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第123 話 犠牲
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メリー達が大砦に入り、マリをベットに寝かした頃。
ヨハネは片膝を付き、脇腹から溢れる血を止血しようとしていた。
しかし、当然そんな暇をルミニスは与えない。
身体から光と闇が混じり合い異質な見た目に変化し続けるルミニスが叫ぶ。
『死ネ死ね死ネ! 私を私達ヲ引き裂イた魔族の味方ヲするナらエルフは敵ダ!!』
ルミニスの背後から光と闇が混ざった様な剣が現れ、それが目に見えない速度でヨハネ目掛けて放たれた。
「……すまない、マリ」
既に動く事も出来なくなったヨハネは目を閉じ、最愛の恋人に向けて謝罪をする。
マリ達が大砦まで逃げる時間は稼げた事に安堵しながら、終わりを待った。
「諦めたら陛下さんに怒られますよ~?」
しかし、サードが何処からともなく現れ光速で放たれた剣を弾いた。
「君は……誰だい?」
「ふふふ、私はサードですよ~? 素顔の時は皆に中々覚えてもらえないですが、名前は覚えて下さいね~」
今のサードは誰にも変装していない素顔のままだ。
武装したメイド服に、可愛らしい少女だという認識しか出来ないのがこの上なく異質に感じる。
「そうかい、ありがとうサード。 でも、どうして来たんだい? メリーには助けは不要だと言ったのに」
「メリーちゃんは心配性さんなんですよ~。 フォース~? 準備にどれぐらい掛かる~?」
「あいよ! 1人でやるからな、5分はいるぜ」
いつの間にかヨハネの背後にフォースが現れ、ヨハネに止血をしながら魔隠密術影飛びの準備に入る。
『ナんだお前達、態々殺さレに戻っテ来たノ? 馬鹿ダ馬鹿だ、私に勝てル訳無いダロォォォォォ!』
ヨハネを仕留め損なったルミニスは狙いをサードに変え、光速で剣を放つ。
目で追えない速度の剣をサードは弾き続ける。
「ん~、このままだと厳しいね~」
弾き続けてはいるが、徐々にサードが押され始める。
「ぐっ……君はフォースでいいんだよね? 私の事は良いから2人で逃げるんだ。 アレには勝てない」
「黙ってな色男。 いいんだよ、アンタを助けるのに志願した時点で覚悟はしてる。 私もサードも」
時折狙った様にルミニスの剣が弾かれて向かってくるのをフォースは篭手に着けた盾で防御する。
しかし、サードもフォースも無傷ではいられない。
それほどにルミニスの攻撃は激しく凄まじい。
このままだと5分も持たずに3人は刻まれ死ぬだろう。
「フォース、メリーちゃんにごめんねって伝えてくれる~?」
サードの言葉にフォースは固まる。
「サード? おいてめぇまさか、やめろぉぉぉぉぉ!」
フォースが止めるのも虚しく、サードの瞳が真っ赤に染まり2本の角が天を突くように生えた。
その光景にフォースは涙を流し、ヨハネは驚愕した。
サードが使用したのは魔族の奥の手だ。
普段隠している魔族の角を全力で生やし、最強の力を手にする魔人化。 勿論、力には代償が伴うのが世の理だ。
そして、サードの速度は光速を超えた。
『ナ゙?! まサか、魔人化シたのカ!? アははハハ! やっパり馬鹿ダ! すグに死ヌのニ、そンなにそのエルフガ大事なノかぁぁァァァ?』
サードの持つ剣とルミニスの剣が音速を超えて火花を散らす。
「馬鹿野郎が! 魔人化したらどうなるか分かってるだろうが! くそ! おい色男、絶対に動くな。 サードが作る時間を1秒でも無駄にしたくねぇ!」
「分かった……ありがとう」
全てを察したヨハネはサードの勇姿を目に焼き付けながら、フォースに任せる。
全ては己の判断ミスだ。
ヨハネはマリ救出の際に感じた劣等感を拭うべく、囮を買って出た。 それでも生きて帰れる程の強さを持つと自負していたが、今回は完全に裏目に出たのだ。
「かはっ! フォース~? 急げるー? 何か来てるよ~」
光速と音速で戦うサードの口からは血が噴き出し、身体中の筋肉が歪に膨張して骨が軋む音が響く。
そんなサードからの忠告に反応したのはヨハネだ。
「最悪なタイミングだね……精霊人形達が来た」
森から8体の精霊人形が歪な格好で走ってくるのが見えた。
しかも、その内の1体には死んだ筈のクロモトが乗っている。
「くそが! 集中しろ、集中集中集中!!」
フォースは必死に魔力を集める。
『あハぁぁ! こレで終わリだネぇぇぇぇ!』
サードはルミニスの相手で手一杯だ。
精霊人形達がフォースとヨハネを狙うのを防ぐ事は出来ない。
「土の精霊、土地を守る精霊、古き友の私が……がはっ!」
ヨハネが精霊魔法を使おうとするが、脇腹の傷が深すぎて魔法を唱える事が出来ない。
「行けるぞ! サード!!」
フォースの準備が間に合いサードを呼んだ瞬間、精霊人形達の剣もフォース達に迫った。
「がふっ……あはは~フォース、メリーちゃんの事支えてあげてね~。 私の大事な……」
フォース達に迫った剣をサードは全てその身に受け、血を吐きながらも笑いそのまま事切れた。
フォースは歯を食いしばり、この場を脱出するべく魔法を唱えた。
「っ!! 魔隠密術影飛び!!」
フォースとヨハネはその場から飛び、残されたのは事切れたサードと笑うルミニス達だけだった。
ヨハネは片膝を付き、脇腹から溢れる血を止血しようとしていた。
しかし、当然そんな暇をルミニスは与えない。
身体から光と闇が混じり合い異質な見た目に変化し続けるルミニスが叫ぶ。
『死ネ死ね死ネ! 私を私達ヲ引き裂イた魔族の味方ヲするナらエルフは敵ダ!!』
ルミニスの背後から光と闇が混ざった様な剣が現れ、それが目に見えない速度でヨハネ目掛けて放たれた。
「……すまない、マリ」
既に動く事も出来なくなったヨハネは目を閉じ、最愛の恋人に向けて謝罪をする。
マリ達が大砦まで逃げる時間は稼げた事に安堵しながら、終わりを待った。
「諦めたら陛下さんに怒られますよ~?」
しかし、サードが何処からともなく現れ光速で放たれた剣を弾いた。
「君は……誰だい?」
「ふふふ、私はサードですよ~? 素顔の時は皆に中々覚えてもらえないですが、名前は覚えて下さいね~」
今のサードは誰にも変装していない素顔のままだ。
武装したメイド服に、可愛らしい少女だという認識しか出来ないのがこの上なく異質に感じる。
「そうかい、ありがとうサード。 でも、どうして来たんだい? メリーには助けは不要だと言ったのに」
「メリーちゃんは心配性さんなんですよ~。 フォース~? 準備にどれぐらい掛かる~?」
「あいよ! 1人でやるからな、5分はいるぜ」
いつの間にかヨハネの背後にフォースが現れ、ヨハネに止血をしながら魔隠密術影飛びの準備に入る。
『ナんだお前達、態々殺さレに戻っテ来たノ? 馬鹿ダ馬鹿だ、私に勝てル訳無いダロォォォォォ!』
ヨハネを仕留め損なったルミニスは狙いをサードに変え、光速で剣を放つ。
目で追えない速度の剣をサードは弾き続ける。
「ん~、このままだと厳しいね~」
弾き続けてはいるが、徐々にサードが押され始める。
「ぐっ……君はフォースでいいんだよね? 私の事は良いから2人で逃げるんだ。 アレには勝てない」
「黙ってな色男。 いいんだよ、アンタを助けるのに志願した時点で覚悟はしてる。 私もサードも」
時折狙った様にルミニスの剣が弾かれて向かってくるのをフォースは篭手に着けた盾で防御する。
しかし、サードもフォースも無傷ではいられない。
それほどにルミニスの攻撃は激しく凄まじい。
このままだと5分も持たずに3人は刻まれ死ぬだろう。
「フォース、メリーちゃんにごめんねって伝えてくれる~?」
サードの言葉にフォースは固まる。
「サード? おいてめぇまさか、やめろぉぉぉぉぉ!」
フォースが止めるのも虚しく、サードの瞳が真っ赤に染まり2本の角が天を突くように生えた。
その光景にフォースは涙を流し、ヨハネは驚愕した。
サードが使用したのは魔族の奥の手だ。
普段隠している魔族の角を全力で生やし、最強の力を手にする魔人化。 勿論、力には代償が伴うのが世の理だ。
そして、サードの速度は光速を超えた。
『ナ゙?! まサか、魔人化シたのカ!? アははハハ! やっパり馬鹿ダ! すグに死ヌのニ、そンなにそのエルフガ大事なノかぁぁァァァ?』
サードの持つ剣とルミニスの剣が音速を超えて火花を散らす。
「馬鹿野郎が! 魔人化したらどうなるか分かってるだろうが! くそ! おい色男、絶対に動くな。 サードが作る時間を1秒でも無駄にしたくねぇ!」
「分かった……ありがとう」
全てを察したヨハネはサードの勇姿を目に焼き付けながら、フォースに任せる。
全ては己の判断ミスだ。
ヨハネはマリ救出の際に感じた劣等感を拭うべく、囮を買って出た。 それでも生きて帰れる程の強さを持つと自負していたが、今回は完全に裏目に出たのだ。
「かはっ! フォース~? 急げるー? 何か来てるよ~」
光速と音速で戦うサードの口からは血が噴き出し、身体中の筋肉が歪に膨張して骨が軋む音が響く。
そんなサードからの忠告に反応したのはヨハネだ。
「最悪なタイミングだね……精霊人形達が来た」
森から8体の精霊人形が歪な格好で走ってくるのが見えた。
しかも、その内の1体には死んだ筈のクロモトが乗っている。
「くそが! 集中しろ、集中集中集中!!」
フォースは必死に魔力を集める。
『あハぁぁ! こレで終わリだネぇぇぇぇ!』
サードはルミニスの相手で手一杯だ。
精霊人形達がフォースとヨハネを狙うのを防ぐ事は出来ない。
「土の精霊、土地を守る精霊、古き友の私が……がはっ!」
ヨハネが精霊魔法を使おうとするが、脇腹の傷が深すぎて魔法を唱える事が出来ない。
「行けるぞ! サード!!」
フォースの準備が間に合いサードを呼んだ瞬間、精霊人形達の剣もフォース達に迫った。
「がふっ……あはは~フォース、メリーちゃんの事支えてあげてね~。 私の大事な……」
フォース達に迫った剣をサードは全てその身に受け、血を吐きながらも笑いそのまま事切れた。
フォースは歯を食いしばり、この場を脱出するべく魔法を唱えた。
「っ!! 魔隠密術影飛び!!」
フォースとヨハネはその場から飛び、残されたのは事切れたサードと笑うルミニス達だけだった。
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