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第197話 残された者の役目
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マリが床に現れた黒い染みに消えた直後、ファーストが食堂へと駆け込む。 その後ろからはメイドのマイが四天王を連れて戻って来た。
「ルル殿、お願いします!」
「よし! ジャック、此処を抑えておけ! 頼むぞ、間に合ってくれ!」
受け取ったルルが、袋からハイポーションを取り出しメリーの胸へと掛けた。
「うぐっ?! うぁぁぁぁぁぁぁ!!」
メリーの身体からはの水蒸気が立ち上り、凄まじい力で暴れ始めた。
「メリー、落ち着け! 大丈夫だから!」
ジャックだけの力では抑えきれない程にメリーは暴れる。 すると、魔王ダイが抑えるのを助けに来た。
「我が妹メリーよ、しっかりするのだ」
ファースト達もメリーの四肢を抑える。
「心臓が再生しとるんじゃ、死ぬ程の激痛であろう。 しかし、もうすぐ治る筈じゃ! 耐えよメリー!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ……マリ、様」
大きく身体が跳ねた後、メリーの胸にあった傷口は消え意識を絶った。
「メリー!? メリー、大丈夫か!」
「落ち着くのじゃ、魔王ダイ殿。 間一髪じゃったが……間に合ったの」
「かたじけない……ありがとう」
ダイは何とも言えない表情でメリーの頬を撫でた後に、闇の精霊を見た。
「闇の精霊……コレで良いんだね」
丁度、ヨハネが手に持つ2つの光を闇の精霊に渡している所だった。
『ふぅ……ギリギリだったね。 やれやれ……色々聞きたい事があるだろうけど、待っててくれ。 僕はあの御方に報告に行ってくる。 それと、魔王ダイ』
「……何だ」
『僕の命令に背いた事。 理由も事情も分かる……だが、何かしらの罰は魔族に下るだろう。 覚悟はしておいてくれ』
「……覚悟の上だ」
ダイに忠告した闇の精霊は上へと登り、幻と様に消えた。
「すみません陛下! 遅くなってしまい……」
メイドのマイがダイの下に駆け寄る。
「構わん。 だが、後で皆に話がしたい。 このまま城に居てくれ。 マイ、メリーを部屋に運んでやってくれ」
「はっ! お任せを」
メイドのマイがメリーを優しく抱き上げ、部屋へと運ぶ。
「私達も、隊長のお側に居ても良いでしょうか」
「許可する。 レーヨン、メリーのメイド達が休める様に手配してやれ」
「はっ! 畏まりました。 直ぐに」
ダイは一通り指示を飛ばした後に、ヨハネ達を見る。
荒らされた食堂の真ん中でヨハネは無言で佇んでいる。 その瞳は、怒りも悲しみも無く……絶望の影に染まっていた。
ロキやラガン、アテスもマリが消えた場所を無言で見つめている。
「ルル殿、多少なれど皆怪我をしています。 ポーションは有りますか?」
「勿論じゃ……何が起きても対処出来るように準備して来たからの。 まさか……こんな事になるとは思ってもおらなんだが……」
「感謝します。 ヨハネ、ポーションを飲め」
ジャックはルルの下でポーションを受け取り、ヨハネ達に配っている。 しかし、ヨハネは受け取る素振りすら見せない。
「……いらないさ」
虚空を見つめ、呟くヨハネの頬をジャックは思いっきり殴り付ける。
「がはっ?! ……ジャック、何をするのさ」
「もう一度言うぞ、ヨハネ。 ポーションを飲め。 闇の精霊が戻って来て、話しを聞いたら直ぐに動けるように!」
ヨハネは一瞬怒ったが、ジャックの言葉に顔を歪めた。
「マリが死んだんだぞ? なぁ、ジャック。 何故お前はそんなに平気そうなんだよ!」
ヨハネは冷静にジャックの顔を見て、直ぐに己の発言を後悔した。
「分かってるよ。 そんな事は分かってる!! それでも、俺とお前が動かなくてどうする! マリ様の恋人だろうが!! 俺達は糞だ。 マリ様を守れなかった、異変に気付けなかった。 クソ野郎だよ! でもよ、マリ様がそんなの望んでないのをお前なら分かるだろうが!」
ジャックの頬から血の涙が滴り落ちる。
「メリーは助けれた。 でも、本当にアイツが言っていた様に帝国から此処まで攻め寄せて来るなら……必ずエントン王国を通る。 そうなれば、マリ様が守ってきた物が全て滅ぼされるんだぞ!? 死にたい程に絶望しているなら、全てを守ってから死ね!! 俺はそうする、お前はどうするんだよ! ヨハネ!」
ヨハネの胸ぐらを掴んだジャックの叫びを、ルル達は悲痛な顔で聞いている。 ダイ達も黙って二人を静観していた。 最愛の人を亡くした事が、どれ程に辛いか魔族達は良く知っているから。
そして、ヨハネは床に落ちたポーションを拾い一気に飲み干した。
「当然、君と一緒だよ。 ジャック。 マリの身体で、マリが守りきった物を傷付けさせてたまるか!!」
ヨハネの瞳から絶望の影は消えた。
「ルル殿、お願いします!」
「よし! ジャック、此処を抑えておけ! 頼むぞ、間に合ってくれ!」
受け取ったルルが、袋からハイポーションを取り出しメリーの胸へと掛けた。
「うぐっ?! うぁぁぁぁぁぁぁ!!」
メリーの身体からはの水蒸気が立ち上り、凄まじい力で暴れ始めた。
「メリー、落ち着け! 大丈夫だから!」
ジャックだけの力では抑えきれない程にメリーは暴れる。 すると、魔王ダイが抑えるのを助けに来た。
「我が妹メリーよ、しっかりするのだ」
ファースト達もメリーの四肢を抑える。
「心臓が再生しとるんじゃ、死ぬ程の激痛であろう。 しかし、もうすぐ治る筈じゃ! 耐えよメリー!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ……マリ、様」
大きく身体が跳ねた後、メリーの胸にあった傷口は消え意識を絶った。
「メリー!? メリー、大丈夫か!」
「落ち着くのじゃ、魔王ダイ殿。 間一髪じゃったが……間に合ったの」
「かたじけない……ありがとう」
ダイは何とも言えない表情でメリーの頬を撫でた後に、闇の精霊を見た。
「闇の精霊……コレで良いんだね」
丁度、ヨハネが手に持つ2つの光を闇の精霊に渡している所だった。
『ふぅ……ギリギリだったね。 やれやれ……色々聞きたい事があるだろうけど、待っててくれ。 僕はあの御方に報告に行ってくる。 それと、魔王ダイ』
「……何だ」
『僕の命令に背いた事。 理由も事情も分かる……だが、何かしらの罰は魔族に下るだろう。 覚悟はしておいてくれ』
「……覚悟の上だ」
ダイに忠告した闇の精霊は上へと登り、幻と様に消えた。
「すみません陛下! 遅くなってしまい……」
メイドのマイがダイの下に駆け寄る。
「構わん。 だが、後で皆に話がしたい。 このまま城に居てくれ。 マイ、メリーを部屋に運んでやってくれ」
「はっ! お任せを」
メイドのマイがメリーを優しく抱き上げ、部屋へと運ぶ。
「私達も、隊長のお側に居ても良いでしょうか」
「許可する。 レーヨン、メリーのメイド達が休める様に手配してやれ」
「はっ! 畏まりました。 直ぐに」
ダイは一通り指示を飛ばした後に、ヨハネ達を見る。
荒らされた食堂の真ん中でヨハネは無言で佇んでいる。 その瞳は、怒りも悲しみも無く……絶望の影に染まっていた。
ロキやラガン、アテスもマリが消えた場所を無言で見つめている。
「ルル殿、多少なれど皆怪我をしています。 ポーションは有りますか?」
「勿論じゃ……何が起きても対処出来るように準備して来たからの。 まさか……こんな事になるとは思ってもおらなんだが……」
「感謝します。 ヨハネ、ポーションを飲め」
ジャックはルルの下でポーションを受け取り、ヨハネ達に配っている。 しかし、ヨハネは受け取る素振りすら見せない。
「……いらないさ」
虚空を見つめ、呟くヨハネの頬をジャックは思いっきり殴り付ける。
「がはっ?! ……ジャック、何をするのさ」
「もう一度言うぞ、ヨハネ。 ポーションを飲め。 闇の精霊が戻って来て、話しを聞いたら直ぐに動けるように!」
ヨハネは一瞬怒ったが、ジャックの言葉に顔を歪めた。
「マリが死んだんだぞ? なぁ、ジャック。 何故お前はそんなに平気そうなんだよ!」
ヨハネは冷静にジャックの顔を見て、直ぐに己の発言を後悔した。
「分かってるよ。 そんな事は分かってる!! それでも、俺とお前が動かなくてどうする! マリ様の恋人だろうが!! 俺達は糞だ。 マリ様を守れなかった、異変に気付けなかった。 クソ野郎だよ! でもよ、マリ様がそんなの望んでないのをお前なら分かるだろうが!」
ジャックの頬から血の涙が滴り落ちる。
「メリーは助けれた。 でも、本当にアイツが言っていた様に帝国から此処まで攻め寄せて来るなら……必ずエントン王国を通る。 そうなれば、マリ様が守ってきた物が全て滅ぼされるんだぞ!? 死にたい程に絶望しているなら、全てを守ってから死ね!! 俺はそうする、お前はどうするんだよ! ヨハネ!」
ヨハネの胸ぐらを掴んだジャックの叫びを、ルル達は悲痛な顔で聞いている。 ダイ達も黙って二人を静観していた。 最愛の人を亡くした事が、どれ程に辛いか魔族達は良く知っているから。
そして、ヨハネは床に落ちたポーションを拾い一気に飲み干した。
「当然、君と一緒だよ。 ジャック。 マリの身体で、マリが守りきった物を傷付けさせてたまるか!!」
ヨハネの瞳から絶望の影は消えた。
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