[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第104話 ルミニスの狂気とメリー脱出

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 ルミニスの狂った笑い声を聞いたマリは怯え、少しでもルミニスから離れようと動いた。

 「下手に動かない事だ。 クロモトの様になりたくなければ……ね」 

 しかし、ブラックの一言でマリは動けなくなる。 当然だろう、ルミニスの怒りを買えばどうなるか目の当たりにしたばかりなのだから。

 「……大人しくしてます」

 「賢明な判断だ。 まぁ、お前は明日の昼に死ぬがな」

 「そうかしら? 御生憎様、明日の昼までに私の部下達が助けてくれますから」

 マリがブラックの嫌味に反応した直後、ルミニスの笑い声がピタリと止んだ。

 (やば! しまった……)

 マリが恐る恐るルミニスの方を見ると、真っ黒な目を見開いたルミニスがマリを見ていた。

 暗い瞳の中は闇のように真っ黒であり、まるでブラックホールのようだ。

 『やっぱり……あいつ等は早く殺さないと計画の邪魔だよね? そうだ、殺さないと邪魔される。 きっとそう、絶対そう、あたいの、私の、私達の、計画がこれ以上乱されるのは許さない。 クロモト? クロモト!! 起きなさい!』

 「はっ?! ゲホッゲホッ! お、起きておりますじゃ! 我が尊き御方!」

 ルミニスの怒声で、まだ痙攣していたクロモトは跳ね起き頭を床に叩き付けて平伏した。

 『クロモト……挽回のチャンスをあげる。 明日の昼まで、精霊人形達にマリを見張らせなさい。 その間に、新しい精霊人形を造れるだけ造るの。 魔族共は奪い返せなければ、最後の機会に賭ける筈よ。 その時はマリ諸共皆殺しにしなさい』

 「お、仰せのままに我が尊き御方」

 『頼んだわよ。 あたいは……また少し眠るわ。 あ! そうだ、ブラック。 あのガキが大人しくしてるか見張っておいてね? じゃあ、またねぇマリぃぃ~』

 「かしこまりました……」

 ルミニスは頬まで笑みを浮べ、その場から消えた。

 「し、死ぬかと思った~……」

 マリは安堵から尻餅をつき、呼吸を整える。

 ブラックとクロモトは何やら口論しながら部屋を出て行き、残されたのはマリの見張りをする精霊人形達とマリだけだ。

 鍵も掛けずに不用心だが、異様な強さの精霊人形が出入り口とマリの事を無機質な瞳で見張っている。 逃げるのは無理だろう。

 ようやく一息ついたマリは、とある事に気付く。

 「あれ? そういえば……ティナ、じゃなくてルミニスがいる間私の目光ってなかったよね? 何でだ……?」

 精霊人形達がマリの疑問に答えることは無かった。

 ◆◇◆

 マリと別れたメリーは、追手を警戒しつつ帝城から脱出を図っていた。

 「退路は全て塞いだから……後は正面突破かしら」

 帝城の正門近くで脱出の機会を伺っていると、慌ただしく走る兵士達の話し声が聞こえる。

 「おい! やはりドワーフ達は何処にも居ない。 どうやってかは分からないが全員脱走したみたいだ!」

 「はぁ!? おいおい、カエサル団長も行方不明何だぞ?! これ以上の面倒事は勘弁だ!」

 どうやら目撃者をメリーとファーストが皆殺しにしたお陰で、ドワーフ達がどうやって脱出したのかは知られてないようだ。

 それに、カエサル……サードが突然消えた事で近衛師団も未だ混乱の最中なのだろう。

 「くそ! 俺は副団長に知らせてくる! お前達は街の方までドワーフを探しに行ってくれ!」

 「「「「了解!」」」」

 近衛師団と思しき兵士達は別れ、正門の前は手薄になった。

 「今がチャンスですね。 もう隠す必要も無いですから……魔隠密術早駆け」

 メリーが何やら唱えると両足に黒い靄が現れ、そのまま正門の壁を走り外へと駆けでる。

 合流予定地に向かおうとしたメリーは、遠くに見える高台にフィフスの姿を確認し安堵と共にマリを1人で向かわせた事に対する怒りがふつふつと湧き上がる。

 「皆無事で何よりですが……先ずはお説教ですね」

 メリーはピンクの髪から角を生やし、鬼の形相でフィフス達の方へと走る。

 「あ! 皆、隊長っす! 無事っすよ! いや?! 角生やしてるっす! めっちゃ怒ってるっすよ!! 総員退避ー!」

 メリーに気付いたフィフス達は喜んだが、文字通り鬼の形相で向かって来るメリーに近付き一斉に逃げ出す。

 「待ちなさぁぁぁぁい! 陛下をあんな危険な目に合わせるなんて! 逃げるなぁーー!!」
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