201 / 231
第199話 メリーと戦の準備
しおりを挟む
マリがルミニスに乗っ取られてから、翌日の朝。
「状況は分かりました……。 ですが、ジャック……キサラギ。 マリ様は貴方達の死を望まない事を忘れないで下さい」
ジャックとヨハネはメリーの自室に赴き、昨夜の出来事を説明していた。
「……分かってる」 「そうだね。 マリはそんな事を望まないだろうね」
「……気持ちは、痛い程分かります」
2人の悲しみが分かるメリーの頬には涙が伝う。
「隊長、私達も行きましょう」 「えぇ、王都にはスィクスス達も待ってます」 「そうだぜ! それに、元々サードの身体を取り返しに行くつもりだったんだ。 予定が早くなっただけさ!」 「フォース、流石にデリカシーが無いっすよ。 隊長、私達を暗部では無く正規のメイドにして下さった恩を返したいっす」
共に説明を聞いていたファースト達は、メリーに問い掛ける。
「勿論よ。 サードもマリ様も必ず取り返してみせる! ジャック、出発は何時になるのですか?」
メリーはベットから立ち上がり、一瞬で破れたメイド服から新品のメイド服に着替える。
「今、アテス殿が貨物列車を改造している。 魔族全員を乗せるらしいから、まだもう少し掛かるだろう」
「分かりました。 ファースト、皆を連れて準備に行きなさい。 私は兄上の下に行っています」
「「「「了解!」」」」
メリーは魔王ダイの下へと向かった。
◆◇◆
「兄上!」
魔王の執務室に入ると、ダイが漆黒の鎧を身に纏い戦の準備をしていた。
「メリー、大事はないか?」
「ご心配お掛けし申し訳ありません。 もう、大丈夫です」
メリーの赤くなった目を見たダイは、優しく微笑みメリーの頭を撫でた。
「ふっ……なら良い。 今、皆に戦の準備をさせている。 それと……さっき魔族への罰が決まった。 北の大地を覆っていた魔力障壁は直に消える」
ダイの言葉に、メリーは目を見開く。
「何があったか、だいたいの話は聞いたか?」
「……はい。 兄上、マリ様の事……ありがとうございます」
メリーはダイに深々と頭を下げた。
「何も言うな。 全て分かっている……必ずマリの身体を取り返すぞ」
「……はい!」
2人の下に、武装した大臣レーヨンがやって来た。
「失礼します陛下、それにメリー殿下。 戦闘可能な魔族1万名、全員が陛下の命を承諾し戦の準備をしております」
「うむ、四天王にそれぞれ振り分けよ。 出し惜しみは無しだ、全ての力を出し切れる準備をするのだ。 マイ、居るか」
「畏まりました、失礼致します」
大臣レーヨンが執務室を退出すると、メイドのマイがダイの背後に現れた。
「此処に」
「引退した暗部達はどうだった」
「勿論、全員が参戦したいとの事。 ユアン様は……特に暗部の皆から好かれていましたから」
どうやら、歴代の暗部達もサードの事を聞き参戦する様だ。 普段ではあり得ない会話の内容にメリーは驚愕する。
魔族達の文字通り全戦力で戦をすれば、普通の世界なら簡単に滅ぼせそうだ。 しかし、ルミニスの人形兵器を思い出し、一筋縄ではいかない事を悟る。
「……そうだな。 よし、メリーよ。 亜人の者達に、此方の準備は直に終わると伝えてもらえるか?」
「畏まりました。 それと、闇の精霊様はどちらに?」
「あぁ……ドワーフのアテス殿が作っている物が気になるらしく、俺に罰を伝えたら直ぐに外に行ったぞ」
「ありがとうございます。 失礼します」
頭を下げて部屋を退出するメリーに、ダイは声を掛けた。
「メリー」
「は、はい。 何でしょうか、兄上」
「我等魔族が平和へと歩む道を選べたのは、お前が信じた主のおかげだ。 ありがとう、メリー。 お前に任務を任せて本当に良かった」
ダイの言葉にメリーは涙した。
「きっと、マリ様も喜びます。 誰よりも、私達の事を想って下さってましたから……」
メリーは今度こそ執務室の扉を閉め、外へと向かった。 廊下を歩きながらメリーは呟く。
「よくもマリ様を……必ずその首を刎ねてやる。 待ってなさい、ルミニス!!」
その瞳にはルミニスに対する怒りと復讐心で満ちていた。
「状況は分かりました……。 ですが、ジャック……キサラギ。 マリ様は貴方達の死を望まない事を忘れないで下さい」
ジャックとヨハネはメリーの自室に赴き、昨夜の出来事を説明していた。
「……分かってる」 「そうだね。 マリはそんな事を望まないだろうね」
「……気持ちは、痛い程分かります」
2人の悲しみが分かるメリーの頬には涙が伝う。
「隊長、私達も行きましょう」 「えぇ、王都にはスィクスス達も待ってます」 「そうだぜ! それに、元々サードの身体を取り返しに行くつもりだったんだ。 予定が早くなっただけさ!」 「フォース、流石にデリカシーが無いっすよ。 隊長、私達を暗部では無く正規のメイドにして下さった恩を返したいっす」
共に説明を聞いていたファースト達は、メリーに問い掛ける。
「勿論よ。 サードもマリ様も必ず取り返してみせる! ジャック、出発は何時になるのですか?」
メリーはベットから立ち上がり、一瞬で破れたメイド服から新品のメイド服に着替える。
「今、アテス殿が貨物列車を改造している。 魔族全員を乗せるらしいから、まだもう少し掛かるだろう」
「分かりました。 ファースト、皆を連れて準備に行きなさい。 私は兄上の下に行っています」
「「「「了解!」」」」
メリーは魔王ダイの下へと向かった。
◆◇◆
「兄上!」
魔王の執務室に入ると、ダイが漆黒の鎧を身に纏い戦の準備をしていた。
「メリー、大事はないか?」
「ご心配お掛けし申し訳ありません。 もう、大丈夫です」
メリーの赤くなった目を見たダイは、優しく微笑みメリーの頭を撫でた。
「ふっ……なら良い。 今、皆に戦の準備をさせている。 それと……さっき魔族への罰が決まった。 北の大地を覆っていた魔力障壁は直に消える」
ダイの言葉に、メリーは目を見開く。
「何があったか、だいたいの話は聞いたか?」
「……はい。 兄上、マリ様の事……ありがとうございます」
メリーはダイに深々と頭を下げた。
「何も言うな。 全て分かっている……必ずマリの身体を取り返すぞ」
「……はい!」
2人の下に、武装した大臣レーヨンがやって来た。
「失礼します陛下、それにメリー殿下。 戦闘可能な魔族1万名、全員が陛下の命を承諾し戦の準備をしております」
「うむ、四天王にそれぞれ振り分けよ。 出し惜しみは無しだ、全ての力を出し切れる準備をするのだ。 マイ、居るか」
「畏まりました、失礼致します」
大臣レーヨンが執務室を退出すると、メイドのマイがダイの背後に現れた。
「此処に」
「引退した暗部達はどうだった」
「勿論、全員が参戦したいとの事。 ユアン様は……特に暗部の皆から好かれていましたから」
どうやら、歴代の暗部達もサードの事を聞き参戦する様だ。 普段ではあり得ない会話の内容にメリーは驚愕する。
魔族達の文字通り全戦力で戦をすれば、普通の世界なら簡単に滅ぼせそうだ。 しかし、ルミニスの人形兵器を思い出し、一筋縄ではいかない事を悟る。
「……そうだな。 よし、メリーよ。 亜人の者達に、此方の準備は直に終わると伝えてもらえるか?」
「畏まりました。 それと、闇の精霊様はどちらに?」
「あぁ……ドワーフのアテス殿が作っている物が気になるらしく、俺に罰を伝えたら直ぐに外に行ったぞ」
「ありがとうございます。 失礼します」
頭を下げて部屋を退出するメリーに、ダイは声を掛けた。
「メリー」
「は、はい。 何でしょうか、兄上」
「我等魔族が平和へと歩む道を選べたのは、お前が信じた主のおかげだ。 ありがとう、メリー。 お前に任務を任せて本当に良かった」
ダイの言葉にメリーは涙した。
「きっと、マリ様も喜びます。 誰よりも、私達の事を想って下さってましたから……」
メリーは今度こそ執務室の扉を閉め、外へと向かった。 廊下を歩きながらメリーは呟く。
「よくもマリ様を……必ずその首を刎ねてやる。 待ってなさい、ルミニス!!」
その瞳にはルミニスに対する怒りと復讐心で満ちていた。
13
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる