[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第144話 女王兼ドワーフ族長の誕生

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 「えっと……一応、大臣のルカ殿から許可は貰ったんだけど」

 アテスが頬を掻きながら苦笑いでルカから既に許可を貰った事を告げる。

 「え?! ルカがOKしたの!? じゃあ……やるしか無いのかな~……」

 マリは肩を落とし、ため息を吐いた。

 「あはは、マリそんなに難しく考えなくて良いと思うよ? それに、ほら……さっき言ってただろ? 全部終わったら、私とジャックの3人で一緒に暮らそうと。 ドワーフの里で美味しいお酒飲みながら過ごすのも悪くないんじゃないかい?」

 マリの脳内で、見た目美少年や美少女のドワーフ達に囲まれイケメンのヨハネとジャックに御酌される未来を思い浮かべる。

 「アテスさん! 私やる! よろしくね!!」

 「あはは~流石だねヨハネ兄。 じゃあ、改めてよろしくねマリ族長~」

 「ふふ、何か変な感じ。 でも、ドワーフ達の美味しいお酒の為だもん! 頑張るね!」

 こうして、マリは人族初めての亜人族長に就任し女王兼ドワーフ族長の肩書を手に入れた。

 ◆◇◆

 「ほんじゃあ、俺達は先に行ってるからな」

 「マリ……いや、何でも無い。 またな」

 「じゃあ、僕も行って守りを固めとくねマリ族長」

 ロキ、ラガン、アテスは国境へと向い、ルルは見たことも無い眼鏡を掛けてマリの目を診察していた。

 「うむ、マリの診察が終わったら直ぐに向かうからの。 エルフの者には遅れると伝えてくれなのじゃ」

 ルルは慎重にマリの目を観察する。

 「むぅ……にわかに信じがたいが、確かにこれは妖精の呪いじゃ。 文献でしか読んだ事は無いが……」

 「姉上なら解けないかい?」

 ヨハネもマリの目を覗き込む。 

 ルルはヨハネの問に首を横に振って答えた。

 「無茶を抜かすでない! そもそも妖精の存在等、我等エルフでも信じぬ者がいるのじゃぞ? すまんの、マリ。 ヨハネが精霊魔法で呪いを弱めた以上の事は出来そうもない」

 「いえ、ありがとうございますルルさん」

 「礼は不要じゃ。 しかし……光の精霊が堕ちた上に妖精と混ざる等、世界の終わりではあるまいし」

 「だが、事実だ」

 ヨハネの言葉にルルは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 「マリは……国境には行かないんじゃろ? ヨハネの言う通り、光の精霊は根付いた土地から其処まで離れれん筈じゃが正確な距離は不明じゃからな」

 「当然です。 本来であれば、王都まで直ぐにお連れしたい程ですから」

 ルルの問いにすかさずメリーが答える。

 「あはは……ごめんね、メリーさん。 どうしても、ゴルメディア帝国との事が無事に終わるまで皆を置いて王都には帰れない」

 メリーの棘のある言葉にマリは苦笑いだ。

 それでも、仲間を置いて自分だけが逃げるのはどうしても受け入れられなかった。

 「……ふふ、ヨハネ。 我が弟ながら、良い相手を見つけたの」

 「そうなんだよ、姉上。 だから、私も共に行くよ」

 「ヨハネ? でも、まだ傷が……」

 マリはヨハネの傷を心配するが、ヨハネは安心させる様にマリの頭を撫でた。

 「私が居た方が皆を守れる。 二度と1人で無茶はしないさ。 サードに誓ってね」

 「……分かった。 待ってる」

 ヨハネは立ち上がり、ジャックの下に向かった。

 「ジャック、さっきは抜け駆けしようとしてすまなかった。
 でも、私が行ってる間に抜け駆けしたら一生恨むからね?」

 「お前は……はぁ、さっさと行って帰って来い。 マリ様は俺とメリーが必ず守る」

 こうして、ヨハネはルルと国境に向かった。

 その数日後、ゴルメディア帝国側の平原に予想通り帝国軍数万規模が現れたと知らせが届く。 そして、その後直ぐに連合軍を挟む様にして未確認の兵士達が小国群側から接近しているとマリに報告が来た。
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