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第116話 真意
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暫く馬を進めた頃に、後方を守っているヨハネの隣にメリーが近付いて来た。
「おや、メリー。 どうしたんだい?」
「追手が来てない内に聞いておきたい事があります」
「何かな?」
「貴方はマリ陛下が好きなんですよね?」
「ふふ、勿論さ。 何故そんな事を?」
ヨハネはメリーの言いたいことは当然分かっている。
分かっていてジャックの背中を押しているのだ。
「恋人の貴方が何故……ジャックの背中を押すの?」
「はははは、それはね……負けたからさ」
ヨハネの答えにメリーは不満げに眉をひそめる。
「ふふ、わかったよ。 白状するさ。 マリを助けに空を飛んでた時だ。 まぁ、吹き飛んでたっていう方が正しいのかな? ようやく帝都が見えて広場が見えた途端にジャックが落とせと言い始めた」
「それは……陛下が処刑されそうなのが見えたのですか?」
ヨハネは首を振り、お互いに緊張しながら馬を走らせる2人の背中を見つめた。
「いや広場が見えただけだった。 だが、ジャックはマリの危機を察知したかの様に暴れ始めてね。 はるか上空なのにも関わらず、真っ直ぐに急降下していったのさ」
「それで、陛下の危機を救ったと……本当に無茶をしますね」
「だろ? 私には出来なかった……もし、救いに向かったのが私だけだったらと考えるだけでゾッとするよ」
「つまり、貴方は陛下を諦めたと?」
「いや?」
メリーは思わずコイツは何を言っているんだと顔を顰める。
「あははは、そんな顔をしないでくれ友よ。 別におかしい話じゃないだろ? 人間の女王が大勢の男を囲うのはよくある話さ」
「まさか、マリ陛下とジャックを恋仲にさせた上で自分も恋人のままでいるつもりなのですね」
「正解さ。 それで、聞いておきたい事には答えられたかな?」
「……そうですね、もう大丈夫です」
呆れた顔のメリーを見てヨハネは笑った。
「安心して欲しい。 私の気持ちに嘘は無いから」
「それは……「隊長! 関所が見えてきました!」
先頭のファーストが叫ぶ声が聞こえ、メリーは直ぐに前へと馬を走らせる。
「すみません、ファーストありがとう」
「いえ、セカンドが先行し確認に向かいました」
「分かったわ、皆速度を緩めて! 念の為、私とファーストも関所の偵察に向かいます。 サード、フォース、フィフス周囲の警戒をお願い。 陛下と支援要員達を必ず中心に動きなさい」
「「「了解!」」」 「了解さんよ~」
◆◇◆
メリーとファーストが先行したセカンドを追いかけて数分、マリはジャックの腕の中にいた。
残りのメンバーはゆっくりと遠くに見える関所に向けて動いており、全力で走っている時に比べ気持ちに余裕ができていた。
(や……やばい、ジャックへの気持ちを受け入れてからの鼓動の速さがやばいよー! 私にはヨハネが居るのに……)
余裕が出来たせいで要らないことばかり考えてしまい、恋人ヨハネへの罪悪感と心に素直に従った時のジャックへの強すぎる想い。 その2つの気持ちにマリの心は揺れていた。
「……陛下? 大丈夫でございますか?」
腕の中で身じろぐマリをジャックは心配する。
マリは意識せずに接してくるジャックに対して邪な心を持つ自分自身を恥じた。
(ジャック……優しいんだよね。 私がマリになった時からもずっと私の為だけに動いてくれる。 うん、ダメよマリ! 今は無事に皆でエントン王国に帰る事だけを考えなきゃ!)
「馴れぬ馬での移動、色々痛むかと思います。 も、もも、もも、も、もし良ければですが、わ、私の膝の上にどうぞ」
しかし、ジャックもめちゃくちゃ邪な心を持っている事に気付いたマリは笑った。
「あはは、ジャックめちゃくちゃ挙動不審だよ? うん……ありがとう」
以前なら絶対に考えれなかった事だが、マリは心に従った。
ジャックの膝の上に移動し、完全に密着状態となった2人の心臓は耳で聞こえそうな程に大きくうるさかった。
「なぁ、エルフの旦那。 隊長から聞いてはいたが、あんた陛下の恋人なんたろ? いいのかい?」
後ろでフォースがヨハネに話しかけたが、当のヨハネは満面の笑みだ。
「勿論さ。 マリは大切な恋人だし、ジャックは私の唯一の親友と言っていい。 その2人が恋仲になるのは私の野望の一歩であり、幸せの一歩なんだ」
「ふ~ん、やっぱりエルフって変わってんな」
「ははは、他の種族には良く言われる言葉だね」
ヨハネは心から嬉しそうに、急接近する2人を見守っていた。
「おや、メリー。 どうしたんだい?」
「追手が来てない内に聞いておきたい事があります」
「何かな?」
「貴方はマリ陛下が好きなんですよね?」
「ふふ、勿論さ。 何故そんな事を?」
ヨハネはメリーの言いたいことは当然分かっている。
分かっていてジャックの背中を押しているのだ。
「恋人の貴方が何故……ジャックの背中を押すの?」
「はははは、それはね……負けたからさ」
ヨハネの答えにメリーは不満げに眉をひそめる。
「ふふ、わかったよ。 白状するさ。 マリを助けに空を飛んでた時だ。 まぁ、吹き飛んでたっていう方が正しいのかな? ようやく帝都が見えて広場が見えた途端にジャックが落とせと言い始めた」
「それは……陛下が処刑されそうなのが見えたのですか?」
ヨハネは首を振り、お互いに緊張しながら馬を走らせる2人の背中を見つめた。
「いや広場が見えただけだった。 だが、ジャックはマリの危機を察知したかの様に暴れ始めてね。 はるか上空なのにも関わらず、真っ直ぐに急降下していったのさ」
「それで、陛下の危機を救ったと……本当に無茶をしますね」
「だろ? 私には出来なかった……もし、救いに向かったのが私だけだったらと考えるだけでゾッとするよ」
「つまり、貴方は陛下を諦めたと?」
「いや?」
メリーは思わずコイツは何を言っているんだと顔を顰める。
「あははは、そんな顔をしないでくれ友よ。 別におかしい話じゃないだろ? 人間の女王が大勢の男を囲うのはよくある話さ」
「まさか、マリ陛下とジャックを恋仲にさせた上で自分も恋人のままでいるつもりなのですね」
「正解さ。 それで、聞いておきたい事には答えられたかな?」
「……そうですね、もう大丈夫です」
呆れた顔のメリーを見てヨハネは笑った。
「安心して欲しい。 私の気持ちに嘘は無いから」
「それは……「隊長! 関所が見えてきました!」
先頭のファーストが叫ぶ声が聞こえ、メリーは直ぐに前へと馬を走らせる。
「すみません、ファーストありがとう」
「いえ、セカンドが先行し確認に向かいました」
「分かったわ、皆速度を緩めて! 念の為、私とファーストも関所の偵察に向かいます。 サード、フォース、フィフス周囲の警戒をお願い。 陛下と支援要員達を必ず中心に動きなさい」
「「「了解!」」」 「了解さんよ~」
◆◇◆
メリーとファーストが先行したセカンドを追いかけて数分、マリはジャックの腕の中にいた。
残りのメンバーはゆっくりと遠くに見える関所に向けて動いており、全力で走っている時に比べ気持ちに余裕ができていた。
(や……やばい、ジャックへの気持ちを受け入れてからの鼓動の速さがやばいよー! 私にはヨハネが居るのに……)
余裕が出来たせいで要らないことばかり考えてしまい、恋人ヨハネへの罪悪感と心に素直に従った時のジャックへの強すぎる想い。 その2つの気持ちにマリの心は揺れていた。
「……陛下? 大丈夫でございますか?」
腕の中で身じろぐマリをジャックは心配する。
マリは意識せずに接してくるジャックに対して邪な心を持つ自分自身を恥じた。
(ジャック……優しいんだよね。 私がマリになった時からもずっと私の為だけに動いてくれる。 うん、ダメよマリ! 今は無事に皆でエントン王国に帰る事だけを考えなきゃ!)
「馴れぬ馬での移動、色々痛むかと思います。 も、もも、もも、も、もし良ければですが、わ、私の膝の上にどうぞ」
しかし、ジャックもめちゃくちゃ邪な心を持っている事に気付いたマリは笑った。
「あはは、ジャックめちゃくちゃ挙動不審だよ? うん……ありがとう」
以前なら絶対に考えれなかった事だが、マリは心に従った。
ジャックの膝の上に移動し、完全に密着状態となった2人の心臓は耳で聞こえそうな程に大きくうるさかった。
「なぁ、エルフの旦那。 隊長から聞いてはいたが、あんた陛下の恋人なんたろ? いいのかい?」
後ろでフォースがヨハネに話しかけたが、当のヨハネは満面の笑みだ。
「勿論さ。 マリは大切な恋人だし、ジャックは私の唯一の親友と言っていい。 その2人が恋仲になるのは私の野望の一歩であり、幸せの一歩なんだ」
「ふ~ん、やっぱりエルフって変わってんな」
「ははは、他の種族には良く言われる言葉だね」
ヨハネは心から嬉しそうに、急接近する2人を見守っていた。
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