乱を収める為にルミニスが動ける様になるのは後2ヶ月は掛かるだろうという算段であった。
しかし、実際にはルミニスに帝国を支配するつもり等一切無く無惨にも兵士や民を問わず精霊人形に改造されている等、人間であるルカには到底予想も出来なかった事だろう。
だが、予想が外れたからと言って何もしない訳にはいかない。
「分かりました。 受け入れる様に伝令は?」
「その場で指示をしております」
「流石ですね、ルカさん。 では、全兵達に招集を掛けて下さい。 同盟国にも通信をお願いします」
「畏まりました!」
「それと、姉上達に連絡は取れてますか?」
「高速で移動中の為か、連絡は現在取れておりません。 しかし、陛下……まさか大砦に?」
「反対しても無駄ですよ。 大砦に居る兵達も私の守るべき民ですから」
ルーデウスは鎧を纏い、剣を腰に差す。
「キャミとドーラの下に行ってから向かいます。 ウォンバット……私が出撃した後は2人を頼みます。 ルカさん、兵達の招集急がせて下さいね」
「「はっ!」」
ルーデウスは執務室を出て、妻達の部屋へと向かう。
(姉上なら、きっとゴルメディア帝国の民でもいざとなれば……助けようとしますよね。 僕、王国を絶対に守りますから! どうか無事に帰って来て下さい)
叶わぬ願いとは知らず、ルーデウスは最愛の姉の無事を祈った。
◆◇◆
場面は変わり、ゴルメディア帝国の帝城ではルミニスの怒鳴る声が広間に響き渡っていた。
『ブラック! よくもやってくれたねぇぇ! 私が、眠ってる隙に住民達を逃がしたってぇぇぇ?! お前……大人しくしてると思ってたら隙を待ってたのぉぉぉ?』
ボロボロになった玉座に座る小さな妖精ルミニスが背中からドス黒い手を伸ばし宰相ブラックの首を締め上げる。
「ぐっ……ふふ、お前が眠った直後に決行しましたからね……がはっ! 先頭の民達は既にエントン王国の国境に到着して……がっ!?」
ギリギリと首を締めながら、ブラックの身体がゆっくりと持ち上がり始めた。
『ねぇ、クロモト。 精霊人形はどれだけ出来た?』
足が浮き、苦しむブラックの隣で這いつくばっているクロモトが答える。
「は、ははぁっ! 仰せの通りに製造ラインを拡大し、現在は50万体を超えております」
『うふふ、あはははは! 凄いじゃない、流石ねクロモト。 褒めて上げるわ。 じゃあ、もう良いわね……適当な数の精霊人形に追い掛けさせて皆殺しにしてちょうだい』
「畏まりましたぁ! 直ぐに追わせます!」
命令されたクロモトが足を引き摺りながら広間を出て行った。 ルミニス冷酷な命令を聞いたブラックは苦しみながらも足掻く。
「ぐぁっ! さ……せませんっ! 帝国民は私が守っごーーぎゅっ?!」
首を捩じ切られたブラックの頭部が床に転がり落ちた。
『あはははは! 馬鹿ねぇ、この状況を作り出したのはお前でしょぉ? それに……死ねるとは思わない事ねぇ』
ブラックの身体と頭部が黒い霧で包まれる。 そして霧が晴れると、首が下に戻り死に戻ったブラックが咳き込む。
「がはっ! ゲホッゲホッ! 糞……この悪魔め!!」
『ざぁ~んねんでしたぁ。 私は光の精霊であり、妖精を取り込んで超越した存在なのぉ。 そんなちっぽけな空想上の生き物じゃないのよぉ? じゃあ……始めよっかなぁ。 ブラックの大好きなゴミ達の処理を~あはははははは!』
楽しそうに笑うルミニスをブラックは睨み続けていた。
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