134 / 231
第132話 楽しい撤退戦
しおりを挟む
「ふはははは! どうしたどうした! ゴルメディア帝国の騎士はロバに乗っているのか? もっと急がないと私に追い付かれるぞー?」
「ひ、ひぃぃぃ! 何故だ、何故追ってる筈の我等が追われているのだぁぁぁ!!」
エントン王国の赤い死神に背後から追われるゴルメディア帝国の騎士達は、半泣きで前を走るラリー達に向かって馬を走らせていた。
当初は、ブラック宰相より突如として大砦を放棄して逃げ出した臆病者達を追って殺せと言われ騎士達は武功と名誉のチャンスに涎を垂らして追い掛けた。
軽装のゴルメディア帝国の騎士達は敵に追い付けたのは良いものの、突然として赤髪の女騎士が巨大な大剣を振り回しながら踵を返して突っ込んで来たのだ。
其処からは地獄だった。
「はい、貴様は失格だ! 退場ーー!!」
追い付かれた仲間の騎士が幾人かまとめて巨大な大剣の餌食となった。
「何なんだよ! くそ! 歩兵達が言っていた大砦を守る悪魔って絶対にアレじゃねぇか!」
数はゴルメディア帝国の騎士達の方が圧倒的に多い筈だ。
なのに、斬り結ぼうとした瞬間にはあの巨大な大剣で真っ二つにされる。
これは最早戦闘では無い。
追ってた筈の騎士達は死にたくないと必死に前へと撤退しているだけだった。
「ふははははは! 貴様等の国が作った胸糞悪い兵器のせいで鬱憤が溜まっていたのだ! あの少女達の分も苦しみ恐怖して死ねぇぇぇぇ!!」
「何の話だよーー!!」
ルニアは精霊人形にされた少女達を破壊……殺した事でゴルメディア帝国への怒りは頂点に達していた。
だが、何も知らされていない騎士からすればとんでもないとばっちりである。
◆◇◆
ルニアの憂さ晴らしが終わり、追手が全滅したのでファーストやラリー達と合流した頃。
ゴルメディア帝国の兵士達が作った陣営にある、全壊した指揮官のテントでルミニスは激怒していた。
「ルミニス様、今全ての兵士を動かし大砦の奪還を行っております! 逃げ出した者達は騎士達を向かわせました」
ブラックが巨大なクレーターの真ん中で横たわるルミニスに報告する。
『がぁぁぁ!! あの赤髪の女何なのよ! アレ、本当に人間なの!? エルフや魔族との戦闘で消耗してたとは云え、この私が一方的にやられた上に、治癒が間に合わないんですけど?! マリも既に大砦に居なかったし! 魔族共も1匹しか殺せてない! 私の計画が目茶苦茶にされた! がぁぁぁぁぁぁ!!』
激怒し、怒り狂うルミニスだがその全身は砕け散り黒い靄を大量に発している。
「お、御方落ち着いて下され! 今は御方のお身体を第一に……」
『うるさぁぁぁい! クロモト、お前が作った精霊人形が弱かったせいだ! そもそも素材を選り好みなんかするから数も用意出来なかったんでしょ! このゴミクズのクソジジイ!』
クロモトがルミニスを心配するが、逆鱗に触れた事でルミニスにブチ切れられる。
「ひ、ひぃぃぃ! 申し訳ありません! どうか、どうかお許しを」
クロモトがルミニスに跪き、許しを請う姿を見てブラックは内心で己の判断が正しかったのか葛藤していた。
(本当にルミニス様に与するのがゴルメディア帝国の為なのか……? いや、毒を喰らわば皿まで。 もう後戻りは出来ないのだ)
『おいブラック! てめぇもだよ! 大砦何かどうでも良いの! 分かる? お前が大砦に攻め始めた時点でマリやエルフは脱出してたんだよ! 彼処には騎士達と魔族達しか残って無かった! ただの時間稼ぎにまんまと乗ったんだよ、この役立たずがぁぁぁぁぁ!!』
ルミニスからの八つ当たりが止まらない。
『私はこの南側からは出られない! 言ったでしょ? だから、逃がす訳にはいかなかったのに! もし、マリが魔族の所に行って懐柔でもしたらアンタが何よりも大切なゴルメディア帝国は滅ぼされるんだよ?! でも、もう間に合わない! クソ! クソクソクソクソ! がぁぁぁぁぁぁ!!』
ルミニスはボロボロの身体を揺らし、叫び続けた。
そして、暫くしてから追った騎士達が全滅したと聞かされたルミニスはある事を決心する。
それはゴルメディア帝国に住む者達全員を恐怖に陥れるものだった。
『あはははは! もう、良い。 人間達がどうなろうと、亜人がどうなろうと、魔族達を、マリを殺せるなら構わない! あはははは! 楽しみに待っててね、マリぃぃぃぃ!』
「ひ、ひぃぃぃ! 何故だ、何故追ってる筈の我等が追われているのだぁぁぁ!!」
エントン王国の赤い死神に背後から追われるゴルメディア帝国の騎士達は、半泣きで前を走るラリー達に向かって馬を走らせていた。
当初は、ブラック宰相より突如として大砦を放棄して逃げ出した臆病者達を追って殺せと言われ騎士達は武功と名誉のチャンスに涎を垂らして追い掛けた。
軽装のゴルメディア帝国の騎士達は敵に追い付けたのは良いものの、突然として赤髪の女騎士が巨大な大剣を振り回しながら踵を返して突っ込んで来たのだ。
其処からは地獄だった。
「はい、貴様は失格だ! 退場ーー!!」
追い付かれた仲間の騎士が幾人かまとめて巨大な大剣の餌食となった。
「何なんだよ! くそ! 歩兵達が言っていた大砦を守る悪魔って絶対にアレじゃねぇか!」
数はゴルメディア帝国の騎士達の方が圧倒的に多い筈だ。
なのに、斬り結ぼうとした瞬間にはあの巨大な大剣で真っ二つにされる。
これは最早戦闘では無い。
追ってた筈の騎士達は死にたくないと必死に前へと撤退しているだけだった。
「ふははははは! 貴様等の国が作った胸糞悪い兵器のせいで鬱憤が溜まっていたのだ! あの少女達の分も苦しみ恐怖して死ねぇぇぇぇ!!」
「何の話だよーー!!」
ルニアは精霊人形にされた少女達を破壊……殺した事でゴルメディア帝国への怒りは頂点に達していた。
だが、何も知らされていない騎士からすればとんでもないとばっちりである。
◆◇◆
ルニアの憂さ晴らしが終わり、追手が全滅したのでファーストやラリー達と合流した頃。
ゴルメディア帝国の兵士達が作った陣営にある、全壊した指揮官のテントでルミニスは激怒していた。
「ルミニス様、今全ての兵士を動かし大砦の奪還を行っております! 逃げ出した者達は騎士達を向かわせました」
ブラックが巨大なクレーターの真ん中で横たわるルミニスに報告する。
『がぁぁぁ!! あの赤髪の女何なのよ! アレ、本当に人間なの!? エルフや魔族との戦闘で消耗してたとは云え、この私が一方的にやられた上に、治癒が間に合わないんですけど?! マリも既に大砦に居なかったし! 魔族共も1匹しか殺せてない! 私の計画が目茶苦茶にされた! がぁぁぁぁぁぁ!!』
激怒し、怒り狂うルミニスだがその全身は砕け散り黒い靄を大量に発している。
「お、御方落ち着いて下され! 今は御方のお身体を第一に……」
『うるさぁぁぁい! クロモト、お前が作った精霊人形が弱かったせいだ! そもそも素材を選り好みなんかするから数も用意出来なかったんでしょ! このゴミクズのクソジジイ!』
クロモトがルミニスを心配するが、逆鱗に触れた事でルミニスにブチ切れられる。
「ひ、ひぃぃぃ! 申し訳ありません! どうか、どうかお許しを」
クロモトがルミニスに跪き、許しを請う姿を見てブラックは内心で己の判断が正しかったのか葛藤していた。
(本当にルミニス様に与するのがゴルメディア帝国の為なのか……? いや、毒を喰らわば皿まで。 もう後戻りは出来ないのだ)
『おいブラック! てめぇもだよ! 大砦何かどうでも良いの! 分かる? お前が大砦に攻め始めた時点でマリやエルフは脱出してたんだよ! 彼処には騎士達と魔族達しか残って無かった! ただの時間稼ぎにまんまと乗ったんだよ、この役立たずがぁぁぁぁぁ!!』
ルミニスからの八つ当たりが止まらない。
『私はこの南側からは出られない! 言ったでしょ? だから、逃がす訳にはいかなかったのに! もし、マリが魔族の所に行って懐柔でもしたらアンタが何よりも大切なゴルメディア帝国は滅ぼされるんだよ?! でも、もう間に合わない! クソ! クソクソクソクソ! がぁぁぁぁぁぁ!!』
ルミニスはボロボロの身体を揺らし、叫び続けた。
そして、暫くしてから追った騎士達が全滅したと聞かされたルミニスはある事を決心する。
それはゴルメディア帝国に住む者達全員を恐怖に陥れるものだった。
『あはははは! もう、良い。 人間達がどうなろうと、亜人がどうなろうと、魔族達を、マリを殺せるなら構わない! あはははは! 楽しみに待っててね、マリぃぃぃぃ!』
15
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる