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第141話 停戦の準備
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「おほんっ! ファースト、これは陛下からです。 もし、敵が来たらなるべく停戦の方向で動きたいから指揮官の首は跳ねないでとの事です。 後……無事に帰還した事とても嬉しく思います。 もう少し、一緒に頑張りましょう!」
メリーはマリがサインした羊皮紙の束をファーストに手渡す。
「あ、誤魔化しましたね隊長」
「ふふ、隊長にも遂に春が来たのかしら?」
「へっ! サードの奴も喜んでるんじゃないのかい?」
「マジっすか。 良かったっすね!」
メリーは何とか誤魔化そうとしたが、戦闘員達には全く通用しなかった。
「もう! この話しは終わり! セカンド、スィクスス達の状況は?」
「ふふ、了解ですわ。 スィクスス達は予定通り、国境での防衛戦準備に必要な物資の配給や準備に取り掛かっております」
「そう、ありがとう。 じゃあ、ファーストはフィフスと一緒に国境を越えて見張りをお願い。 敵が再度来るかもしれない、来ても交戦せずにルニア侯爵殿に伝えて」
「了解です」 「了解っす!」
ファーストとフィフスは森へと消える。
「セカンド、フォースは戦闘になった際にスィクスス達をアーサー城まで避難させて。 主に戦うのは連合軍の兵士達になります」
「了解ですわ」 「ちぇっ、もう暴れるのはお終いなのか? 隊長」
「ふふ、フォース暴れたいのは分かるけど我慢しなさい。私はルニア侯爵殿の下に向かいます。 お願いしますね」
戦闘員達が散ったのを確認したメリーはルニア侯爵のテントへと向かう。
「失礼します。 ルニア侯爵殿、ご無事で何よりです。 陛下の事では本当に助かりました」
「おぉ、メリー殿! ファーストから聞いてはいたが、陛下はお元気か?」
丁度、軍議をしていたのか主要の指揮官達が勢揃いしていた。
「はい、今はアーサー城にて安静にして頂いております」
「それは何よりだ。 丁度良いタイミングに来てくれた……実は、ゴルメディア帝国との戦争をどう決着付けるかで話し合っていたのだ」
「それについては陛下から、なるべく停戦の方向でと言付けられています。 ルミニスを倒せる準備が我らには出来ておりませんから」
「ふむ……あの羽虫か。 確かに払っても死なぬなら戦うだけ損だな。 陛下の意向、了解した。 出来る限り停戦出来るように努めよう」
「皆様も、よろしくお願いします」
メリーは一礼し、テントの出口へと向かう。
「よし、決まったぞ。 皆聞いてくれ、戦争は終いだ停戦に向けて動くぞ。 って、ラリー師匠。 貴方も聞いて下さいね。 いや、デラン殿に稽古つけたいのは分かりましたから後でお願いします」
ルニアは集まっている指揮官達に停戦の意向を伝え、軍議を再開する。
一部の指揮官であるラリーが黒騎士団団長デランを連れて出ようとしていたのか、ルニアに止められているのを聞きながらメリーはテントを後にした。
「さて、次は……」
メリーはやるべき事を確認しながら、国境に作られた防衛陣地を歩いて行った。
◆◇◆
「あ、ヨハネ。 丁度良いところに~! お酒、持ってない?」
メリーが慌ただしく仕事をこなしている頃、ルーデウスに任せれない国境関係の執務をひと通り終わらしたマリは部屋を訪れたヨハネに酒を要求していた。
「ははは、良いね。 ちょっとならメリーも怒らないだろ。 はい、マリの好きなヤツだよ」
ヨハネは笑いながら懐をまさぐり、小瓶を取り出す。
「ありがとー! くぴくぴくぴ……ぷはぁ~! やっぱり美味しいぃぃ~お酒飲むのも久し振りだよ~」
「ふふ、それは良かったよ。 ずっと気を張ってたからね。 ご褒美として、全部飲んでも良いからね。 さて、少し目を診るよ~?」
鬼殺しを飲むマリの目をヨハネは診察する。
「うん、やっぱり呪いはあれから動いてないね。 メリーから聞いたよ? 帝国で手に入れた未来を見る力、使おうとしたんだって?」
「あぅ……ごめんなさい。 ルニアさん達の無事を見たかったんだ……今は迂闊だったと反省してます。 くぴくぴ」
ヨハネは仕方ないとため息を吐きながら診察を終える。
「もう、使おうとしないようにね? この呪いはマリの目に宿った力に掛けられている。 次は……助けられないからね」
真剣なヨハネの瞳に、流石のマリも真面目に頷いた。
「ふふ、良い子だ。 もう少ししたらメリーも帰って来るだろう。 それまで……一緒に居ても良いかい?」
「ひくっ……うん、勿論良いよ?」
ヨハネの唐突な甘えにマリは頬を赤らめ、誤魔化すように酒を飲む。
「ありがとう。 じゃあ、隣に失礼するね」
ヨハネはマリの隣に座り、そのままマリに抱きついた。
メリーはマリがサインした羊皮紙の束をファーストに手渡す。
「あ、誤魔化しましたね隊長」
「ふふ、隊長にも遂に春が来たのかしら?」
「へっ! サードの奴も喜んでるんじゃないのかい?」
「マジっすか。 良かったっすね!」
メリーは何とか誤魔化そうとしたが、戦闘員達には全く通用しなかった。
「もう! この話しは終わり! セカンド、スィクスス達の状況は?」
「ふふ、了解ですわ。 スィクスス達は予定通り、国境での防衛戦準備に必要な物資の配給や準備に取り掛かっております」
「そう、ありがとう。 じゃあ、ファーストはフィフスと一緒に国境を越えて見張りをお願い。 敵が再度来るかもしれない、来ても交戦せずにルニア侯爵殿に伝えて」
「了解です」 「了解っす!」
ファーストとフィフスは森へと消える。
「セカンド、フォースは戦闘になった際にスィクスス達をアーサー城まで避難させて。 主に戦うのは連合軍の兵士達になります」
「了解ですわ」 「ちぇっ、もう暴れるのはお終いなのか? 隊長」
「ふふ、フォース暴れたいのは分かるけど我慢しなさい。私はルニア侯爵殿の下に向かいます。 お願いしますね」
戦闘員達が散ったのを確認したメリーはルニア侯爵のテントへと向かう。
「失礼します。 ルニア侯爵殿、ご無事で何よりです。 陛下の事では本当に助かりました」
「おぉ、メリー殿! ファーストから聞いてはいたが、陛下はお元気か?」
丁度、軍議をしていたのか主要の指揮官達が勢揃いしていた。
「はい、今はアーサー城にて安静にして頂いております」
「それは何よりだ。 丁度良いタイミングに来てくれた……実は、ゴルメディア帝国との戦争をどう決着付けるかで話し合っていたのだ」
「それについては陛下から、なるべく停戦の方向でと言付けられています。 ルミニスを倒せる準備が我らには出来ておりませんから」
「ふむ……あの羽虫か。 確かに払っても死なぬなら戦うだけ損だな。 陛下の意向、了解した。 出来る限り停戦出来るように努めよう」
「皆様も、よろしくお願いします」
メリーは一礼し、テントの出口へと向かう。
「よし、決まったぞ。 皆聞いてくれ、戦争は終いだ停戦に向けて動くぞ。 って、ラリー師匠。 貴方も聞いて下さいね。 いや、デラン殿に稽古つけたいのは分かりましたから後でお願いします」
ルニアは集まっている指揮官達に停戦の意向を伝え、軍議を再開する。
一部の指揮官であるラリーが黒騎士団団長デランを連れて出ようとしていたのか、ルニアに止められているのを聞きながらメリーはテントを後にした。
「さて、次は……」
メリーはやるべき事を確認しながら、国境に作られた防衛陣地を歩いて行った。
◆◇◆
「あ、ヨハネ。 丁度良いところに~! お酒、持ってない?」
メリーが慌ただしく仕事をこなしている頃、ルーデウスに任せれない国境関係の執務をひと通り終わらしたマリは部屋を訪れたヨハネに酒を要求していた。
「ははは、良いね。 ちょっとならメリーも怒らないだろ。 はい、マリの好きなヤツだよ」
ヨハネは笑いながら懐をまさぐり、小瓶を取り出す。
「ありがとー! くぴくぴくぴ……ぷはぁ~! やっぱり美味しいぃぃ~お酒飲むのも久し振りだよ~」
「ふふ、それは良かったよ。 ずっと気を張ってたからね。 ご褒美として、全部飲んでも良いからね。 さて、少し目を診るよ~?」
鬼殺しを飲むマリの目をヨハネは診察する。
「うん、やっぱり呪いはあれから動いてないね。 メリーから聞いたよ? 帝国で手に入れた未来を見る力、使おうとしたんだって?」
「あぅ……ごめんなさい。 ルニアさん達の無事を見たかったんだ……今は迂闊だったと反省してます。 くぴくぴ」
ヨハネは仕方ないとため息を吐きながら診察を終える。
「もう、使おうとしないようにね? この呪いはマリの目に宿った力に掛けられている。 次は……助けられないからね」
真剣なヨハネの瞳に、流石のマリも真面目に頷いた。
「ふふ、良い子だ。 もう少ししたらメリーも帰って来るだろう。 それまで……一緒に居ても良いかい?」
「ひくっ……うん、勿論良いよ?」
ヨハネの唐突な甘えにマリは頬を赤らめ、誤魔化すように酒を飲む。
「ありがとう。 じゃあ、隣に失礼するね」
ヨハネはマリの隣に座り、そのままマリに抱きついた。
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