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第151話 久し振りの平穏とやるべき事
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「ふわ~! このベットやばぁ、人を駄目にするヤツだこれ~」
マリはキングサイズのベットから起き上がる。
両隣にはパジャマ姿のキャミとドーラがすやすや寝ており、非常に可愛らしい。
「むふー、2人共とっても良い子だったし。 久し振りの朝チュンだね~」
2人の頭を優しく撫でるが、朝チュンも何もマリが親睦を深める名目で部屋に連れ込んで隣で寝ただけである。
「にしても、やっと帰って来たんだね……まぁ、お城も部屋も変わり過ぎてて違和感半端ないけど」
マリは部屋を見渡すが、記憶の景色と違い過ぎてまだ馴れない事に苦笑いする。
以前の部屋も広かったが、今の部屋は規模が違う。
前世で言うところの、体育館の広さなのだ。
しかも、こんなに広いのに所狭しとドワーフ謹製の豪華な調度品が飾ってあり目を楽しませる。
極めつけには、部屋の奥に作られた酒場がマリのお気に入りだ。
長く続く壁の棚にはぎっしりと酒瓶が立ち並んでおり、昨晩もジャックにお酌をしてもらいながら義妹達と夜遅くまで飲みながら話した。
「いやぁ……ドワーフの技術って本当にヤバいね。 チートやん、こんなの」
マリが天井を見上げると、豪華なシャンデリアが光りを灯し天井にはマリ達が奴隷を解放しに亜人の領域を訪れた所を神話の様に描かれた巨大な絵が見える。
「嬉しいけど、恥ずかし過ぎるでしょ」
マリはメリーが起こしに来る前に起きれたので、向かい酒を少し楽しむ。
「ふぅ……にしても、小説の正史と本当にかけ離れちゃったな。 でも、私が未来を変えなかったら……可愛い2人の義妹も魔族が起こす戦争に巻き込まれて死んでたんだよね」
マリはグラスに注いだ酒を飲みながら、可愛い寝顔を見せる2人の方を見つめる。
「大丈夫、必ずお義姉ちゃんがるーたんも2人の事も守るからね」
決意を新たに、マリはグラスを置き着替える。
やるべき事はまだ山積みなのだ。
それらを終わらし、向かわなければならない。
正史では描かれ無かった魔族の国へ。
◆◇◆
「失礼します陛下。 起床のお時間……おはようございます。 もう御自身で身支度を?」
「おはよう、メリーさん。 ファースト、スィクススもおはよう」
「「おはようございます、陛下」」
マリは女王としての正装に着替え、儀妹達を置いて執務室へと向かう。
メイド暗部部隊は非公式の秘密部隊から、今回の功労を称えて女王直属メイド部隊に任命された。 これで、晴れて公式のメイド部隊となった隊員達は部隊名が最強無敵美人メイド部隊にならなくて本当に安堵したとかしないとか。
「うん、ちょっとやるべき事が沢山あるからね。 朝早いけど仕事始めよう。 あ、朝食は執務室で食べるから」
「かしこまりました」
スィクススが朝食の準備に立ち去る。
廊下を進みながらマリはメリーから羊皮紙を受け取り、順番に素早く目を通す。
勿論、新しい城の執務室等分かる筈も無く昨夜で城の全てを把握したスーパーメイド長のメリーが頼りだ。
「なるほど、アテスさん達は東の商業地区と産業地区の復興に行ってくれたのか。 メル……今は伯爵だっけ? メル伯爵に、この羊皮紙とこの羊皮紙渡しといて。 見たら分かるから」
「直ぐに」
ファーストに羊皮紙を渡し、メリーの案内で廊下を歩き続ける。
「ねぇ、メリーさん。 ルーデウスに回してる執務ってどれぐらい残ってる?」
「っ! ……はい、約半分程でございます。 あ、到着しました陛下」
マリが溺愛している弟を呼び捨てにした事実に、メリーは驚くが感情に出さないように徹する。
「OK、ありがとう。 残りの羊皮紙確認しとくから、ルーデウス呼んできて。 一緒に朝食取りたいから」
マリは執務室へと入り、仕事を始める。
「陛下……どうされたのでしょうか」
昨日、ルーデウスに会った時にはマリの態度はいつも通りであり。 夜寝るまで、特に姉弟が喧嘩したとも聞いていない。
「セカンド、フィフス、居ますか?」
「此処に」 「居るっすよ」
メリーの背後に突然現れた2人に、驚く事もなく指示をする。
「陛下の部屋でキャミ女王とドーラ女王が就寝されています。 目が覚めましたら、お着替えと朝食を。 その時に……陛下と何かあったか、さり気なく聞いておいて下さい」
「了解」 「了解っす」
2人が消えてから、メリーはルーデウスの部屋へと向かった。
◆◇◆
「ふーー! しっかりしないと! もう、溺愛される王子じゃないんだから! よし! ルーデウス、ルーデウスルーデウスルーデウス」
マリが執務室で何やら呟いていると、ルーデウスが入って来た。
「失礼します。 おはようございます姉上。 昨日の夜はキャミとドーラとは仲良くなれましたか?」
修羅場を潜り青年へと風貌が変わっているが、天使の微笑みは変わること無くマリの心を癒やす。
「はぁぁんっ! 嫌、ダメダメ! おはよう、ルーデウス。 スィクススが持ってきてくれるから、朝食を食べましょう」
「は……はい」
大好きな姉に呼び捨てにされただけで、捨てられた子犬の様な顔をするルーデウスを見てマリは罪悪感から吐血しそうになる。
「ぐはぁっ! な、何でもない。 それより、2人共すっごく良い子だったよ。 ルーデウス……2人が好き?」
「はい……勿論です! そ、それより……姉上、その」
何処か気まずい雰囲気が流れていると、部屋がノックされスィクスス達が朝食を運んで来る。
「失礼しまーす! あ、陛下! おはようございますー! 今日の朝食はベーコンエッグにスパゲティ山盛りですよー! こ、此処の食堂めちゃくちゃ美味しいです! しかも、量がすっごく多くて私ごの……み? すみません! 代理国王陛下! き、気が付かなくて! 失礼しました!」
スィクススの後ろから勢い良く入って来たのはゴルメディア帝国でスカウトしたアマンダだった。
「アマンダ、おはよう。 聞いたよ~食堂の警備してるんだって? あはは、折角技師なのにいいの?」
「おはようございます、アマンダさん。 そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ?」
アマンダは代理国王であるルーデウスを見た途端に顔を青ざめて、硬直してしまう。
「す、すすすすすみません!」
相変わらず、権力が上の人間には弱いアマンダであった。
「いや……私も一応女王だから立場、上何ですけど!?」
マリはキングサイズのベットから起き上がる。
両隣にはパジャマ姿のキャミとドーラがすやすや寝ており、非常に可愛らしい。
「むふー、2人共とっても良い子だったし。 久し振りの朝チュンだね~」
2人の頭を優しく撫でるが、朝チュンも何もマリが親睦を深める名目で部屋に連れ込んで隣で寝ただけである。
「にしても、やっと帰って来たんだね……まぁ、お城も部屋も変わり過ぎてて違和感半端ないけど」
マリは部屋を見渡すが、記憶の景色と違い過ぎてまだ馴れない事に苦笑いする。
以前の部屋も広かったが、今の部屋は規模が違う。
前世で言うところの、体育館の広さなのだ。
しかも、こんなに広いのに所狭しとドワーフ謹製の豪華な調度品が飾ってあり目を楽しませる。
極めつけには、部屋の奥に作られた酒場がマリのお気に入りだ。
長く続く壁の棚にはぎっしりと酒瓶が立ち並んでおり、昨晩もジャックにお酌をしてもらいながら義妹達と夜遅くまで飲みながら話した。
「いやぁ……ドワーフの技術って本当にヤバいね。 チートやん、こんなの」
マリが天井を見上げると、豪華なシャンデリアが光りを灯し天井にはマリ達が奴隷を解放しに亜人の領域を訪れた所を神話の様に描かれた巨大な絵が見える。
「嬉しいけど、恥ずかし過ぎるでしょ」
マリはメリーが起こしに来る前に起きれたので、向かい酒を少し楽しむ。
「ふぅ……にしても、小説の正史と本当にかけ離れちゃったな。 でも、私が未来を変えなかったら……可愛い2人の義妹も魔族が起こす戦争に巻き込まれて死んでたんだよね」
マリはグラスに注いだ酒を飲みながら、可愛い寝顔を見せる2人の方を見つめる。
「大丈夫、必ずお義姉ちゃんがるーたんも2人の事も守るからね」
決意を新たに、マリはグラスを置き着替える。
やるべき事はまだ山積みなのだ。
それらを終わらし、向かわなければならない。
正史では描かれ無かった魔族の国へ。
◆◇◆
「失礼します陛下。 起床のお時間……おはようございます。 もう御自身で身支度を?」
「おはよう、メリーさん。 ファースト、スィクススもおはよう」
「「おはようございます、陛下」」
マリは女王としての正装に着替え、儀妹達を置いて執務室へと向かう。
メイド暗部部隊は非公式の秘密部隊から、今回の功労を称えて女王直属メイド部隊に任命された。 これで、晴れて公式のメイド部隊となった隊員達は部隊名が最強無敵美人メイド部隊にならなくて本当に安堵したとかしないとか。
「うん、ちょっとやるべき事が沢山あるからね。 朝早いけど仕事始めよう。 あ、朝食は執務室で食べるから」
「かしこまりました」
スィクススが朝食の準備に立ち去る。
廊下を進みながらマリはメリーから羊皮紙を受け取り、順番に素早く目を通す。
勿論、新しい城の執務室等分かる筈も無く昨夜で城の全てを把握したスーパーメイド長のメリーが頼りだ。
「なるほど、アテスさん達は東の商業地区と産業地区の復興に行ってくれたのか。 メル……今は伯爵だっけ? メル伯爵に、この羊皮紙とこの羊皮紙渡しといて。 見たら分かるから」
「直ぐに」
ファーストに羊皮紙を渡し、メリーの案内で廊下を歩き続ける。
「ねぇ、メリーさん。 ルーデウスに回してる執務ってどれぐらい残ってる?」
「っ! ……はい、約半分程でございます。 あ、到着しました陛下」
マリが溺愛している弟を呼び捨てにした事実に、メリーは驚くが感情に出さないように徹する。
「OK、ありがとう。 残りの羊皮紙確認しとくから、ルーデウス呼んできて。 一緒に朝食取りたいから」
マリは執務室へと入り、仕事を始める。
「陛下……どうされたのでしょうか」
昨日、ルーデウスに会った時にはマリの態度はいつも通りであり。 夜寝るまで、特に姉弟が喧嘩したとも聞いていない。
「セカンド、フィフス、居ますか?」
「此処に」 「居るっすよ」
メリーの背後に突然現れた2人に、驚く事もなく指示をする。
「陛下の部屋でキャミ女王とドーラ女王が就寝されています。 目が覚めましたら、お着替えと朝食を。 その時に……陛下と何かあったか、さり気なく聞いておいて下さい」
「了解」 「了解っす」
2人が消えてから、メリーはルーデウスの部屋へと向かった。
◆◇◆
「ふーー! しっかりしないと! もう、溺愛される王子じゃないんだから! よし! ルーデウス、ルーデウスルーデウスルーデウス」
マリが執務室で何やら呟いていると、ルーデウスが入って来た。
「失礼します。 おはようございます姉上。 昨日の夜はキャミとドーラとは仲良くなれましたか?」
修羅場を潜り青年へと風貌が変わっているが、天使の微笑みは変わること無くマリの心を癒やす。
「はぁぁんっ! 嫌、ダメダメ! おはよう、ルーデウス。 スィクススが持ってきてくれるから、朝食を食べましょう」
「は……はい」
大好きな姉に呼び捨てにされただけで、捨てられた子犬の様な顔をするルーデウスを見てマリは罪悪感から吐血しそうになる。
「ぐはぁっ! な、何でもない。 それより、2人共すっごく良い子だったよ。 ルーデウス……2人が好き?」
「はい……勿論です! そ、それより……姉上、その」
何処か気まずい雰囲気が流れていると、部屋がノックされスィクスス達が朝食を運んで来る。
「失礼しまーす! あ、陛下! おはようございますー! 今日の朝食はベーコンエッグにスパゲティ山盛りですよー! こ、此処の食堂めちゃくちゃ美味しいです! しかも、量がすっごく多くて私ごの……み? すみません! 代理国王陛下! き、気が付かなくて! 失礼しました!」
スィクススの後ろから勢い良く入って来たのはゴルメディア帝国でスカウトしたアマンダだった。
「アマンダ、おはよう。 聞いたよ~食堂の警備してるんだって? あはは、折角技師なのにいいの?」
「おはようございます、アマンダさん。 そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ?」
アマンダは代理国王であるルーデウスを見た途端に顔を青ざめて、硬直してしまう。
「す、すすすすすみません!」
相変わらず、権力が上の人間には弱いアマンダであった。
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