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第108話 処刑日和だねぇ
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「……はっ!? あれ? あー……そっか、寝落ちたんだ私」
マリは硬い床から身体を起こし、枕代わりにしていた空き瓶のせいで傷んだ首をマッサージする。
周囲を見渡すと、無機質な人形達がずっとマリを見つめている。
「ブラックは居ないのか。 ちっ、柔らかいベットで寝たのね。いーなー、一昨日までメリーさんの準備したフカフカのベットで寝れてたのにな~」
マリは独り言をぼやきながら立ち上がる。
人形の側に行き、顔を覗き込むが昨日の様な人間らしい反応は無く少し寂しくなる。
「もう朝なのかな……。 メリーさん達が助けに来るのは何時だろ? 私も心構えしとかないとね」
直ぐにでも動けるようにマリはストレッチをし始める。
「いっちに、さんしってこの部屋って時計無いんだね。 何時なんだろ」
『今は朝の10時ぐらいだよぉ~マリ~』
まさか返事が返ってくるとは思ってもみなかったマリは、その場から飛び退き声の主を見た。
『おはよぉ~良い処刑日和だねぇ。 昨日、あいつ等助けに来たけど入れなくて逃げ帰ったんだってさ。残念でしたぁ~』
ルミニスが頬まで裂けた微笑みを浮べ、マリの目の前に浮いていた。
「あはは……そうだね」
露骨に嫌な顔をするのはリスキーの為、無理な苦笑いで誤魔化すが残念ながら無駄に終わる。
『そうよねぇ! マリもそう思うわよねぇ! じゃあ、行こっか』
真っ黒な目がマリを見つめる。
「き、奇遇だねぇ~。 それで……何処にかな?」
『勿論! 処・刑・台♡にだよぉ~』
「いやだぁーー! まだ朝ご飯食べてないし! 処刑するのはお昼だって話しじゃったじゃんかー!」
満面の笑みで答えたルミニスに、マリは無理矢理引きずられるのであった。
◆◇◆
「んー! 満点の青空! 気持ちの良い風! そして、とっっっても広い広場! そう! 私が今立ってるのは処刑台でーーーーす!」
半ばやけくそ気味のマリが帝都の広場で叫ぶ。
両サイドには兵士に変装した精霊人形が見張りとして控えており、マリはこのまま処刑終了まで台から下りる事出来ない。
下りた時は首だけになるのだが。
「ひーん! ギロチンとか初めて見るんですけどー?!」
処刑台の周りには、精霊人形の事など知らないであろう近衛師団の兵士達や衛兵達で囲まれており着々と処刑の準備が進んでいた。
『あはははは! マリ、凄く素敵な服ね。 死ぬにはピッタリじゃない!』
姿をマリ以外には隠しているルミニスが空中で嘲笑う。
逆鱗に触れない為に怒る事も出来ないマリは、自らのボロボロな囚人服を憎々しげに睨み付けて我慢していた。
兵士達の囲いに気付いた帝国民達が続々と見物に来始めており、既にかなりの数が集まっている。
少し離れた所には見物台が態々設置されており、其処に不正していない女貴族達や新皇帝が座る予定だ。
暫く処刑台で待っていると、ブラックと隈が酷いクロモトがやって来た。
ブラックが羊皮紙を広げ、マリに罪状を告げる。
処刑の名目はかなり華々しく、不正を働いていた女貴族達との共謀罪に、その女貴族達を裏切り罪を着せ処刑させた詐欺罪、更に不正を働いていない女貴族達の気分を害した侮辱罪、特別改革大臣という役職を与えられておきながら執務をしなかった不労罪、奴隷でありながら帝国に忠誠を誓い働いていたドワーフ達を殺害した殺人罪、極めつけに我等がキャベル女皇帝陛下を恩を仇で返す形で暗殺した極刑罪。
これでもかという濡れ衣のオンパレードに、聞かされたマリは流石に大笑いした。
「あー……笑った笑った。 うん、これ聞いて本当に信じる人っているのかな? もしいたら、きっと脳みそが頭に入って無いんだろうね」
マリの感想に、ブラックと隈が酷いクロモトも苦笑いだ。
『馬鹿な新皇帝とか云うガキが、この機会に面倒事は全部マリに押し付けてしまおうって言い始めたらしいわよぉ~? 本当にあのガキ馬鹿だよねー?』
「ねー? そうなのよ、あのヘタレ馬鹿は本当に馬鹿なんだよね~」
姿も声も聞こえない存在に相槌をうつマリの姿を、何も知らない近衛師団や衛兵達は遂に頭が狂ったと思い無視する。
「いや、本当に……その通りなのだ」
色々と思う事があるのか、本当にしんどそうな顔でブラックが同意しクロモトは寝落ちそうになっていた。
マリは硬い床から身体を起こし、枕代わりにしていた空き瓶のせいで傷んだ首をマッサージする。
周囲を見渡すと、無機質な人形達がずっとマリを見つめている。
「ブラックは居ないのか。 ちっ、柔らかいベットで寝たのね。いーなー、一昨日までメリーさんの準備したフカフカのベットで寝れてたのにな~」
マリは独り言をぼやきながら立ち上がる。
人形の側に行き、顔を覗き込むが昨日の様な人間らしい反応は無く少し寂しくなる。
「もう朝なのかな……。 メリーさん達が助けに来るのは何時だろ? 私も心構えしとかないとね」
直ぐにでも動けるようにマリはストレッチをし始める。
「いっちに、さんしってこの部屋って時計無いんだね。 何時なんだろ」
『今は朝の10時ぐらいだよぉ~マリ~』
まさか返事が返ってくるとは思ってもみなかったマリは、その場から飛び退き声の主を見た。
『おはよぉ~良い処刑日和だねぇ。 昨日、あいつ等助けに来たけど入れなくて逃げ帰ったんだってさ。残念でしたぁ~』
ルミニスが頬まで裂けた微笑みを浮べ、マリの目の前に浮いていた。
「あはは……そうだね」
露骨に嫌な顔をするのはリスキーの為、無理な苦笑いで誤魔化すが残念ながら無駄に終わる。
『そうよねぇ! マリもそう思うわよねぇ! じゃあ、行こっか』
真っ黒な目がマリを見つめる。
「き、奇遇だねぇ~。 それで……何処にかな?」
『勿論! 処・刑・台♡にだよぉ~』
「いやだぁーー! まだ朝ご飯食べてないし! 処刑するのはお昼だって話しじゃったじゃんかー!」
満面の笑みで答えたルミニスに、マリは無理矢理引きずられるのであった。
◆◇◆
「んー! 満点の青空! 気持ちの良い風! そして、とっっっても広い広場! そう! 私が今立ってるのは処刑台でーーーーす!」
半ばやけくそ気味のマリが帝都の広場で叫ぶ。
両サイドには兵士に変装した精霊人形が見張りとして控えており、マリはこのまま処刑終了まで台から下りる事出来ない。
下りた時は首だけになるのだが。
「ひーん! ギロチンとか初めて見るんですけどー?!」
処刑台の周りには、精霊人形の事など知らないであろう近衛師団の兵士達や衛兵達で囲まれており着々と処刑の準備が進んでいた。
『あはははは! マリ、凄く素敵な服ね。 死ぬにはピッタリじゃない!』
姿をマリ以外には隠しているルミニスが空中で嘲笑う。
逆鱗に触れない為に怒る事も出来ないマリは、自らのボロボロな囚人服を憎々しげに睨み付けて我慢していた。
兵士達の囲いに気付いた帝国民達が続々と見物に来始めており、既にかなりの数が集まっている。
少し離れた所には見物台が態々設置されており、其処に不正していない女貴族達や新皇帝が座る予定だ。
暫く処刑台で待っていると、ブラックと隈が酷いクロモトがやって来た。
ブラックが羊皮紙を広げ、マリに罪状を告げる。
処刑の名目はかなり華々しく、不正を働いていた女貴族達との共謀罪に、その女貴族達を裏切り罪を着せ処刑させた詐欺罪、更に不正を働いていない女貴族達の気分を害した侮辱罪、特別改革大臣という役職を与えられておきながら執務をしなかった不労罪、奴隷でありながら帝国に忠誠を誓い働いていたドワーフ達を殺害した殺人罪、極めつけに我等がキャベル女皇帝陛下を恩を仇で返す形で暗殺した極刑罪。
これでもかという濡れ衣のオンパレードに、聞かされたマリは流石に大笑いした。
「あー……笑った笑った。 うん、これ聞いて本当に信じる人っているのかな? もしいたら、きっと脳みそが頭に入って無いんだろうね」
マリの感想に、ブラックと隈が酷いクロモトも苦笑いだ。
『馬鹿な新皇帝とか云うガキが、この機会に面倒事は全部マリに押し付けてしまおうって言い始めたらしいわよぉ~? 本当にあのガキ馬鹿だよねー?』
「ねー? そうなのよ、あのヘタレ馬鹿は本当に馬鹿なんだよね~」
姿も声も聞こえない存在に相槌をうつマリの姿を、何も知らない近衛師団や衛兵達は遂に頭が狂ったと思い無視する。
「いや、本当に……その通りなのだ」
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