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第121話 合流と掌握
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赤髪の女騎士が巨大な大剣でデラン達に斬り掛かった。
「お前達下がれ! 適う相手ではない!」
デランが大斧で斬撃を受け止めるが、帝国最強のデランが押し負けそうになる。
「ふははははは! お前、良いな! 帝国の兵士にしてはやるじゃないか! 私はエントン王国の赤い死神、ガルーダ フォル ルニア侯爵だ。 貴殿の名を聞こうか!」
大剣と大斧を打ち合いながらの自己紹介にデランは冷や汗をかきながら訴える。
「私達は帝国の兵士ではない! 黒騎士団はマリ陛下の恩情によりエントン王国の所属となっている! 後方には陛下達が大砦が落ちるのを待っておられるのだ。 確認してくれ!」
「そうか! お前が手紙にあったゴルメディア帝国最強の黒騎士団団長デラン殿か! よし、折角だ! このまま私と手合わせって痛ぁっ?!」
ルニアは笑いながら、味方と判明したデランに更に斬り掛かろうとした。 しかし、それを1人の老騎士がルニアに拳骨を落として止める。
「こりゃルニア! 味方だと分かったなら大剣を下ろさんか! すまぬな、お若いの。 儂の教えが悪かったのか血気盛ん過ぎての」
「ラリー師匠、酷いですよ! それに、師匠だってさっきまでノリノリで黒騎士達に斬り掛かろうとしてたではないですか!」
「煩いわ! 充分暴れたであろう。 他にあの気味の悪い人形が残っていないか見てこい!」
重厚な鎧を着た老騎士、ラリーが巨大な大剣を持つルニアを軽々と持ち上げ通路へと投げる。
「見苦しくてすまん、儂はエントン王国に仕える新重近衛団団長のラリーと申す。 救出に行くはずの儂等が迎えに行けず申し訳ない。 お前さん達が味方となり、皆を引き連れて来てくれた事心より感謝する」
ラリーは重々しくデラン達へと頭を下げた。
「ラリー殿、とんでもないです! 頭をお上げ下さい。 もし、まだ大砦の掃討が終わってないのでしたら我等もお手伝い致します」
「そうか、助かる。 陛下達を早くお迎え出来るよう、共にこの大砦を掌握しようぞ」
◆◇◆
デラン達はラリー達と合流し、急ぎ大砦の内部を見て回る。
大砦の内情を良く知っている黒騎士団達の案内で、残存していた帝国の兵士達は全員討ち取る事ができた。
しかし、どの兵士達も怯えきっており部屋に立てこもる者達ばかりでありデランはあの不気味な人形達が脳裏をよぎる。
怯えて閉じこもっているとは言っても見逃す事は出来ない為に、地下牢への投獄を条件に降伏を進めても誰1人として耳を傾けずに襲ってきたのだ。
帝国の兵士なら黒騎士団団長デランの顔を知っているのにも関わらず、剣を振りかざしてきた為デランは止むなく全員殺害するに至った。
「ふむ、デラン殿。 後行ってないのは地下牢だけですかな?」
「えぇ、そうです。 しかし、ラリー殿達は凄まじくお強いのですね。 この大砦には2万もの兵士達が居た筈。 それを少数で殆ど倒すとは……」
デラン達は地下牢へと歩みを進めながら、通路に横たわる夥しい数の遺体に目をやる。
「いや、儂等が到着した時には大砦では戦いが起こっておったのじゃ。ほれ、広場で倒しておった人形達がおったじゃろ。 アレが帝国の兵士達を襲ったのじゃ」
「なんと!? では、あの不気味な人形達は帝国の兵器では無いのですか?!」
「それは分からん。 じゃが、共に来たヨハネというエルフが精霊兵器だと言っておったな。 無理矢理改造した人間の身体に精霊をコアとしてぶち込んだ狂った兵器じゃよ」
「ですが、なら何故味方である帝都兵を?」
「ヨハネ殿の見解じゃと、不安定過ぎる身体に長期間精霊を入れられていた事で暴走状態になったらしい。 まぁ、帝国の兵士達には気の毒じゃが自業自得じゃろう」
デランはラリーの言葉を信じられず、通路に倒れる人形の身体に触れる。
無機質な顔、改造され金属が剥き出しになった皮膚。
そして、両手に備えられた剣。
知らずに見たら、ただの不気味な人形にしか見えない。
だが、デランは気付いた。
「この人形……少女じゃないか。 年端もいかぬ……少女だ」
帝都でも噂になっていた。
女ばかりが消える神隠が随分前から囁かれていたのだ。
若い女性も、幼い少女すら忽然として煙のように消えると。
その噂が真実であり、誰がおこなったのか直ぐに想像がついた。
「クロモト……狂人だとは思っていたが、これ程か! キャベル女皇帝陛下も知って黙認したのか……? くそっ!!」
デランは拳を握り、怒りを押さえ込む。
怒りは力になるが、戦場においては死を招くからだ。
「ふー……失礼したラリー殿」
「ふっ、構わんよ。 デラン殿は中々に良き騎士じゃな。 戦場での心得ができておる」
そして、ようやく地下牢へと続く階段に到着した。
「さて、ルニアは先に降りとるようじゃな。 儂等も行くとしよう」
薄暗い階段のはるか下から戦闘音が聞こえる。
「我等も援護せねば! 行きましょう!」
デラン達は急ぎ階段を降り始めた。
「お前達下がれ! 適う相手ではない!」
デランが大斧で斬撃を受け止めるが、帝国最強のデランが押し負けそうになる。
「ふははははは! お前、良いな! 帝国の兵士にしてはやるじゃないか! 私はエントン王国の赤い死神、ガルーダ フォル ルニア侯爵だ。 貴殿の名を聞こうか!」
大剣と大斧を打ち合いながらの自己紹介にデランは冷や汗をかきながら訴える。
「私達は帝国の兵士ではない! 黒騎士団はマリ陛下の恩情によりエントン王国の所属となっている! 後方には陛下達が大砦が落ちるのを待っておられるのだ。 確認してくれ!」
「そうか! お前が手紙にあったゴルメディア帝国最強の黒騎士団団長デラン殿か! よし、折角だ! このまま私と手合わせって痛ぁっ?!」
ルニアは笑いながら、味方と判明したデランに更に斬り掛かろうとした。 しかし、それを1人の老騎士がルニアに拳骨を落として止める。
「こりゃルニア! 味方だと分かったなら大剣を下ろさんか! すまぬな、お若いの。 儂の教えが悪かったのか血気盛ん過ぎての」
「ラリー師匠、酷いですよ! それに、師匠だってさっきまでノリノリで黒騎士達に斬り掛かろうとしてたではないですか!」
「煩いわ! 充分暴れたであろう。 他にあの気味の悪い人形が残っていないか見てこい!」
重厚な鎧を着た老騎士、ラリーが巨大な大剣を持つルニアを軽々と持ち上げ通路へと投げる。
「見苦しくてすまん、儂はエントン王国に仕える新重近衛団団長のラリーと申す。 救出に行くはずの儂等が迎えに行けず申し訳ない。 お前さん達が味方となり、皆を引き連れて来てくれた事心より感謝する」
ラリーは重々しくデラン達へと頭を下げた。
「ラリー殿、とんでもないです! 頭をお上げ下さい。 もし、まだ大砦の掃討が終わってないのでしたら我等もお手伝い致します」
「そうか、助かる。 陛下達を早くお迎え出来るよう、共にこの大砦を掌握しようぞ」
◆◇◆
デラン達はラリー達と合流し、急ぎ大砦の内部を見て回る。
大砦の内情を良く知っている黒騎士団達の案内で、残存していた帝国の兵士達は全員討ち取る事ができた。
しかし、どの兵士達も怯えきっており部屋に立てこもる者達ばかりでありデランはあの不気味な人形達が脳裏をよぎる。
怯えて閉じこもっているとは言っても見逃す事は出来ない為に、地下牢への投獄を条件に降伏を進めても誰1人として耳を傾けずに襲ってきたのだ。
帝国の兵士なら黒騎士団団長デランの顔を知っているのにも関わらず、剣を振りかざしてきた為デランは止むなく全員殺害するに至った。
「ふむ、デラン殿。 後行ってないのは地下牢だけですかな?」
「えぇ、そうです。 しかし、ラリー殿達は凄まじくお強いのですね。 この大砦には2万もの兵士達が居た筈。 それを少数で殆ど倒すとは……」
デラン達は地下牢へと歩みを進めながら、通路に横たわる夥しい数の遺体に目をやる。
「いや、儂等が到着した時には大砦では戦いが起こっておったのじゃ。ほれ、広場で倒しておった人形達がおったじゃろ。 アレが帝国の兵士達を襲ったのじゃ」
「なんと!? では、あの不気味な人形達は帝国の兵器では無いのですか?!」
「それは分からん。 じゃが、共に来たヨハネというエルフが精霊兵器だと言っておったな。 無理矢理改造した人間の身体に精霊をコアとしてぶち込んだ狂った兵器じゃよ」
「ですが、なら何故味方である帝都兵を?」
「ヨハネ殿の見解じゃと、不安定過ぎる身体に長期間精霊を入れられていた事で暴走状態になったらしい。 まぁ、帝国の兵士達には気の毒じゃが自業自得じゃろう」
デランはラリーの言葉を信じられず、通路に倒れる人形の身体に触れる。
無機質な顔、改造され金属が剥き出しになった皮膚。
そして、両手に備えられた剣。
知らずに見たら、ただの不気味な人形にしか見えない。
だが、デランは気付いた。
「この人形……少女じゃないか。 年端もいかぬ……少女だ」
帝都でも噂になっていた。
女ばかりが消える神隠が随分前から囁かれていたのだ。
若い女性も、幼い少女すら忽然として煙のように消えると。
その噂が真実であり、誰がおこなったのか直ぐに想像がついた。
「クロモト……狂人だとは思っていたが、これ程か! キャベル女皇帝陛下も知って黙認したのか……? くそっ!!」
デランは拳を握り、怒りを押さえ込む。
怒りは力になるが、戦場においては死を招くからだ。
「ふー……失礼したラリー殿」
「ふっ、構わんよ。 デラン殿は中々に良き騎士じゃな。 戦場での心得ができておる」
そして、ようやく地下牢へと続く階段に到着した。
「さて、ルニアは先に降りとるようじゃな。 儂等も行くとしよう」
薄暗い階段のはるか下から戦闘音が聞こえる。
「我等も援護せねば! 行きましょう!」
デラン達は急ぎ階段を降り始めた。
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