180 / 231
第178話 旅立ち
しおりを挟む
遂に北へと旅立つ日となった朝。
マリはゆっくりと起き上がり、隣で眠るルキに優しく口づけをする。
暫しの別れは昨晩に済ませたマリは、速やかに支度を始めた。
「さて、行きますか。 行ってくるね、ルキ」
いつの間にか、自分で着替えるのが当たり前になったマリは動きやすい服に着替えを済まし部屋で出た。
「あ、おはようメリーさん」
「おはようございます、マリ様。 城の前にて、皆さんお待ちですよ」
早朝であるにも関わらず、マリ達の見送りに大勢来てくれたらしくマリは照れ笑いしながら向かう。
「朝食は馬車の中でお願い致します。 魔族の国は最北端ですから、1ヶ月は掛かるでしょう。 往復2ヶ月です。 これ以上の時間を掛けると、流石にゴルメディア帝国も動く恐れがあります」
「うん、そうだね。 復興祭や選挙にもかなり時間掛かったから、なるべく急ごう。 必要な事だったとは云え、ルミニスが何してるか分からないのは正直怖かったからね」
廊下を歩く最中に擦れ違うメイドや執事達、兵士達も皆マリに笑顔で挨拶をしてくる。 それにマリは応えながら、城の前へと到着した。
「マリ、おはよう。 ルキは泣かなかったかい? って、ジャック!? うっ!」
「ヨハネ、お前……もう少し考えてから言えよ。 マリ様、直ぐに会えます。 早く行って早く帰りましょう」
ヨハネの軽口に、ジャックが肘で応戦する。 呻くヨハネを見てマリは苦笑いだ。
「あはは……おはよう2人共。 ルキとは昨晩に話したから……大丈夫。 朝別れると、ルキはきっと泣いちゃうからね。 早く帰って来よう!」
城の出口で待っていたヨハネとジャックを連れ立ち、マリは外へと出る。 すると、城の前には大勢の女貴族達や様々な人達が待っていた。
詳しい説明を一部の者達は聞いておらず、エントン王国の為にマリがまた旅立つとしか知らされていない。
それでも大勢の人々が、集まったのはひとえにマリの人柄だろう。
「姉上! おはようございます。 どうか、どうかお気を付けて!」
「マリお義姉様、必ず無事で帰ってくるのですじゃ!」
「マリ義姉さん、ルーデウスとキャミの事は任せて」
ルーデウスや2人の婚約者がマリに暫しの別れを告げに待っていた。
「おはよう。 ルーデウス、王国をお願いね。 キャミちゃん、ドーラちゃん、ルーデウスの事よろしく!」
「「はい!」」
2人に抱きしめられて照れるルーデウスを見てマリは嬉しそうに微笑む。
「マリ様、道中の事はメリー達が居るので心配は無いでしょうが……亜人の森での時の様な無茶はしないで下さいね」
武闘派女貴族達を引き連れたルニア侯爵が忠告するのを、マリは苦笑いで聞く。
「あはは、ルニアさんもルカを余り怒らせないようにね?」
「む……それは耳が痛いですね」
「そうですよ? 母上……。 それはそうと、私の予想では早くとも2ヶ月後にはゴルメディア帝国は動くでしょう。 他の同盟国とも密に連絡を取り合い、迅速に動ける様にしておりますが……なるべく早くお願い致します」
ルニア侯爵の後ろから現れた大臣ルカが冷静にマリへと進言する。
「分かってる。 ルカなら正解を選べるって信じてるから、よろしくね」
「マリ様、また無理したらあきませんよ? でも、もし魔族達と貿易出来そうならぜひぜひよろしゅうお願いします!」
「メル、そういう事は言ってはなりませんよ。 マリ様、王都にての構成員達は私の方で統括しておきます。 また前回の様なイベント心待ちにしてます。 それでは……推しは」
「尊い。 うん、イサミさんよろしくね。 全部終わったらゆっくり書こうとは思うから。 メルさんも貿易で荒稼ぎし過ぎるのも程々にね?」
何時の間にか、マリの作った組織のトップに立っていたイサミ伯爵に跡を任せてマリは手を振りながら馬車へと向かう。
「マリ様、おはようございます。 メイド部隊、四名準備完了しております」
変わった形の馬車の前には戦闘員である、ファースト、セカンド、フォース、フィフスの四名がマリ達の到着を待っていた。
北へは、マリ、ジャック、ヨハネ、メリー、そして四名のメイド部隊で向かう事となる。 これで残すことは出発のみとなった。
目の前には長い豪華な馬車に、荷物を大量に積んだ連結馬車が10台ズラリと並んでいた。 しかし、肝心の引く馬が居らずマリが首を傾げていると長い豪華な馬車の前からアテスが顔を出し手を振る。
「マリ族長~! どうかなコレ! 想像とあってるー?」
マリは改めて変わった馬車の全体像を確認し、気付いた。
「あ、これ貨物列車だ!!」
「少し動くよ~! 火の精霊、お願いしまーす!」
運転席のアテスが、車両の先端に話し掛けると徐々に動き始めた。
見送りに来ていた人々から驚きの声が上がり、アテスは嬉しそうに鼻を伸ばす。
「あはは……ごめんね乙姫先生。 世界観ぶち壊しちゃったかも……」
マリはゆっくりと起き上がり、隣で眠るルキに優しく口づけをする。
暫しの別れは昨晩に済ませたマリは、速やかに支度を始めた。
「さて、行きますか。 行ってくるね、ルキ」
いつの間にか、自分で着替えるのが当たり前になったマリは動きやすい服に着替えを済まし部屋で出た。
「あ、おはようメリーさん」
「おはようございます、マリ様。 城の前にて、皆さんお待ちですよ」
早朝であるにも関わらず、マリ達の見送りに大勢来てくれたらしくマリは照れ笑いしながら向かう。
「朝食は馬車の中でお願い致します。 魔族の国は最北端ですから、1ヶ月は掛かるでしょう。 往復2ヶ月です。 これ以上の時間を掛けると、流石にゴルメディア帝国も動く恐れがあります」
「うん、そうだね。 復興祭や選挙にもかなり時間掛かったから、なるべく急ごう。 必要な事だったとは云え、ルミニスが何してるか分からないのは正直怖かったからね」
廊下を歩く最中に擦れ違うメイドや執事達、兵士達も皆マリに笑顔で挨拶をしてくる。 それにマリは応えながら、城の前へと到着した。
「マリ、おはよう。 ルキは泣かなかったかい? って、ジャック!? うっ!」
「ヨハネ、お前……もう少し考えてから言えよ。 マリ様、直ぐに会えます。 早く行って早く帰りましょう」
ヨハネの軽口に、ジャックが肘で応戦する。 呻くヨハネを見てマリは苦笑いだ。
「あはは……おはよう2人共。 ルキとは昨晩に話したから……大丈夫。 朝別れると、ルキはきっと泣いちゃうからね。 早く帰って来よう!」
城の出口で待っていたヨハネとジャックを連れ立ち、マリは外へと出る。 すると、城の前には大勢の女貴族達や様々な人達が待っていた。
詳しい説明を一部の者達は聞いておらず、エントン王国の為にマリがまた旅立つとしか知らされていない。
それでも大勢の人々が、集まったのはひとえにマリの人柄だろう。
「姉上! おはようございます。 どうか、どうかお気を付けて!」
「マリお義姉様、必ず無事で帰ってくるのですじゃ!」
「マリ義姉さん、ルーデウスとキャミの事は任せて」
ルーデウスや2人の婚約者がマリに暫しの別れを告げに待っていた。
「おはよう。 ルーデウス、王国をお願いね。 キャミちゃん、ドーラちゃん、ルーデウスの事よろしく!」
「「はい!」」
2人に抱きしめられて照れるルーデウスを見てマリは嬉しそうに微笑む。
「マリ様、道中の事はメリー達が居るので心配は無いでしょうが……亜人の森での時の様な無茶はしないで下さいね」
武闘派女貴族達を引き連れたルニア侯爵が忠告するのを、マリは苦笑いで聞く。
「あはは、ルニアさんもルカを余り怒らせないようにね?」
「む……それは耳が痛いですね」
「そうですよ? 母上……。 それはそうと、私の予想では早くとも2ヶ月後にはゴルメディア帝国は動くでしょう。 他の同盟国とも密に連絡を取り合い、迅速に動ける様にしておりますが……なるべく早くお願い致します」
ルニア侯爵の後ろから現れた大臣ルカが冷静にマリへと進言する。
「分かってる。 ルカなら正解を選べるって信じてるから、よろしくね」
「マリ様、また無理したらあきませんよ? でも、もし魔族達と貿易出来そうならぜひぜひよろしゅうお願いします!」
「メル、そういう事は言ってはなりませんよ。 マリ様、王都にての構成員達は私の方で統括しておきます。 また前回の様なイベント心待ちにしてます。 それでは……推しは」
「尊い。 うん、イサミさんよろしくね。 全部終わったらゆっくり書こうとは思うから。 メルさんも貿易で荒稼ぎし過ぎるのも程々にね?」
何時の間にか、マリの作った組織のトップに立っていたイサミ伯爵に跡を任せてマリは手を振りながら馬車へと向かう。
「マリ様、おはようございます。 メイド部隊、四名準備完了しております」
変わった形の馬車の前には戦闘員である、ファースト、セカンド、フォース、フィフスの四名がマリ達の到着を待っていた。
北へは、マリ、ジャック、ヨハネ、メリー、そして四名のメイド部隊で向かう事となる。 これで残すことは出発のみとなった。
目の前には長い豪華な馬車に、荷物を大量に積んだ連結馬車が10台ズラリと並んでいた。 しかし、肝心の引く馬が居らずマリが首を傾げていると長い豪華な馬車の前からアテスが顔を出し手を振る。
「マリ族長~! どうかなコレ! 想像とあってるー?」
マリは改めて変わった馬車の全体像を確認し、気付いた。
「あ、これ貨物列車だ!!」
「少し動くよ~! 火の精霊、お願いしまーす!」
運転席のアテスが、車両の先端に話し掛けると徐々に動き始めた。
見送りに来ていた人々から驚きの声が上がり、アテスは嬉しそうに鼻を伸ばす。
「あはは……ごめんね乙姫先生。 世界観ぶち壊しちゃったかも……」
18
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる