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第126話 大砦防衛戦準備と追手
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「それでは、ルニア侯爵殿。 陛下をエントン王国までお連れする間、大砦の防衛よろしくお願いします」
「ふふ、構わないよメリー殿。 こんなに立派な砦を奪ったのだ。 必ずや死守しよう」
「感謝します。 ジャック、出して下さい!」
「了解! はぁっ!!」
意識の無いマリと重傷のヨハネを乗せた馬車が大砦を出発した。
もし、マリの意識が戻れば最後まで残ると言い始めるだろう。
それはルニアも予想が出来る為、先に送り出す。
「さて、ルニア。 防衛戦の準備じゃな」
「ええ、色々と危惧する事も聞きましたから。 陛下が目覚めたら……お怒りになるでしょうね」
ラリーに返答しながらルニアは身体を震わす。
マリの冷酷な一面はルニアの記憶に新しく、戦場よりも主である女王の激怒の方が恐怖を覚えるのだ。
「ふははは! 何じゃ、エントン王国の赤い死神にも怖い物があるのか?」
「ラリー師匠は知らないのです。 普段温厚で、優しく微笑む陛下が……見捨てた時の冷酷さを」
「そ、そんなにか……? いや、じゃがそれなら被害無しで乗り切れば良かろう。 儂等も居るんじゃ、何とかなるわい!」
ラリーが背後の老騎士達と防衛の準備に走っていく。
「それも……そうなのか? ふふ、そうだな。 誰も死なせない……必ず」
ルニアは決意を新たにし、デラン達率いる黒騎士団の下へと向かった。
マリ達がエントン王国に着くまで、亡命する民達の避難が終わるまで、この大砦を死守する防衛戦が始まろうとしていた。
◆◇◆
ヨハネとフォースが消えた後の場所では消耗したルミニスが身体中から黒い靄を放出している。
『あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……ダメ。 ……力を使い過ぎた。 クロモト、ブラックが兵達を率いて来るまで精霊人形達で瓦礫退かしておきなさい』
黒い光は霧散し、喋り方も戻ったルミニスが力無く宙に浮く。
「ははっ! 直ぐに取り掛かります! そ、それと……この魔族の遺体は儂に頂けるのでしょうか?」
クロモトの目の前には事切れたサードが横たわっており、ルミニスは顔を歪める。
『ダメ、私が教えた精霊人形の知識が使えるのは人間にだけ。 他の種族……ましてや魔族を変えたらどんな不具合が起きるか分からない。 まぁ、ブラックが率いる兵達に見られたら面倒だから工房に運ばせなさい……くっ、意識が……』
「かしこまりました。 仰せのままに……」
ルミニスの言葉にクロモトは俯き、主の命に応えた。
『……よし、あたいは眠る。 いい? マリは大砦に向かってる、大砦が落ちる前に追い付き必ず殺しなさい。 使えるかは分からないけど、旧式の精霊人形達も起動すれば殺せるでしょ。 それに、マリはあたいが目に仕込んだ呪いで死に掛けの筈。 絶対に失敗は許さないからね?』
「はい、全ては御方の為に……」
クロモトの返事を聞き、ルミニスは其の場から掻き消えた。
「ほれ、可愛い人形ちゃん達よ瓦礫を片付けよ。 其処のお前達、男を人形にするのすら苦痛だったのじゃ少しは役に立て。 この魔族の遺体を帝国の誰にも見られぬ様に儂の工房に運ぶのじゃ」
精霊人形達が瓦礫を切り刻み、後方から接近する味方の為の道を作り始める。
そして、無機質な男の人形達がサードの遺体を担ぎ森へと消えていった。
その無機質な男の精霊人形達は、マリが帝都の地下牢で見捨てた囚人達である。 死ぬまで地下牢に放置されるのと、クロモトに改造されるのとどっちが地獄だったかは本人達にしか分からないだろう。
「ひゃひゃひゃひゃ……全てが終わったら、あの魔族を……いや、しかし……だが、それでも」
クロモトは瓦礫が片付く間、1人で何やら呟きながら思考の沼に落ちていった。
「ふふ、構わないよメリー殿。 こんなに立派な砦を奪ったのだ。 必ずや死守しよう」
「感謝します。 ジャック、出して下さい!」
「了解! はぁっ!!」
意識の無いマリと重傷のヨハネを乗せた馬車が大砦を出発した。
もし、マリの意識が戻れば最後まで残ると言い始めるだろう。
それはルニアも予想が出来る為、先に送り出す。
「さて、ルニア。 防衛戦の準備じゃな」
「ええ、色々と危惧する事も聞きましたから。 陛下が目覚めたら……お怒りになるでしょうね」
ラリーに返答しながらルニアは身体を震わす。
マリの冷酷な一面はルニアの記憶に新しく、戦場よりも主である女王の激怒の方が恐怖を覚えるのだ。
「ふははは! 何じゃ、エントン王国の赤い死神にも怖い物があるのか?」
「ラリー師匠は知らないのです。 普段温厚で、優しく微笑む陛下が……見捨てた時の冷酷さを」
「そ、そんなにか……? いや、じゃがそれなら被害無しで乗り切れば良かろう。 儂等も居るんじゃ、何とかなるわい!」
ラリーが背後の老騎士達と防衛の準備に走っていく。
「それも……そうなのか? ふふ、そうだな。 誰も死なせない……必ず」
ルニアは決意を新たにし、デラン達率いる黒騎士団の下へと向かった。
マリ達がエントン王国に着くまで、亡命する民達の避難が終わるまで、この大砦を死守する防衛戦が始まろうとしていた。
◆◇◆
ヨハネとフォースが消えた後の場所では消耗したルミニスが身体中から黒い靄を放出している。
『あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……ダメ。 ……力を使い過ぎた。 クロモト、ブラックが兵達を率いて来るまで精霊人形達で瓦礫退かしておきなさい』
黒い光は霧散し、喋り方も戻ったルミニスが力無く宙に浮く。
「ははっ! 直ぐに取り掛かります! そ、それと……この魔族の遺体は儂に頂けるのでしょうか?」
クロモトの目の前には事切れたサードが横たわっており、ルミニスは顔を歪める。
『ダメ、私が教えた精霊人形の知識が使えるのは人間にだけ。 他の種族……ましてや魔族を変えたらどんな不具合が起きるか分からない。 まぁ、ブラックが率いる兵達に見られたら面倒だから工房に運ばせなさい……くっ、意識が……』
「かしこまりました。 仰せのままに……」
ルミニスの言葉にクロモトは俯き、主の命に応えた。
『……よし、あたいは眠る。 いい? マリは大砦に向かってる、大砦が落ちる前に追い付き必ず殺しなさい。 使えるかは分からないけど、旧式の精霊人形達も起動すれば殺せるでしょ。 それに、マリはあたいが目に仕込んだ呪いで死に掛けの筈。 絶対に失敗は許さないからね?』
「はい、全ては御方の為に……」
クロモトの返事を聞き、ルミニスは其の場から掻き消えた。
「ほれ、可愛い人形ちゃん達よ瓦礫を片付けよ。 其処のお前達、男を人形にするのすら苦痛だったのじゃ少しは役に立て。 この魔族の遺体を帝国の誰にも見られぬ様に儂の工房に運ぶのじゃ」
精霊人形達が瓦礫を切り刻み、後方から接近する味方の為の道を作り始める。
そして、無機質な男の人形達がサードの遺体を担ぎ森へと消えていった。
その無機質な男の精霊人形達は、マリが帝都の地下牢で見捨てた囚人達である。 死ぬまで地下牢に放置されるのと、クロモトに改造されるのとどっちが地獄だったかは本人達にしか分からないだろう。
「ひゃひゃひゃひゃ……全てが終わったら、あの魔族を……いや、しかし……だが、それでも」
クロモトは瓦礫が片付く間、1人で何やら呟きながら思考の沼に落ちていった。
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