[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
142 / 231

第140話 メリーの気持ち

しおりを挟む
 「陛下、先程は大変失礼しました……」

 メリーが部屋で書類仕事をしているマリに謝罪する。

 「んー? 別に良いよ~。 私も目の事やジャックの事で沢山迷惑掛けたし。 あ、これファーストからの報告書ね」

 マリはメリーに羊皮紙の束を渡す。

 「ありがとうございます。 ですが、陛下はまだ倒れられて目覚めたばかりなのです。 無理はされないで下さいね」

 「分かってるよ~。 でも、後少しで帝国とのゴタゴタが片付くなら頑張らないとね。 そうだ、ファーストが帝国側から使者を送って来たらどうしたら良いか悩んでだよ。 そっちに行ったげて~国境の防衛に戻ってるから」

 マリは別の羊皮紙にサインする。  
 これもファーストから国境防衛の為に必要となる書類だと渡されたのだ。

 「了解です。 陛下はどうされるおつもりですか?」

 「ふ~、やっと終わった。 ゴルメディア帝国はエントン王国が滅んでるって思い込んでたから、色々困惑してるでしょ? で、私達を逃し更に最強の黒騎士団達も寝返った。 普通なら攻めて来ないんじゃないかな」

 「停戦出来るなら、停戦した方が良さげですね」

 「うん、ルミニスと決着をつけるには闇の精霊が必要なんでしょ? なら、停戦して王都の状況を確認したらメリーさんの故郷に行かなきゃね。 あ、この書類はファーストに渡しておいて」

 マリはサインし終わった書類をメリーに渡す。

 「ふふ、何だか陛下……変わりましたね」

 「そうかな……う~ん、そうかも。 帝国では色々あったからね~」

 「では、私は国境の方に行って参ります。 陛下はお身体を一番に」

 「はいは~い! お願いね~」

 マリはメリーを見送る。 

 「もう……これ以上戦争にならなかったら良いなぁ。 でも、無理何だよね……ルミニス」

 マリは1人誰も居ない空間に向かって呟いた。

 ◆◇◆

 メリーは書類を持ち、アーサー城を出ようとしていた。

 城の中は、王都から送られる物資や同盟国からの援助品等で溢れかえっている。

 「さて、先程は陛下に恥ずかしい所を見せてしまいました。 ここからはシャキッとしなければ!」 

 メリーは気合を入れて廊下を進む。  

 未だ、部下達は国境で警備に付いているのだから。  

 (恋だの愛だので一喜一憂している場合では無いですからね)

 「あ! メリー殿、どちらまで?」

 しかし、アーサーがメリーに気付き駆けてきた。

 「ひんっ!?」
 
 メリーは瞬間的に変な声を出し、顔を赤くする。

 「だ、大丈夫ですか? すみません、突然声を掛けてしまって」

 「い、いえ……も、問題ありません。 ちょっと国境まで行かねばならないのです」

 メリーはなるべく冷静さを保とうとするが、心臓が飛び跳ねてるかの様にドキドキしていた。

 当然だ。

 長く生きてきたメリーにとって、花束で間接的に愛していますと伝えられる事など経験無く自身が驚く程にときめいてしまったのだ。 このはるか年下の青年を意識しないというのがそもそも無理であり、何時ものスーパーメイドの面影は一切ない。

 「そうですか。 実は私も城での仕事が終わりまして、これから国境の防衛に戻るのですがよろしければ一緒に向かいませんか?」 

 「い、一緒に行きたいと? その、私と?」

 「他に誰かいらっしゃるのですか??」

 「いえ! そうですか、そうですよね。 い、行きましょう!」

 全く意識していなかった相手から好意を伝えらたメリーはどうしたら良いのか分からないまま、アーサーと仲良く国境へと向かう。

 道中、アーサーと何を話したか全く覚えていなかったが到着した国境で待っていたファースト達にニヤニヤされ顔が熱くなるのを感じたのはしっかり覚えていたメリーであった。。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...